弥次:うちの近所に選挙事務所があったんだよ。
喜多:誰の?
弥次:この本の主人公、元衆議院議員 久野統一郎先生だよ。
喜多:おらが町の代議士先生だ。
弥次:一票も入れたことはないけどね。今では建物も取り壊され、月極駐車場になってる。選挙期間や正月には紅白の幕を張り巡らせ、大勢の支持者が出入りして賑やかだったなあ。
喜多:つわものどもが夢のあと。
弥次:久野統一郎元先生は、つわものってイメージじゃないけどね。1999年、3期10年務めた代議士を「自分には向いていない」というある意味、良心的。ある意味、いい加減な理由で引退しちゃった。この本は、その経緯を書いてるんだ。
喜多:議員を辞めた時は、それなりにマスコミで取り上げられたけど、政治の世界も変化が激しく、今じゃ「そんな人いたよなあ」って感じだよな。
弥次:大物政治家じゃなかったからね。彼が阪神淡路大震災の時に現地対策本部長として、被災地で陣頭指揮を執っていたなんて誰も知らないだろ。
喜多:知らねえな。
弥次:影が薄いんだよ。
喜多:テレビニュースで国会議員が映ると、「おっ、こいつは○○の息子だ」「△△の孫だ」って思うことが多いじゃないか。
弥次:そうだな。代議士は世襲制みたいに思えるよ。
喜多:どうして、世襲代議士が多いんだろ。
弥次:息子が後継者だと、地元の後援会が分裂せずに済むんだよ。
喜多:誰を後継者にするか、それを誰が後押しするかで勢力争いが起こるんだな。
弥次:そういうこと。
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