ぼんち 1960 |
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監督 |
市川崑 | |
製作
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永田雅一 | |
原作
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山崎豊子 | |
脚本
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和田夏十 市川崑 | |
出演
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市川雷蔵 若尾文子 中村玉緒 京マチ子 |
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「炎上」に続く市川雷蔵、市川崑コンビによる映画。原作は山崎豊子の同名小説。ぼんちとは関西弁で「若旦那」や「ぼっちゃん」の意味で現代でも「ぼんぼん」という言葉が残っている。 主人公、船場の足袋問屋の「ぼんち」市川雷蔵の半生を豪華女優陣と脂の乗り切った市川崑の冴えた演出で描いた傑作である。エピソード羅列体とでもいうべき脚本、山田五十鈴、船越英二等の脇役陣の熱演もあり活き活きと市川雷蔵がぼんちを演じている。宮川一夫の撮影も素晴らしい。 本作品の企画は市川雷蔵によって持ち込まれたと云う。市川雷蔵は俳優としてだけでなくいずれは監督やプロデューサー業を考えていたらしい。その37歳の死は無念であったと察せられる。 |
本作の面白さは俳優陣の素晴らしさもさることながら原作とは微妙に違う視点から描いたところにもあるだろう。原作では時系列は同時に進行するが映画では回想形式、ラストも原作では「女は卒業。自らの人生再出発」といった男らしさを感じさせる前向きなものであるが映画では「女はもうこりごりですねん」という諦観をさえ感じさせるものとなっている。これは本作品をどこかしみじみとした雰囲気に仕立てラストシーンのぼんちが玄関の引き戸を開けて出て行くシーンを深く印象付けている。 |
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