レイモンド・レーヴェンタール
Reymond Lewenthal
(1926 - 1988)
   ルーウェンサールとも表記されることのある、黒マントの怪しいおっさんであるが、その風貌どおりロマン派の曲を熱っぽく弾くピアニストである。マニアの間ではお馴染みだが、ロベルト・スミスと並んでアルカンの作品の再評価に一躍かった人物と知られている。近年再評価されつつありアルカンやロマン派協奏曲の録音がCD化されている。またスクリャービンやガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」「ピアノ協奏曲」の録音もあり、想像以上に柔軟なレパートリーの持ち主であったようだ。リストの「死の舞踏Totentanz」は構成、管弦楽にまでレーヴェンタール自身が手を加えたもので、原曲以上に濃い作品となっている。彼自身によるグリエールの「ロシア水夫の踊り」の編曲は不協和音を多用した(といっても基本和音に短2度を絡ませた程度)もので独特の濁りのある和声が彼の基本的な演奏スタイルを髣髴とさせる。海賊盤で自演を聴いたがむせ返る様な熱っぽさでおそらく会場の聴衆は大いに盛り上がったことは想像に難くない。
 レーヴェンタールの魅力は一言で言えばその熱っぽさにあるといえる。冷静でないのである。勿論力任せに作品をねじ伏せるタイプのピアニストではないのだが、その歌いまわしは絶えず唸り、鍵盤を押した指を更に震わせてビブラートをかけようとする姿が目に浮かぶような演奏である(勿論打鍵後指をいくら震わせてもビブラートなどかからない)。こんな弾き方をする人をどっかで見た事があるなぁ、と思っていたのだが最近古いビデオを見ていて打鍵後指を震わせビブラートをかける(だからかからないのだが)ピアニストを見つけた。ラヴェルのピアノ協奏曲を弾いているバーンスタインである。バースタインとレーヴェンタール。まったくタイプの違うように思っていたが意外に両者には共通する「熱っぽさ」があるのかもしれない。  

My favourite pianist

Music index

Home