【拍手御礼・成田さんち〜その18〜】
「ん……」 「まぶしい……」 「まこ?」 糸は、眠りに落ちる直前まで感じていた筈のぬくもりをまさぐった。 「あれ?」 真の存在を求めて糸の腕が空をさまよう。 「はっ!?」 糸は、真の代わりに抱えていたらしい大きな枕に気づいて跳ね起きた。 「まこっ!!」 寝室から飛び出して台所に飛び込んだ糸の目の前には、 エプロンをまとって朝食の準備を済ませたらしい真が、 微笑んで立っていた。 −−−うわー −−−それは、昨日とも寸分違わないくらいの見慣れた光景だった。 「今日はあたしが当番だろ?」 糸が逆切れしながら、真に問い質す。 糸と真は、籍を入れて一緒に暮らすことに決めた1週間前から、 きっちりとお互いの家事の分担を相談して分けてあったのだ。 「いーじゃん」 「先に起きた方がやれば」 真が、糸に何も言い返す余地を与えない笑顔で、爽やかに言ってのける。 「それより早く着替えておいでよ?」 糸は自分の露な格好に気づいて、急に恥ずかしくなる。 どこまでも、糸は真に適わないでいた。 「でも オレ」 「?」 「ちゃんと起こしたんだよ?」 「え??」 「糸さんてば 何をしても起きないんだもん」 真がいたずらっ子のような顔でにっこり笑う。 「??ええ???」 何をされたのか、糸には全く身に覚えが無かった。 返答に困っている糸に、真が更に笑顔をたたえて畳み掛ける。 「窒息しそうなくらいにちゅうしてあげたのに♪」 糸の顔が、今にも爆発しそうなくらいに、真っ赤になった。 〜幸せな朝〜 |