上越・谷川本谷〜赤谷川源流


1998.10.3〜4 佐々木、小林


 谷川本谷〜赤谷川は過去3回計画が流れた因縁のルートだ。やれ台風だの仕事だのと中止になり、水上まで行きながら雨で断念したこともあった。今回ようやく徒登行山岳会のオジカ沢の頭集中山行に組み入れて、気になるルートを一つ片づけることができた。21年ぶりの再訪となった赤谷川本谷は、相変わらずの美しさを保っていた。

Y字大滝 10月3日(快晴) 早朝の中央線の人身事故で小林さんが新幹線に乗り遅れ、上毛高原駅で約40分遅れの合流。タクシーで谷川温泉へ向かう途中、二俣への道が夏の大雨でだいぶ崩壊していることを運転手から知らされる。

 谷川温泉8時58分発となったが、天気は安定しているし、のんびり行っても16時ごろには赤谷川広河原に着くものと踏む。橋が流されたりしていたが、たいして歩行に影響はなく10時10分に二俣着。きょう、ヒツゴー沢に入っている永瀬さんのツエルトを確認する。

 小林さんは東京駅で乗り遅れまいと走った影響で両足をつってしまい、明日のタカノスc沢への合流を考えたが予定通り出発する。しかし、何をとち狂ったかオジカ沢に入ってしまって1時間のロス。何かいやな予感がする。11時40分、本谷に入り直すとしばらくは巨岩帯がつづく。絶不調の小林さんを気遣い、超スローペースで行く。広河原の細芝沢出合は大量の押し出しに埋まっている。

 13時23分、川棚沢出合着。川棚沢の豪快な大滝が望まれマツカケ岩が右岸から覆い被さるようだ。滝で合流する上のナメ沢を過ぎると両岸高くなり、滝のない一直線のゴルジュとなる。本流は右に直角に折れており、奥のナメ沢の滝とY字を形成する50m大滝(写真上)は、その下に着くまで見えない。

Y字大滝中段 14時5分、大滝着。2日前までの長雨で水量豊富だが、それほど威圧感はない。下段は左の乾いたフェースから濡れた凹角を登り、中段の幅広バンドへ。バンドトラバースでは雨具をつけていてもシャワーでずぶぬれとなってしまった。このバンドは意外にも奥のナメ沢の滝の手前で切れており、一旦、奥のナメ沢の滝下へ3m下って登り返し(写真下)、右手の白い壁から灌木帯へ入って奥のナメ沢の滝上に下り立つ。奥のナメ沢からは、一つ滝を越えて灌木が低くおりている右岸から本谷との中間尾根にはい上がって本谷へ戻る。15時30分。

 大滝上から2段5m、滑りやすい4mと続き、2mCS滝は小さく右から巻く。谷川乗越が目前となると三俣で、水量は左から順番に多いが、ここは中俣に入る。水量の多い左俣は湧き水があるとのことだ(ゼフィルス・小泉氏の記録)。

 いつのまにか雲で覆われ、薄暗くなってきた。先を急ぐも、詰めのヤブで小林さんの動きが鈍くなる。谷川乗越でついに日没となり、ヘッドランプをつける。

 赤谷川へ下る沢は歩きやすく助かる。岩床が続き、3mの滝があるだけなので下るためにあるような沢だ。明るければ30分で着くところを1時間かかり、赤谷川18時57分着。19時5分、右岸にまあまあの平坦地があったのでツエルトを張る。

 10月4日(曇りのち風雨) 赤谷川上流は風の通り道になっているらしく、昨夜は風にツエルトをたたかれた。きょうも好天の予報だったはずだが、どうしたことか曇天で稜線はガスに見え隠れしている。7時出発。すぐ不気味な青黒い色の大トロでゴルジュがはじまる。21年前は巻くこともなく中を通過できたが、今回はどうだろう。だいたい、右岸をへつっていけるのだが、途中3回ほど左岸に渡り返しながら約1時間かけて楽しく通過した。

 きつね色の草原を左右に眺めながらのんびりとした気分となる。ゆっくり行かないとオジカ沢の頭13時集中なので時間をもてあましてしまう。上の二俣で左へ入るとたいしてやぶ漕ぎもなく10時45分に稜線にでた。雨が降ってきたので登り10分でオジカ沢の頭直下の新しいカマボコ型避難小屋に飛び込む。ヘルメット姿の人達がいて、この夏にタカノスC沢で仲間が遭難し現場検証にきたというが、風雨が強くなり帰っていった。急に寒くなったので寒冷前線でも通過したのだろうか。

 13時になってもタカノスB、C沢、オジカ沢の各パーティーが来ず、心配になる。14時になったので仕方なく、頭にメモを残して雨も小やみになった中ゴー尾根を下る。途中15時前、オジカ沢上部からトトコウコールが二度聞こえた。尾根下部から、ガスが上がってきたオジカ沢を見ると上から下まで一本の滝と化していた。相当、苦労したことだろう。

 昨日に続きヘッドランプのお世話になり18時50分、谷川温泉に着く。すぐ会に電話を入れると、オジカ沢とタカノスC沢パーティーが一緒に中ゴー尾根を下降中という携帯電話からの連絡が入っており、タカノスB沢の人達も先行して下山するとのメモが小屋にあったとのことで、まずは安心した。天候の急変で集中山行は成立せず残念だったが、それにしても谷川連峰の気象はこわい、みぞれにならなくて本当によかった。ヘッドランプつけての中ゴー尾根下降ごくろうさま。

 【コースタイム】 (10/3)谷川温泉8:58 二俣10:10〜35 二俣(オジカ沢に入り戻る)11:40 川棚沢13:43 大滝下14:05〜25 大滝上15:30〜35 谷川乗越17:50 赤谷川本谷18:57 広河原19:05〜(10/4)7:00発 ゴルジュ終了8:10〜30 東俣8:40 上二俣9:35〜45 稜線10:45〜50 オジカ沢の頭避難小屋11:08〜14:00 二俣16:55〜17:15 谷川温泉18:50


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