弥次:ローリングストーンズてのは、ありゃキース・リチャーズのバンドなんだろうな。これを聴いて確信したよ。
喜多:ストーンズと言えばミック・ジャガーだろ。有名なベロだしマークもミックじゃないか。
弥次:ビジュアルイメージはそうだけど、サウンド面ではキースが主導権を握ってるんだよ。
喜多:どうして、そんなことが言えるんだい。
弥次:ストーンズがミックのバンドなら、ここまでイメージの違う作品を作りゃしないさ。
喜多:そんなに違うかね。
弥次:ダンサブルでカラフルな曲が多いな。生き生きと新しいサウンドに取り組んでいる感じがする。心なしか声まで違って聞こえるよ。
喜多:ストーンズではキースに反対されて出来ないことを思い切りやってるのかな。
弥次:そうかもしれない。
喜多:ああ見えてもストーンズでは苦労してるんだな、ミックも。
弥次:ストーンズでのミックは、“ストーンズのミック”というイメージを崩さないように気を使ってるんだろうな。
喜多:ミックとキースはストーンズの両輪だろ。
弥次:新しもの好きのミックと、頑固なストーンズ節のキースというイメージはあるよな。
喜多:ロック職人キースと、商売人ミックというイメージもある。
弥次:“ストーンズのミック”という需要に応えて、ファンを喜ばせ、ヒットを出すという点で、ミックは優秀なビジネスマンなんだろうな。
喜多:ストーンズでは、ミックのアイデアで最新の音を取り入れたり、流行のプロデューサーと組んでるけど、出来上がった音は、なんだ結局ストーンズじゃんというアルバムが続いてるよな。
弥次:ストーンズファンには、それが嬉しいんだろうけどな。ストーンがいまだに現役なのは、ミックおかげだと思うよ。
喜多:ストーンズは“黒っぽい”とか“ブルース”という言葉で表現されるじゃないか。
弥次:ロック解説本には必ず書いてある、「ストーンズの源流はブルースである」って。
喜多:キースは根っからのブルースマンだと思うんだよ。ソロでもブルース色の強いものを作ってるしな。
弥次:そうだろうな。でも、ミックはブルースにこだわってないと思うよ。初期ストーンズの頃、たまたま流行っていたのがブルースだったから、ブルース色の強い音楽をやるようになったんじゃないかな。
喜多:ミックの新しもの好きは昔からということか?
弥次:そう考えると、キースもミックも昔から変わってないことになるな。
喜多:ストーンズは変わらない。ただ、転がり続ける。
弥次:このアルバムは熱狂的なストーンズファンには評判が悪いみたいだけど、オイラはいいアルバムだと思うよ。同時期に買った、ポール・マッカートニー、ボブ・ディランの中では一番よく聴いている。
喜多:なぜだい。
弥次:3枚の中では一番意外性があるから面白いんだよ。
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