Dialogues for Jazz Combo and Orchestra

作曲
 
ハワード・ブルーベック
演奏
 
レナード・バースタイン指揮
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
デイブ・ブルーベック・カルテット
 
  お気に入りのレコード、CDを紹介をしようというのがこのコーナー。最初の一枚は何にしようかな、とレコードラックを物色していて目に付いたハワード・ブルーベックの「ジャズ・コンボとオーケストラの対話」を取り上げることにした。

 ハワード・ブルーベックはデイヴ・ブルーベックの兄でカルフォルニア州パロマー短期大学の音楽部長をしているらしい(本レコード発売時1962年当時)。作品はジャズとクラシックの融合、とそのまんまの作品であるが特筆すべきはデイヴ・ブルーベック・カルテットとバースタインの共演ということであろう。曲は4つの楽章からなり1楽章アレグロ、2楽章アンダンテ(バラード)、3楽章アダージオ(バラード)、4楽章アレグロ(ブルース)という構成である。
 1楽章冒頭のオーケストラの金管に始まるカルテットとの応酬は確かに聴いていて面白い。次々と即興的に変化するテーマはこの手の作品の中では良くできている方ではなかろうか。楽譜を見ていないのでどの辺までアドリブがゆるされているのかよくわからないが、多分オーケストラはちゃんとしたスコアでブルーベック・カルテットの方は「緩やかな規制」がされた楽譜になっているのではないだろうか(違うかもしれないけど)。2楽章はブルーベックの独壇場で私の一番好きな楽章である。この楽章はもちろんオーケストラも参加するのだが室内楽風にまとめられている。3楽章は前楽章を受けポール・デスモンドのメランコリックなアルト・サックスが印象的である。4楽章はオーケストラとカルテットが付かず離れず進行していきクライマックスを作り上げる。とはいえもう一ひねり盛り上がって終わっても良いのではないか、という印象を受ける。しかし、この手の作品にありがちな「クラシックくささ」をあえて出していない分、純粋に聴きやすくこのタイプの作品が陥る「聴いていて恥かしい」といったところがないので私は結構好きな作品である。

 デイヴ・ブルーベックはパリでダリウス・ミョーに指示したりとクラシカルな面に近い人でジャズ畑からは「ブルーベックのピアノはスウィングしない」と批判されていたらしい。だからこのようなジャズとクラシックの融合作品でアドリブ部分が委ねられても暴走しないのではないだろうか(楽譜を見てないから本当のところは判らないのだが)。一方バースタインはこの頃には「交響曲2番 不安の時代」や「ウェスト・サイド・ストーリー」でジャズの手法はお手の物であるから、この邂逅は当然の結果だったのかもしれない。

 ちなみに本作品は現在「Bernstein on Jazz」に収録されている。

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