ロシュフォールの恋人たち

Les Demoiselles de Rochefort
1965

監督・脚本・作詞

  ジャック・ドゥミ
音楽
  ミシェル・ルグラン
出演
 

カトリーヌ・ドヌーブ
フランソワーズ・ドルレアック
ジーン・ケリー
ジョージ・チャキリス
ダニエル・ダリュー
ミシェル・ピコリ
ジャック・ペラン

 


 

 ジャック・ドゥミ、ミシェル・ルグランコンビによるミュージカル巨編。日本公開から長らくたってそのサントラが復刻され、ブレイク、再映となったので映画館でご覧になった向きも多いのではないだろうか。カトリーヌ・ドヌーブ、フランソワーズ・ドルレアック、「世界一美しい姉妹」の唯一の共演作でもある。
 さて、内容であるがこれはなんと言おうかフランス版橋田壽賀子ドラマといったものである。とにかく小さな田舎町ロシュフォールを舞台に登場人物が脇役に至るまで誰彼に恋する物語である。その強引とも言える物語の人間関係は非常に入り組んでおり説明に窮する。ジーン・ケリーやジャック・ペランなどドヌーブ、ドルレアックのどちらかと顔を合わすのだが、彼等はその反対の姉妹に恋している。ドヌーブとドルレアックは双子という設定だから気がついてもよさそうなものだが、最後の最後まですれ違いに終わる。ジャック・ペランにいたっては従軍中の画家という設定で自分の理想の女性を絵に描くとドヌーブにそっくり、その女性を探しているというかなり危ない男である。またダムという変な名前ゆえにダニエル・ダリューにふられるミシェル・ピコリのエピソードなど「そんなアホな」と思わず突っ込みを入れたくなるような内容である。

 しかし本作の魅力は以上のようなストーリーにあるのではない。とにかく豪華な顔ぶれとミシェル・ルグランの音楽、この二点がこの作品のポイントである。手元にある公開時のパンフレットに掲載されている辛口で知られる映画評論家故荻昌弘氏のコメントがこの映画の本質を言い当てている。
 「センスあふれる豊かな色彩、憧れに満ちたルグランのメロディ、そして、世界と人と愛する喜びでこおどりしている登場人物たちに童心のような素直さで共感し、陶酔すればいいのである
 私はアホらしいと思いながらも本作品は結構好きな作品である。ドヌーブ姉妹の共演、最近ではいいオッサンになってしまったジャック・ペランの二枚目ぶりや、明らかに「ウエスト・サイド・ストーリー」を意識したダンスシーンなどそれなりに見所のある映画である。

 


    本作のルグランの音楽は映画音楽としては傑出したものである。サウンドトラックに入っているのは完結したミュージカルナンバーだけだが、映画中ほどでペラン、ドルレアック、ジーン・ケリー、ドヌーブと6分近く続く往来でのシーンは会話と音楽が一体化しており見事である(これらを含む完全版サウンドトラックも後に発売された)。ミシェル・ルグランもこの映画のサントラは特にお気に入りだったようでオーケストラに編曲しアルバムを作っている(左写真)。また他のアルバムでもナンバーのいくつかを演奏している。
 ミシェル・ルグランの音楽だけでも見る価値のある映画といってもいいだろう。

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