Concerto For Orchestra With Solo Trumpet, Piano, Vibraphone And Double Bass
(Concerto Grosso)

作曲
 
アンドレイ・エシュパイ
演奏
 
エフゲニー・スベトラーノフ指揮
アナトリ・マクシメンコ(トランペット)
ピオトル・メシャニコフ(ピアノ)
ボリス・ステパノフ(ヴィブラフォン)
ロディオン・アザルヒン(ダブル・ベース)
 
  ロシアのジャズ系クラシック作曲家は現在ではニコライ・カプースチン、アンレクサンドル・ローゼンブラットなどが知られているがソヴィエト時代からジャズを取り入れた作曲家は存在する。最も有名な作曲家はロディオン・シチェドリンであろう。彼の第2ピアノ協奏曲は「ジャズの経験のある」ソリストを必要としたものであり、3楽章「コントラスト」ではジャズが現代風の作品中に挿入されるように展開される。ショスタコーヴィチにも「ジャズ組曲」があるし、ソヴィエト、ロシアにおいてもジャズの影響を受けた作曲は少なからずいるのである。
 さてエシュパイの「コンチェルト・グロッソ」であるが、ロシアのジャズ系クラシックの最も素晴らしい成果の一つであろうかと思われる作品である。ピアノソロによって始まる勢いのいいジャズ風のテーマを聴いただけで「つかみ」は十分である。とにかくかっこいい曲である。ソロイストはあくまで合奏内でのソロを受け持つ1人でありそれが「コンチェルト・グロッソ」の題名の所以であろう。曲は単一楽章で最初のテーマをピアノ、トランペットがなぞりヴィブラフォンが受け継いでゆく。弦楽器群もなかなか熱い。前半はとにかく勢いに乗せて一気に駆け抜けてゆく。その後曲は緩叙部分に入り弦楽器群を中心にアンニュイなテーマを提示する。ここではトランペットのソロが入り、ダブル・ベースのソロへと受け継がれてゆく。そして曲想は最初の部分に戻り、ソリストとオーケストラが一体となり盛り上がってい行く。パーカッションを駆使してのテーマの表示、弦楽器群とピアノの熱いかけあい。しかし、問題は終わり方であろうか、突然何の前触れもなく盛り上がりきった所でジャジャジャジャーンといきなり終わる。このあたりがいかにもソヴィエト時代の作曲家らしいのであるが。
 B面に収録されているピアノ協奏曲2番も素晴らしい。ピアニスト、クライネフのピアノは彼独特のやや固めの音色がいかにも曲想にあっており、バキバキ弾いている。しかし幾分クラシカルな作品であり「コンチェルト・グロッソ」の方がジャズの要素を多分に含んでいる。3楽章後半の盛り上がりもいいのだがやはり盛り上がりきったところで唐突に終わる

 本作品は「Music of Andrei Eshpai 2」に収録されている。ただし併録の第2ピアノ協奏曲はピアニスト・クライネフ盤ではなくエシュパイ自身が弾いている別録音である。

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