ニコライ・ペトロフ
Nikolai Petrov
(1943-)
    ロシアにはすごいピアニストがたくさんいるが中でもニコライ・ペトロフほど正にロシアの重戦車と言うにふさわしいピアニストもいないのではないだろうか。 クライヴァーンコンクール、エリザベートコンクールで上位入賞しているが、第3回チャイコフスキーコンクールでは優勝確実といわれながら手の故障によって出場できなかった。しかし、ペトロフは当時から「ソビエトを代表するピアニスト」として国家的に押し出されていたようである。若干30代にして当時のメロディアからプロコフィエフのソナタ全集を録音したということからも国家的に期待されていたピアニストであることがわかる。
 彼はとにかくテクニック、メカニックを重視する。彼にとってミスタッチということは最悪の事態であり、音楽的表現がいくらすばらしくても、たった一つのミスタッチによってすべてがダメになってしまうほどのダメージであるらしい。そんなことを言い出すと世のピアニストの大半はピアノを弾くのがいやになってしまうのであるが。
 ペトロフのレパートリーは主にロマン派から近現代の作品が多い。確かなテクニックとピアノをひっくり返さんばかりの打鍵力を発揮できるからであろう。もちろんバッハなどの録音もあるが、彼にとって有名曲は「ファーストフード」のようなものであまり食指が動かないらしい。リストの悪名高い「パガニーニ練習曲」の初版やロシアの現代作曲家、ロディオン・シチェドリン、ニコライ・カプスチンやスベトラーノフの協奏曲等の演奏録音を見れば頷けるであろう。年代的にはポリーニとほぼ同世代のピアニストであるがロシア国内に残っていたせいもあり、その録音はLP時代にメロディア原盤の日本ビクター盤が発売されただけでいまだCD化されていないものを数多くある。バーバーとシチェドリンのソナタのLPなどどのような演奏なのだろうか?
 最近のペトロフはどう見ても太りすぎである。心臓に相当の負担がかかっているのではないかと心配になってくる。大きなお世話だろうが、ファンとしては少し節制されては如何なものかと思う。
 

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