お台場、ダバ、ダバ

 先日、東京へ行ってきた。
 地方に長く住んでいると、東京の雑踏や、大都会だけが持つ、あの
エネルギーを忘れてしまいがちになる。日帰りの出張だったけど、仕事が終わった後、もう1泊して、東京見物をすることにした。

 『新東京さわやか散歩 42コース』(1999年、山と渓谷社)というガイドブックを手に、レインボーブリッジを歩いて渡って、お台場を散策するというコースを取った。
当日は、7月にしては珍しく台風が本土を直撃した後で、さわやかとはいかなくても、まずまずの天気だった。

 バッグと上着を東京駅のコインロッカーに入れて、新橋で、生まれて初めて新交通ゆりかもめに乗る。ゆりかもめは、普通の地下鉄より車両の幅が狭くて、高架のため、上から街並を見下ろすようにして走る。自動運転しているとのことであった。

 ゆりかもめを芝浦ふ頭駅で下りて、いざレインボーブリッジの入り口に向かう。芝浦ふ頭とお台場を結ぶ、この橋は、全長918m、1993年に完成。上部に首都高速、下部に臨港道路、新交通ゆりかもめ、それに遊歩道が通じている。

 ガイドブックによるとレインボーブリッジを歩いて渡るには、300円の入場料が必要とのことだったが、私が行ったときには無料開放をしていた。入り口には警備員が1人立っていた。実際、橋を渡り始めると、歩いている脇を車がビュンビュン通り過ぎていくし、決して快適なものではないということがわかった。歩いている人も少なくて渡りきるまで1組のカップルにしか会わなかった。以前は(遊)歩道が人で賑わったときもあったのだろうか。

 お台場の地名は、江戸幕府が黒船襲来に備えて築いた砲塁跡に由来する。6基あった台場のうち、現在残っているのは第三、第六台場のみで、このうち第三台場が台場公園として整備されている。レインボーブリッジの出入口を出て、すぐ右手に台場公園が見える。このあたりは13号埋立地と呼ばれていたそうだが、台場公園まで、細長く埋め立てられていてつながっている。第三台場は、ほぼ真四角で、中が凹んでいる。

 お台場は東京の新しい観光名所とよく言われる。この台場公園は、来て良かったと思った。国の史跡にも指定されているとのことだった。結構広い。ここに大砲が設置され、黒船に向かって火を吹いたのだろうか。当時のことをもっと知りたいような気になる。

 二時間近く歩いて、かなり汗ばんできた。最初うす曇りの天気だったが、日も射してきた。取り合えず台場公園から埋立地本体の人口砂浜、お台場海浜公園へ向かう。(考えてみると、ここは埋立地だから、全部人工なのであった。)第三台場をバックにウインドサーフィンをしている姿が気持ちよさそうだった。

 海浜公園での禁止事項が8つほど看板に出ていたが、そのうちのひとつが遊泳だった。水質の浄化のため二枚貝を放しているという看板も見た。広い木道が海岸線に沿って敷かれていて、都会的というか、清潔な感じだ。

 犬を連れて海辺を散歩している人が結構いた。回りに見えるのは高層マンションばかりだが、このあたりのマンションではペットを飼っても大丈夫なのだろうか。それとも、埋立地以外のところからわざわざペットを連れて来てるのだろうか。

 お台場が有名なのは、毎日のようにテレビでお台場の映像が出るからかもしれない。球形の物体が鉄骨に支えられ宙に浮いているようなフジテレビの建物も間近に見える。

 海浜公園を過ぎて、この埋立地の北端にあたる潮風公園の方に進んでいくと、途中、ニューヨークの「自由の女神」を小さくしたレプリカの像があった。これもテレビで見たことがある、と思いながら先を急いだ。ガイドブックには、全行程の所要時間は2時間5分と書いてあったが、暑くてペースが上がらず、時間を大幅に超過しつつあ
った。

 潮風公園を通りすぎて、海岸線に沿って進み、Uターンするように左に曲がると建物が客船のような形をした「船の科学館」がある。ここは、お台場として脚光を浴びる前からの施設で日本初の南極観測船「宗谷」や青函連絡船「羊蹄丸」が接岸されている。

 帰路を急ぐとガイドブックに載っていない大きな建物もちらほらあった。そのうちのひとつが宇宙飛行士の毛利衛氏が館長を務める「日本科学未来館」だ。こちらもテレビとかマスコミによく登場する。こんなところにあったのか、と思った。2001年オープンだからガイドブックにも載ってない筈だ。

 この散策コースの終点はゆりかもめのお台場海浜公園駅だ。車内の冷房が待ち遠しい。ところが歩きながら考えごとをしていたら、駅を通り越して、またもやレインボーブリッジの出入口に来てしまった。そこの警備員に聞いたら、海浜公園駅は、信号を二つほど行ったところだとのこと。頭がボンヤリしてくる。さっきから、ワイシャツの襟が汗でビショビショで気持ち悪い。しかし、こうして汗水たらして歩くのが、本来の旅ではないか、と思い返して、今来た道を戻っていった。