Sonata for Violin,Piano,Percussion & Contrabass

作曲
 
間宮芳生
演奏
 
黒沼ユリ子(ヴァイオリン)
間宮芳生(ピアノ)
佐藤英彦(打楽器)
津田礼仁(コントラバス)
 
  1966年NHKの委嘱により作曲された本作品は独奏者黒沼ユリ子さんの子息に献呈されている。間宮氏の言葉を借りるなら器楽は「独立の自由で確立された表現力と様式を獲得しようとする半面、やはりすべての音楽の源泉であるはずの人間の声とうたの表現を代弁」この相反する要素の葛藤が「器楽の歴史をつくってきたといえるように思う」ということである。そして器楽が「野性的な声に肉迫」することを目指した作品が本作品の元となった考えであるという。はじめ無伴奏ヴァイオリン曲として構想されたが、二転三転しこの形態の四重奏になったということである。

 曲は4つの楽章からなり1楽章はピアノとヴァイオリン、2楽章は全ての楽器による四重奏、3楽章は最初のプランの名残1楽章のモチーフによるヴァイオリンソロそして切れ目なしに4楽章の四重奏へと続く。さて、内容であるがこの「ヴァイオリン・ピアノ・打楽器とコントラバスのためのソナタ」という厳めしい題名はよい意味で裏切られる。まず1楽章。ヴァイオリンとピアノのバルトーク風掛け合いにより曲は展開していく。最後の部分でそのテーマともいえる「東北地方の民謡」が提示される。そして2楽章。ここで初めて四重奏になる訳だが録音を聴いている者はここで初めて打楽器がドラムセットであることが判明する。コントラバスはピッツィカートのみ、東北地方の民謡を題材としたジャズ・ブルース「僕のブルース衝動」が展開される。3楽章はヴァイオリンソロによる間奏曲。続く4楽章は「”アフリカ”とでもなづけられる」ものでコントラバスのギターのピックのような硬いものによるピッチィカートと中央アフリカの2種のリズムパターンの上に「自由でエキサイティングな旋律とリズムが展開される」。

 この作品の最大の聴き所はなんといっても2楽章であろう。ジャズによる民謡パラフレーズとでも言うべき楽章である。しかもこのレコード楽譜付きという大サービスである(再発レコードにはついてない)。「音楽芸術」の付録楽譜として印刷されたこともあるが現在音楽之友社のHPでは貸し譜として扱われているようである。本作品があまり演奏されない理由は楽譜の問題もあるだろう。それとともに演奏者の負担、これはヴァイオリニストに限らず、ある程度ジャズ演奏になれていないとならないためであろう。中古レコード屋でお見かけの際は是非ご購入をお勧めするレコードである(デンオンからCD化されたという情報もあるが未確認。デンオン C-COCO6267)。

 なお本文中の引用部分はレコードの間宮氏の自作解説から引用させていただいた。

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