クリスマスプレゼント
****************************************************************************



「だいぶ遅くなっちゃったな・・・」
「そうだね。お兄さんたちに見つからなければいいけど」
クリスマス・イブの今日、糸と真琴は久しぶりにデートに繰り出した。
門限は10時だと、双子の兄にきつく言われていたが、すでに時刻は11時に近い。
今日の目的の観覧車に乗れたはよかったものの、夕食以降まさかあんな騒動になるな
んて。
おかげですっかり心身ともに疲れていた糸は、のんびりと歩いていた。
まだ一緒にいたいという思いもあったから・・・。
しかし、もうすでに家の近くにさしかかっている。
「まこ、ここでいいよ」
「だめ、ちゃんと家まで送るよ」
ほんの少しの距離でも、何かあったらどうするの? とでもいうように真琴は返す。
「兄ちゃんたちも帰ってきてるかもしれないし」
鉢合わせてまた騒動になるのはさけたかった糸は、大丈夫だからといってその場で
帰ろうとした。
「まって、糸さん!」
「ん?」
「忘れ物」
糸の手を引いて自分の胸に抱き寄せた。
そして、そっと唇を重ねる。
「んっ・・・まこ・・・」
甘く痺れるその口付けに、体中の力が抜けていく。
このところ、こんな深いキスをしたことはなかった。
頭の中が真っ白になりそうになる寸前、唇がはなれた。
「離したくない・・・」
真琴の呟きが糸の耳に届く。
真琴もそう思ってくれてるんだ・・・それだけで今は充分だ。
糸は少し大胆かなと思ったが、こんな日だし・・・いいよねと自分の心に問いかけ、
真琴の頬に軽くキスをした。
「今日は楽しかった。また、一緒にいこうな」
今日一番の笑顔で、糸は真琴に言った。
「うん。俺も楽しかったよ。本当に大丈夫?」
「ああ。まこも気をつけろよ!」
糸はあたりに気をつけながら、家までのわずかの距離を走っていった。
完全に姿が見えなくなるまで真琴は糸を見送り、そして自分のアパートへと足を向ける。
さっき糸が触れた頬をやさしく撫でながら空を見上げると、満天の星空が降り注いでいた。
(すごいプレゼントもらっちゃった・・・)
自然と顔に笑みが浮かぶ。
真琴は今日の疲れも吹っ飛ぶほどのプレゼントをもらい、幸せな気分で帰っていったのだった。







***************************************************************************

<<管理人より>>

師匠からいただいた寒中見舞いでございます。
実はこのお話の最初の方を、書きかけの頃に見せていただいて、
即萌え上がって描いちゃったのが、皆さまに非常に評判の良い糸まこ萌えイラストの【13巻より】だったりします。
師匠から影響受けまくりです。ありがたやありがたや<(_ _)>

もっと挿絵を描きたかったんですが(迷惑な)、
そうすると公開がいつになるかわからない予感がしたので、
頬をなでるまこりんを図々しく付けて公開させていただきますvv

師匠、いつもありがとうございます<(_ _)>
お陰様でなかなか糸まこ萌えから脱皮できません〜(笑)。

(2004.02.16)