故あって、今回ばかりは言わずもがなの自注を。

 

風立ちぬ、とやら 雄蕊不随曼珠沙華扶桑金輪(ふそうこんりん)罰讒害穽(ばつざんがいせい)

 

〇意味的に

風が吹く。「風立ちぬ、いざ生きめやも」か。目の前に彼岸花がある。雄蕊は多数あってもしがないものだ。

(男なんぞそういうものだ。)俺の多恨の人生だって、言ってみれば、項羽の「抜山蓋世」とまでは行かず、

この国土の上で、人を貶める奴を叩き(罰讒)、落とし穴を潰す(害穽)、

つまり卑怯者を挫くくらいのけちな人生だよなあ。

 

〇語句的に

雄蕊不随:ゆうずいふずいは音韻重視

 

扶桑:日本、もしくは東の果て・・・(1)

金輪:大地の上層、また「金輪際」を想起すれば地下の果て・・・(2)

上記(1)(2)より

扶桑金輪=「日本国土」、そうまで言わなくても「視野の限り」程度と解されたい

 

〇読者への期待

@「雄蕊多恨」の標題より⇒「雄蕊不随」の意図は明瞭(独立性に欠ける、か)

A「ばつざんがいせい」のルビ⇒(項羽の)心意気、から転じて作者の心意気⇒

字をたどれば《卑劣なものを屠る》意味に到達してもらえまいか

B背景に「いざ、生きめやも」の主調を置いた

 

○つまるところ

理屈を捏ねればこうなるが、これらの語彙に纏わりつく、読者諸賢の「暗黙知」がなんとなく

内的調和を形成してくださればいうことはない。「なんだか判らないけれど面白いね」と。

嘗てキン肉マンを評する名文句があった。

《コトバの意味はよく判らんがとにかく凄い自信だ》と。

以上

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