青年海外協力隊
Japan Overseas Cooperation Volunteers

活動の現状と分析

執筆中


「変えることのできないものに対しては、それを受け入れるだけの冷静さを、
変えることのできるものに対しては、それを変える勇気を、
そして、変えることのできないものと変えることのできるものとを
見わける知恵を私に与えてください」
(ラインホルト・ニーバー)

目次

はじめに
  1. 隊員の活動状況
  2. 協力隊員が直面する主要な問題とその分析
  3. 隊員活動に対する主要な批判とその分析
  4. 他国際協力機関との比較
  5. 提言
このページの情報の無断引用はご遠慮ください。

0.はじめに

 このページの目的は、隊員の活動にあたり、問題点を明らかにし、共有することにあります。
 とある小説家の語るところによれば、「問題を正確に把握し、目標を設定し、解決策の仮説を立て、実行し、達成を得る」という過程は本質的にスリリングなものだといいます。
 その小説家、つまり村上龍のことなんですが、以下のようにも語っています。

「以前、映画『タクシードライバー』の脚本家であるレナード・シュレーダーから、
この世には2種類の物語しかない、という話を聞いたことがあります。穴に落ちた人
がその穴の中で死ぬ物語と、穴に落ちた人がその穴から脱出する物語です。穴から脱出するために、まず必要なことは何でしょうか? まず絶対に必要なのは、自分はこの穴から脱出したいのだとはっきり認識することです。そして、その穴がどういう穴で、自分がどういう状態なのかを客観的に把握することです。自分の意志を確認し、穴の状態を把握して、はじめて解決策について考えることができます。」(JMM,No.116)

 任国における隊員活動はまさしくその活動過程において、「問題を正確に把握し、目標を設定し、解決策の仮説を立て、実行し、達成を得る」という過程を実現することが求められています。相手国の問題解決のために派遣される、少なくともそう考えて赴任するわけですから。けれども、赴任してすぐ気がつくのは、問題は相手の中だけでなく自分を含めて存在しているということです。援助というのは難しい行為です。その難しさを知ったときに、相手国の問題以前に、自分自身が穴に落ちていることに気づくわけですね。
 しかしながら、実際問題として、多くの隊員にとって、自分がどういう状態なのかを客観的に把握することは非常に難しいといえます。もっともこれは隊員だけには限りませんが。

 隊員の多くが赴任後直面するのは、いわゆる理想と現実のギャップです。あるべき姿と現実のギャップに直面したとき、自分のあり方と周囲の状況を、どの程度まで認めるかという問題です。同時にその原因が自分にあるのか、周囲の状況にあるのかを考えることが目の前の切実な問題となって立ち現れてきます。できれば誰しもが自分のせいにはしたくないですからね。ましてや相手国の問題解決のために来たのだという自負があります。 
 もちろん非常に恵まれた才能と能力、および整えられた環境で存分に自分のやりたいことができている一部の隊員もいると思われますが、その場合はここで取り上げる必要はないでしょうし、実際問題、そうした状況は、問題が存在していないからではなく、問題が問題になっていない状況であると思われます。

 たとえば、コミュニケーションの問題を考えてみましょう。
 言葉の問題は外国で暮らす場合に直面するもっとも大きな問題のひとつです。理想はもちろん赴任当初から話せることですが、なかなかそうもいかないでしょう。受け入れる側の問題ももちろんあります。あまり話すことができなくても受け入れ側の姿勢一つでずいぶん様子も変わります。また、言葉があまりうまくなくても友達をつくるのに長けた人もいます。
 受け入れ側がしっかりとフォローしてくれ、友人もいるとなると言葉の問題は本質的なものではなくなります。コミュニケーションが成立しているわけですから。「問題が問題になっていない」というのはそういうことです。

 なにが問題となるかというのは隊員の活動によってずいぶん異なります。実技や技術の指導に言葉の問題は必要にせよ、意見の調整や組織化や意見の調整を行わなければならない場合にくらべ、要求されるレベルは若干低くなるでしょう。

 問題を把握するということは、原因を追及することに似ていて、まったく異なる行為です。
このページの目的は問題の原因を明らかにすることではなく、問題を問題としてとらえ、それを問題ではないレベルに持っていくためにはどうすればよいかということです。
原因を追求することに労力を費やすよりは、原因を原因として認めた上で、それが問題とならないようにものごとの方向を持っていく方がより建設的だと思います。




1.活動状況

指標とその分析
 隊員活動の現状を把握するための指標はいくつか存在しているが、まず、必要なのは隊員数の増減の把握である。全体に隊員数が多いと隊員の直面する問題が顕在化してくる傾向にあるといえる。
 隊員の絶対数の多い任国では多くの場合、隊員は見かけ上の環境にかかわらず、実質上孤立した環境におかれがちである。集団としての位置づけは存在していても、相互の関わりは個人的なつながりをのぞいて強固とはいえない。社会力学上、こうした状況は強い社会不安をもたらす傾向にある。見えない規範が強くなり、それを回避する手段は少ない。こうした環境はしばしばスケープゴートを作り出し、組織自体の存続を危うくさせるのである。
 年齢もしくは新卒隊員であるか社会経験があるかという点に関しては、隊員が思うほど重要なものではない。それは隊員個人の属性に関することであり、一要素にすぎない。これが重要になる場合は、それがある種の関係を築くのに作用する場合である。たとえば、若いがゆえに配属先から信頼感を得られにくい、文化的に年功序列が強く、年齢が低いと活動が円滑に進まないなどの場合である。いうまでもなく、これは他の属性によって、代替可能である。一般論ではあるが。
 重要なのは個人の属性あるいは配属先の性質ではなく、相互の関係をあらわす指標である。たとえば、配属先による生活費あるいは活動費の負担状況は重要な指標となる。配属先がどの程度まで隊員を必要としているか、あるいは隊員の立場がどのようなものであるかをある程度推定することが可能であるからである。規定上は配属先が半分以上負担することになっているが、実際はJOCV側が全額負担している場合がしばしばみられる。要請の段階での条件の甘さに起因するともいえるが、しばしばこのあたりが配属先との関係を左右する。
 

1-1 グァテマラ隊員数推移(2001年2月現在)

隊次 隊員数 任期短縮 任地変更
平成6年度1次隊
平成6年度2次隊
平成6年度3次隊
平成7年度1次隊
平成7年度2次隊
平成7年度3次隊
平成8年度1次隊
平成8年度2次隊
平成8年度3次隊
平成9年度1次隊
平成9年度2次隊
平成9年度3次隊
平成10年度1次隊
平成10年度2次隊
平成10年度3次隊
平成11年度1次隊
平成11年度2次隊 25 1
平成11年度3次隊 22 0
平成12年度1次隊 15 0 0
平成12年度2次隊
平成12年度3次隊
累計
現隊員数


1-2 職種別隊員数(2001年2月現在)

 

各隊次着任時 工業部門 農林水産部門 教育文化部門 医療部門 合計


1-3 年齢層および社会経験の有無

上記の理由により掲載見送り。

1-4 主要な配属先


1-5 年代別新規配属先の割合


1-6 隊員数のうち、生活費を配属先が負担している割合


1-7 一人あたりの調整員に対する平均隊員数


1-8


2.協力隊員が直面する主要な問題とその分析

 協力隊員の直面する問題というのは、意外にバリエーションが少ないものです。また、その大部分は以前からさほど変化があるわけでもありません。
 協力隊員は訓練所時代、必ず読むように薦められる本があります。伴正一著『ボランティア・スピリット』もそのひとつです。この本そのものの評価はともかく、ここで述べられている隊員の直面する問題の内容は、25年の年月を経てもあまり変化していないことには驚かされます。また、協力隊員に対する取材を行った際に、だいたいどの隊員も同じような不満を持っていることもしばしば指摘されます。

 問題そのものを指摘するよりもその問題をどのように解決していったかという成功例を載せるべきという意見も考えられますが、問題の解決策というのは非常にバリエーションがあり、また個別の環境によって大きくことなるため、一般化することは困難で、また危険でもあります。
 まず、「落ちた穴」を冷静に確かめることが大事なことであると考えています。


生活


業務


隊員会


事務所あるいは調整員


その他諸機関との関係


3.隊員活動に対する主要な批判とその分析

3-1 隊員の位置づけ − 技術供与か青少年の育成か


3-2 隊員の管理 − 隊員にはどこまでの行動が許されるべきか


3-2 業務レベル − できることとできないこと


3-4


4.他国際協力機関との比較

4-1 アメリカ平和部隊


4-2

4-3 他国際援助機関 − 援助機関として協力隊を考えた場合


5.提言



6.最後に