愛している・・・でも二人は同じ血が流れる兄と弟
第6話

長く深い熱いキスに俺は、うっとりと瞳を潤ます。

気持ちいいな、キスって。

そう思った矢先、兄者は俺の唇から離れていく。

えーっ、もう終わり?

もっと兄者とキスして、いたかったのになぁ。ちょっと残念。

「お前は俺の一番の宝物だ」

俺も、兄者が一番の宝だし、誇りだよ。

そう言うと、兄者はいつもより優しく微笑む。

「可愛いな、お前は本当に」

離れた唇で俺の髪にキスをする兄者。

キスしてもらいたいのは、そこじゃないのにぃ〜。

ちょっと半べそ気味の俺。

「もう、俺は耐えられそうも無い」

兄者は俺の手を取るとそっと、自分の股の間に当てさせる。

皮パンを破るような堅さと大きさに俺は驚いた。

隆起した逞しい兄者の膨らみが

力強く脈打つのが手から伝わってくる。

「一鍬、愛している」

えっ?今、なんて言ったの?

俺の質問なんか無視して兄者は俺を押し倒した。

俺の真上にいる兄者。

その兄者は俺と身体を密着させてくる。

兄者の心臓と股間の膨らみの熱さと鼓動が、俺を再び熱くさせる。

「お前が、欲しい」

兄者なら、いいよ。

兄者が欲しいなら命さえもあげるよ。こんな俺でいいのなら。

「いいのか?一鍬」

うん。

「もう、元の兄弟に戻れないぞ。それでもいいのだな」

戻れないって?

「お前、解ってないのか?」

驚いて目を丸くする兄者。ふふふっなんだか、可笑しいや。

「笑ってる場合か・・・?」

兄者は呆れ顔をしながら、俺から身体を離れようとする。

嫌だ!離れないで兄者!

俺は、必死に兄者が離れないように抱きついた。

もう、俺の側から離れないで。どこにも行かないで。

あんな辛い思いは・・・嫌だ。

涙で視界がボンヤリしていく。

「どこにも行くものか、俺はお前の側にいるぞ」

うんうん。ずーっといてよね、兄者。

「お前が覚悟してなくても、もういい」

兄者は抱きついている俺をそっと離すと、

俺の身に纏っている衣服を剥ぎ出す。

覚悟って・・・もしかして。

纏っていく服が一つ、一つ肌から離れていく。

露わになった素肌と欲望が兄者の目の前に晒される。

兄者も衣服を脱いでいく。

日に焼けた逞しい筋肉質の身体に、俺はまた、うっとりと眺める。

本当に格好いいよなぁ、兄者って。

全てを露わに晒して兄者は、俺に再び向かう。

瞳と瞳が合う。

兄者もまた俺と同様、瞳が潤んでいる。

兄者が何を求めているのか・・今、解った。

何が戻れないのか・・今、解った。

覚悟を決意した意味を込めて、うんと頷いてみせる、俺。

兄者はそれを受け取ると、俺を強く強く抱きしめて熱い肌を重ねてきた。

二人の関係を深めようと、お互いに欲望を貪る。

どうなってもいい、兄者となら・・・。

何も怖くないよ、俺。


第7話に続く

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