愛している・・・でも二人は同じ血が流れる兄と弟
第9話
少し呼吸と鼓動が落ち着いた所で、ずるっと兄者が俺の体内から抜き出した。
内臓が引きずりだされるような感覚に、あっと声が出る。
「大丈夫か?」
兄者が出て行った部分が、じんじんと甘い感覚に痺れている。
「まだ、兄者が入っているみたい・・」
兄時屋は困ったように、俺と、今まで入っていた部分を交互に見る。
俺は、大丈夫と言うと、そっと状態を起こす。
兄者は優しく起きるのに手を貸してくれた。
「無理するな、まだ寝ていた方が・・・」
優しいなぁ。そんな兄者の気遣いが嬉しい。
「ねえ、兄者」
「なんだ?」
「兄弟じゃなくなったら・・どうなるの?」
俺の言葉に一瞬、凍り付く兄者。
何か、いけない事を聞いちゃったかな。
「お前、後悔して・・・」
ううん、違うよ。後悔なんかしてないよ。
「ただ、何になるのかなーって。ねえ、恋人っていうのに慣れないの?」
兄者は、丸く驚いた目で俺を見つめる。
「ご、ごめん。なんかずうずうしい事を言っちゃたみたいで」
兄者は少し、へこむ俺に優しく暖かく微笑む。
「恋人か・・・。いい響きだな」
「兄弟から恋人になれるんだね」
兄者は微笑みを少し崩すと苦く笑う。
「いけないの?こんなに好きなのに」
「・・・・同じ血が流れているからな、俺とお前は」
「兄者・・・」
「でも、俺たちはそれを越えたんだ。何も怖くない」
そう言うと、俺をぎゅっと抱きしめた。
「もう、迷わない。もう逃げない。お前が好きだと言うことから」
俺の顔に兄者が近づく。
「だから俺の愛しい人になってくれ、一鍬。俺の一番の・・・」
うん、もちろんだよ。
俺は、ずーっとそうだった。兄者が好きだった。
ずーっと愛しい人だった。ずーっと一番だった。
「こんな、カッコイイ兄者の一番の人になれるなんて嬉しいな」
そっとおでことおでこをコツンとつけてみる。
ふふっとお互いになんとなく笑いあう。
そっと互いの唇にキスをする。ちゅっという可愛い音。
ちゅっ、ちゅっとなんかいかキスをする。
俺の腹部に堅いモノがあたった。
「す、すまん。その、あの・・・」
「兄者、また元気になっちゃた?」
兄者は、すまなさそうに上目使いで俺を見る。
「いいよ、兄者。しようよ・・また」
「で、でもお前に負担が・・・」
俺は、兄者の首に腕を回し、頬にキスをする。
「俺は兄者の恋人なんでしょ?」
「ああ・・・」
「だったら・・・したいな兄者と・・また」
だって、俺のもまた・・・元気になっちゃったんだもん。
「何度でも愛し合いたいな」
うっとりと俺は兄者を欲望に濡れた瞳で見る。
「また、兄者で気持ち良くなりたい。してあげたい」
「一鍬!!愛している!」
俺も・・・愛しているよ。兄者の事を。
また恋人としての時間を楽しみあう為に
お互いを求め、まだ二人のぬくもりが残る
布団の上へと、抱き合いながら倒れこむ。
これからは、恋人として兄者のそばにいられるんだね。
俺ってなんて、幸せなんだろう。
でもね、みんなには内緒なんだって。驚くから。
俺的には、みんなに言いたいけれど・・・
ま、秘密の恋もいいかも・・ね。
終わり
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