上海詐欺団
騙しのテクニック


2009年3月19〜22日

 あの女の言うことにも一理ある。確かに毎日、家と職場の往復だけではつまらない。
 女は言った。
「あなたも楽しんだんでしょう?」
 しかし、店員からテーブルに10杯ぐらいのウィスキーグラスを並べられたときには、すべてを悟って、怒りに変わった。

3月19日
 成田から上海へ向かう。ノースウエスト航空は機内食のときのビールが有料だった。(500円)初めての経験だ。
 機内で見た映画は「ワーキングガール」。以前に一度見たことを思い出した。シガニー・ウィーバーとハリソン・フォードが出演していた。途中で空港に着いてしまって、最後まで見られなかった。(主演女優の名前が気になったので、帰国してから調べたら、メラニー・グリフィスという名前だった。)

3月20日
 上海市内観光。今日は、観光としては上海博物館と東方明珠塔にしか行かなかったが、その他に驚くべき経験をした。観光も終わって、南京東路で晩飯を食べる所を探していたら、後ろから結構きれいな女性から声をかけられて(フィギュアスケートの安藤美姫に似ていた)、結局1軒目のレストランで880元、2軒目のコーヒー店で1,600元も払わされる破目になった。

 実は昼にも上海博物館の前で、ティー・セレモニー(中国式茶道)に一緒に行かないかと声をかけてきた3人組(男2人、女1人)がいて、こちらの方は難を逃れた。
 その場所に行ってみると、1人280元もするというのだ。その3人組もそれぞれ同額払うと言っていたが、あまりに高いので、一番安いウーロン茶を選んで、財布から50元札を出してテーブルの上に置いた。

 向こうもこちらの気合に負けたのか、ティー・セレモニーを店の人からしてもらって、中国語の説明を英語に通訳してもらい、飲茶して終わった。
 こちらの方は夕方にあった女と比べるとずっと良心的だった。

 夕方にあった女(張莉萍(チョウ・リーピン)と名乗っていた)は日本語が達者で、日本のことも良く知っていた。張莉萍は店のメニューを見て、勝手に高価なものを注文した。
 そしてこちらがお金のことを言うと聞こえないふりをするか、話をはぐらかしたりして、無視した。一軒目では魚料理と上海ガニが出てきたが、張莉萍に魚の名前を聞いても答えられなかった。お金を出させることだけが目的なのだ。
 張莉萍は頻繁に携帯で電話していた。仲間と連絡を取り合っていたのだと思う。ショッピングに一緒に来ている友達も呼んでいいか、と聞いてきたが、それは断った。

 その店を出て2軒目飲みに行こうと誘われたが、あまり飲む気もおこらず、コーヒーぐらいならいい、と言ってしまった。騙されているかもしれないという感じもしたが、この先どうなるのか最後まで見てみたい、という気持ちもあった。

 連れていかれたのは、「珈琲」という文字のまわりをけばけばしいネオンで飾られている看板がかかっている店だった。その店は上海昊金百貨商行という会社が経営している。金は森という字に似ていて、ただし木の代わりに金が3つになっている。後からクレジットカードの利用者控えを見て分かった。取引銀行は招商銀行(CHINA MERCHANTS BANK)。

 そのカフェで出されたのは、コーヒーなどの飲み物のほか、食べ切れないほどのオードブルだった。
 しばらく経ってから、店員がテーブルへ10杯ぐらいのウィスキーの入ったグラスを運んできて並べたときには、すべてを悟って、堪忍袋の緒が切れた。

 自分はコーヒーだけのつもりで来て、この中国人の女が勝手に注文したんだから、コーヒー代しか払わない、とレジで言ったら、中国人の男数人から取り囲まれた。男のうちの1人は「一緒に来たんでしょ」と日本語で、別の男は英語で"Pay money!"と言っていた。

 海外へは何度も行っているが、こんなに怖い目にあったのは初めてだ。現金をあまり持っていなかったので、結局クレジットカードで払った。

 1軒目の店を出て、2軒目のコーヒー店に行くまで、かなり歩かされたが、そのときに早く気付けば良かったが、何か怪しい雰囲気で、最後まで付いていってしまった。コーヒー店だからというので安心してしまったのと女の方が自分も払うからと言うのを真に受けてしまった。(実際、コーヒー店に300元払っていた。)本当に巧妙だった。

 3月21日
 上海市内見物の2日目。最初、杭州行きを考えていたが、昨日、お金をまき上げられたのでやめた。それにホテルから外部へ何度も電話をかけようとしたが、つながらなかった。この次の旅行まで、海外でも使える携帯電話を買おうかな、と思った。
 今日見たのは豫園と上海自然博物館、それに魯迅記念館。
 魯迅記念館のある魯迅公園周辺で道に迷った。

日記・ブログ(上海詐欺団)