チャールズ・ローゼン
Charles Rosen
(1927 -)
    別に大好きでもないのだがいつの間にか録音が結構集まってしまったピアニストというのがいる。恐ろしく失礼な話であるが、それも何かの縁、紹介してみたいと思う。チャールズ・ローゼンである。
 ローゼンはピアニストしての顔以外に音楽学者としても優れた本を出版している。むしろそちらの方が有名であるかもしれない。しかし、ピアニストとしてのローゼンは実に渋い選曲でレコードを残しており、決して頭でっかちの評論家ピアニストではないのである。例えばバッハ。フーガの技法、音楽の捧げものより3声6声のリチェルカータ、ゴルドベルグ変奏曲、実に見事な選曲である。かと思えばブーレーズのソナタ1、3番。知的な作品に興味があるのかと思えば、ゴドウスキー、ローゼンタール編曲のシュトラウスのワルツを含む「ヴィルトーゾ」。そのレパートリーは幅広い。
  ローゼンの演奏は明快である。先にあげた「ヴィルトーゾ」などまったく彼の芸風に合わない作品であり、事実理知的アプローチで弾ききっている。ブーレーズ、カーターのソナタ等現代作品を弾くピアニストが同じくシュトラウス−ゴドウスキー「酒・女・歌」を演奏するとはあまりにもイメージが違いすぎる。しかしその雑多なレパートリーは彼の「研究」の一環なのであろう。ローゼンの基本姿勢は「ピアニズムの探求」なのではないだろうか。ピアノという楽器の可能性、それはローゼンにとって観念的なものであるかもしれないが、その追及こそが「音楽学者−ピアニスト」チャールズ・ローゼンの真の目的ではないだろうか?先のバッハアルバムを見るまでも無く彼にとって鍵盤は非常に観念的なものであるように思われる。ピアノという楽器の扱われ方、しいてはその限界を追求したような気さえする。超絶技巧、これはロマン派の作品だけでなく現代作品にも(むしろ現代作品であるから)要求されるものだからである。
 
 

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