丹沢・河内川火打(ヒイチ)沢


1974.10.10 佐々木、郷田

 10月10日(晴れ) 10月だというのに照りつける陽は暑いくらいで、歩いていると汗ばんでくる。沢登りには絶好の日和となった。丹沢で晴れた日に沢を登るのは、6月の小川谷廊下以来だろうか。本(「現代登山全集」)にあるとおり、「貧弱な出合」からすぐ堰堤につきあたり、右から高巻く。沢は倒木、クモの巣だらけでウンザリ。

 右折すると最初の滝8mが堂々と水を落としている。正面はツルツルで登れず右の草付に取り付いたが、なかなか悪くさらに右手の灌木帯に逃げる。沢はすぐ左に折れながらF2を落とす。左フェースを快適に登る。やがて左岸から涸棚が連続しており、その左にはストレートに水を落とす立派なF3が出現。本には11mとあるが15〜20mはありそうに見える。涸棚を数メートル登り、灌木頼りに左上して巻くが、高度感があり緊張した。続く8m、3mも垂直で手が出ず、灌木にすがって落ち口に出るがやや悪い。

 沢が左に直角に曲がるところの10m滝(F6)は左壁を登る。取り付きがちょっとハングしているが、あとは細かいものの快適なクライミングを味わう。ここから核心部を迎え両岸高く薄暗くなる。6m、5mと登って深いトロを左側から巻こうとしたとき、なんと伸ばした手先にマムシがトグロを巻いていたのには仰天。ウアッと叫んで飛び降りてしまった。石を投げつけて滝壺に落としてやったが、それ以来、灌木の根がヘビに見えてしょうがなかった。

 右に曲がって釜のある10m滝(F9)は、左壁中段のバンドを微妙にへつるが悪い。深いトロをへつったりして核心部を抜けると、沢はまた汚くなった。かなり荒れておりクモの巣がじゃまだ。右岸から水量の少ない黒々とした20m滝が注ぎ、本流には10m滝(F14)がかかる。右から灌木頼りに落ち口に出ると、5m滝が三つ連続、いずれも右から登る。15m滝(F18)は宙に水しぶきをあげている。左側を登るとやがて水は消え、歩きやすい踏み跡を少し登ると番ガ平の標識に出会った。表示には山市場まで1時間5分とあった。一気に山道を下り、ヒイチ沢出合に戻った。(滝の番号は「現代登山全集」による)

 【コースタイム】 谷蛾8:50 ヒイチ沢出合9:35〜10:20 F7上12:10〜20 F14手前13:25〜35 番ガ平14:10〜30 山市場14:50 谷蛾15:50


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