高橋悠治
Yuji Takahashi
(1938 - )
   高橋アキさんのお兄さんである。アメリカのデヴィッド・チュードアと並ぶ現代音楽界のカリスマピアニスト。作曲をクセナキスに師事し、「ヘルマ」の献呈、初演を行っている。クセナキスによると「ヘルマ」作曲中周りの作曲家、演奏家は「1人での演奏は不可能だ、2台ピアノに書き直しては」と忠告されたらしいが、楽譜を高橋悠治に送ると「大変難しいが演奏可能」という返事を得たという(まぁ仮に「ヘルマ」が2台ピアノの作品になっていたといても「大変難しい」と思うが)。そして短期間で「ヘルマ」の初演を行った。この頃の高橋悠治は伝説が多くピアニスト急病のため、ふらりとやって来てバースタインの「不安の時代」を弾いたとかほとんど練習なしで新作室内楽作品のピアノパートを弾いたとか挙げれば切りがない。坂本龍一氏によれば現在でも家にピアノがないのが自慢ということらしいが本当なのだろうか?ちなみに坂本龍一氏とは「新ウィーン楽派ピアノ集成」でシェーンベルグの初期作品を連弾している。
 70年代には現代作品だけでなくバッハを始めクラシック作品も録音している。ただ、その選曲はいかにも作曲家=ピアニストらしい。バッハでは「パルティータ6番」、「音楽の捧げもの」3、6声のリチェルカーレ、「4つのデュエット」。ドビュッシー「映像1、2集」、「版画」「喜びの島」、パーセル最後の曲集等々。現代作品ではケージ「プレピアドピアノのためのインターリュードとソナタ」、クセナキス「ヘルマ」「エヴリアリ」メシアン「4つのリズムエテュード」と何でもありである。バッハのピアノ協奏曲集では緩叙楽章を電子ピアノで演奏ということまで行っている。
 演奏はなんとも不思議な演奏である。バッハを弾いていてもクセナキスを弾いていても同じなのである。これは氏の(この当時の)音楽観、様式というもののとらえ方から来るものなのか、練習不足から来るものなのかは判らない。しかし、さすがはカリスマピアニスト、聴き応えのある「問題作」といった感想を抱くのは私だけだろうか?
 

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