女経
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監督 |
増村保造 市川崑 吉村公三郎 |
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音楽
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芥川也寸志 | |
出演
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若尾文子 |
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「耳を噛みたがる女」 |
「物を高く売りつける女」 |
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「恋を忘れていた女」 宿屋を切り盛りしているやり手女将の京マチ子。恋愛よりも損得勘定で生きている実際家である。自分の宿に宿泊している修学旅行生が怪我をすると厭な顔をし、義理の妹叶順子は好きな男と一緒になりたいというが金銭援助をにべもなく断る京マチ子。 そんな京マチ子にも昔好きな男がいた。再会を果たした京マチ子だが男は詐欺の容疑でいきなり逮捕されてしまう。何か吹っ切れた京マチ子は怪我をした修学旅行生に自ら輸血の血を提供し、叶順子と男に援助して送り出すのであった。 |
という若尾、山本、京と増村、市川、吉村のという大映を代表する三大女優、監督によるオムニバス女性映画であるが、今現在の目で見るとこれを「女性映画」とよんでいいものであろうか?確かに三大女優に恋愛の描きわけはそれぞれの監督、それなりに見事であるが、内容はあくまで「男が理想とする女の恋愛タイプ」というものではないだろうか。私はそう思う。勿論それが映画としての本作品の面白さのどうこういうものではないがこれを単純に「女性映画」とよんでいいものだろうか。確かに本作はなかなか面白い作品ではあるが、あくまで男の側から見た「女の恋愛タイプ」を描いた映画であり「こんな女がいたらいいのになぁ」という裏打ちによって成立している作品であることは間違いない。 大なり小なりセックスを武器に生きている女を描いているにも関わらず本作が生々しくなくドライな軽い作品となっているのは勿論主演女優、監督によるところが大きいがヤマハエレクトーンを用いた軽妙な音楽を担当した芥川也寸志の功績は大きいだろう。 ところで、第3話での京マチ子と叶順子の応酬は必見である。京マチ子に向かって「貴方は本当の恋愛なんて出来ないでしょうね」と言い放ち「もうそれに、そんなにお若くないのよ」と、とどめを刺す。「鍵」で共演している二人だが京マチ子にこんな科白をいえるのは叶順子ぐらいだろう。 |