イゴール・ジューコフ
Igor Zhukov
(1936 - )
    フーズムピアノ珍曲祭でもお馴染みのロシア出身のピアニスト、イゴール・ジューコフである。私はジューコフの演奏、特にロシアものに関しては大好きな演奏家である。最近のジューコフはその独特の解釈が深化しておりスクリャービンの最近の再録音では異常なまでに遅いテンポをとっており、メロディーが崩壊したかのような演奏である。ジューコフ・ファンにはたまらない緊張感なのではあるが、万人には向かないであろう。しかし、ソヴィエト、メロディアで録音されたスクリャービンのソナタ全集、幻想曲はそこまで極端なテンポではなく実に素晴らしい演奏である。私は旧録音の方が好きだ。メロディアに残したジューコフの録音はどれも名演ぞろいである。チャイコフスキーやメトネルの協奏曲で見せる大味ながら(むしろこれは美点である)ロシア情趣にとんだ演奏、スクリャービンのソナタで見せる渋い音色などジューコフの魅力は大きい。
  私が特に好きなアルバムはメトネルの協奏曲1番である。メトネルの自演も残されている作品であるが、ジューコフの演奏は作品の素晴らしさを伝える名演であろう。後半のテーマが戻ってきてからの盛り上がりなどはジューコフならではの熱い演奏でまさに「ロシア演歌」の真骨頂である。これは他の演奏家からは聴くことの出来ないものである。

 ジューコフには編曲作品もありバッハ「オルガンのためのパッサカリア」の編曲は名編曲である。最近の演奏はあまりに個性的すぎると感じる方は是非メロディア時代のジューコフを聴いていただきたい。その録音の大部分はCD化されたので聴く機会もあろうかと思う(今調べてみると残念なことに随分廃盤になっているようである)。

 

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