奥鬼怒・片品川中岐沢北岐沢


2001.9.23〜24 吉越、執行、佐々木


 会の物見山集中山行で、片品川中岐沢北岐沢を登った。今年最初で最後の沢となるかもしれないが、まあこんな年もあっていい。 じっくりと味わいながら歩ける沢だった。

 9月23日(晴れ) 上野駅朝立ちで、沼田からのバスが大清水に着いたのは12時50分になった。大清水から奥鬼怒林道に入る。ひんやりとした秋風を感じながら、今年初めての沢登りなのだ。東岐沢の橋を渡ってまもなく林道が急カーブで右に折れる。北岐沢への入渓地点である。薮をかきわけて下り沢床に立つ。14時49分。片品川本流だけあって、そこそこの水量がある。岩盤の発達した5m前後の滝がいくつか現れ、問題なく越していく。この沢の岩質は良く、滑らないので歩きやすい。ときおり柱状節理の岩も見えた。

大滝 沢が開けて明るくなり、右に屈曲するところに豪快な大滝20m(写真)を落とす。少し戻って左岸を巻いて滝上にピタリとでる。高巻きのお手本のようなルートだ。右岸の枝沢は連瀑となって大滝下に注いでいた。大滝上から沢は左に折れて快適なナメ滝となっている。

 平坦で穏やかな流れが続き、右岸から枝沢が合流する先に段丘があって、絶好の幕場となっていた。ちょっと早いが泊まらない手はない。16時25分。真っ平らで薪も豊富だ。薪の火付きが悪く、豪快な炎は上がらなかったが、21時すぎまで酒をちびちび飲みながら楽しんだ。

 9月24日(晴れ) 集中時刻は正午なので、早めに6時30分すぎ出発。1650m手前の二俣を過ぎるとナメ状の滝が多くなる。どうというところもなく順調に遡行。ただし、源流の枝沢は要注意で、読図をしっかりしないといけない。特に1790m付近の二俣は左の沢に引き込まれやすい。ここを過ぎると傾斜が増して倒木も多くなる。キノコを楽しみにしていた執行氏は、名前は分からないが食べられるはずというヤツを一袋分ゲットした。

 小松湿原へは小沢に導かれてあっけなく着く。8時30分。広さ50m四方程度で何の変哲もない草地だ。周囲の森林がうっそうとしすぎているからなのかもしれない。記念写真に収まっても「牧場のおっさんみたいだ」と執行氏。湿原から稜線を直接目指してもいいが、やっかいな薮こぎかもしれないので、引き返して本流を詰める。薮もなくすっきりと稜線に着いた。8時56分。

 稜線上の道は明瞭で小松湿原に下りる踏み跡もあった。展望のあまり効かない樹林帯をひたすら歩く。時折、尾瀬方面の山々が樹間から望めるのが救いだ。ボリュームある山体の鬼怒沼山(2141m)が迫る。前方からカランコロンと熊よけの鈴を鳴らしながら来た軽装のおじさんと出会う。鬼怒沼湿原から大清水へ抜けるつもりだというが、こっちじゃ逆方向で今日中におりられないので、戻って物見山に向かうことをすすめる。遭難からヒト一人救った気分だ。

 時間があるので空身で鬼怒沼山をピストンする。南東側の展望が良く、日光白根山から男体山方面がよく見えた。目指すトンガリ帽子の物見山(2113m)もすぐそこだった。鬼怒沼湿原入り口を過ぎひと登りで物見山に着くと、山野辺氏がいた。集中時刻に余裕の11時47分。湯沢を登った永瀬、久保田パーティーもすでに着いているとのこで、足を延ばした鬼怒沼湿原からまもなく戻ってきた。

 物見山からの下山路は、左に燕巣山(2222m)や四郎岳(2156m)を眺めながら、膝をがくがくさせて急降下する。林道に出て大清水までは30分足らずだった。

 【コースタイム】 (9/23)大清水13:08 北岐沢14:49〜15:05 大滝15:55 1620m地点16:25〜(9/24)6:32発 1645m二俣6:48 小松湿原8:30〜35 稜線8:56〜9:12 鬼怒沼山分岐10:45 鬼怒沼山10:52〜55 物見山11:47〜12:22 大清水14:40

 【2万5千図】 三平峠、川俣温泉


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