「うーわー!!
 すごいイルミネーション!キレー!!」

「イヴだし力入ってるみたいね  観覧車は狭いけど」

クリスマスイヴの夜。
糸と真は、とあるテーマパークの観覧車に乗っていた。
勿論ふたりきりで。

糸は真の隣りで小さな子供のように膝立ちで窓を見ていた。

「わっ」

突然、ふたりの乗っている観覧車がゴトンと揺れた。
体勢を崩した糸が、予期せず真の膝にすとんと収まってしまう。


「いらっしゃいませ」
真は糸の来訪をにっこり笑いながらお姫さま抱っこで歓迎する。

「さてそれで 願い事はどうする?」
「・・・・・・・・・」
不意に真に抱き抱えられた恥ずかしさで顔を赤くしながらも糸は答える。

「も・・・門限破りがバレませんよーに(・・・切実)」
「それに使っちゃもったいないでしょ」

「2人だから願い事2つか」
「じゃあひとつ目は」
『2人で劇団オーディション合格しますよ―――――に!』
「ハモるなよー」
「ハモってないよ」

同じことを言ってしまった糸と真。お互いの想いが重なることにふたりの胸が熱くなる。

「糸さんのところにもオーディションの通知届いた?」
「届いた届いた!筆記試験とかあってびびった」
「演劇史とかをやる所もあるそうだよ」
「数学がなきゃOK!!」

「とにかくがんばらなきゃな!」


―――――2人で夢をつかむんだ―――――

糸と真、ふたりの決意が新たに固く誓われる。


「それじゃ・・・もうひとつの願い事は?」
「・・・・・どーせ また同じ事だろ? あたし言わないからまこ言って」
「なんで 2人の問題じゃん」

「言わなきゃこーしちゃうよ」
「!!」

突然、真が覆い被さるように糸を抱き抱え顔に手を添える。

「はなせアホ――――!!」
「だめ 言って」
「う・・・・・・」
「じゃあ おしおき」

と言うが早いか糸の口は真の口で塞がれた。

ほんの少しの我慢かと思っていた糸の唇の全てを吸い込むように真のキスは強く激しくなって行く。
息苦しくなってふっと開いた糸の口から、真の舌が狙っていたかのようにのめり込む。
真の舌は執拗に糸の舌を絡め取りつつ吸い上げようとする。その動きは加速するばかり。

糸は今自分が真にされている激しい行為に圧倒されつつ、信じられない思いでいっぱいだった。
糸の顔を抱きながら押さえつけていた真の長い指が糸の耳を通って首筋へと流れる。
次の瞬間、糸の上着も下着も全てをまとめてたくし上げ、あらわになった糸の乳房を握り締めた。
「・・・・・!?」
さっきからずっと口の中に熱く感じる真の愛撫と連なって、触れられる片方の乳房からもぐっと欲情を感じてしまう。
真のしなやかな手に指に触れられただけで固くなる糸の乳首が猛烈に感じているその刺激を物語っていた。
真はそんな糸の反応を見逃さない。
すかさず、真赤に染まった糸の乳首にむしゃぶりつく。

「ああぁん、いやぁ・・・っ」
声を出すことを許された糸の口から、糸自身ですら驚くような甘い声が漏れた。
この声を真が聞き逃す筈も無く、乳首を舐めまわしながら糸の腰を力強く抱き締める。

「っはっ・・・ぅあん・・・」
抵抗しようと真の肩に置かれた糸の腕に、それまでとは相反する力が込められる。

・・・・・糸は真を感じてしまう。
でも、こんなところで??
気が遠くなりそうな激しい愛撫の中で、ささやかに残る理性が語り掛ける。
理性を取り戻そうと、固く閉じていた目を薄く開けた糸の視界に飛び込んで来たのは
小山のようにまとめられた自分の衣類の向こうで、自分の乳房に音を立てながら吸い付いている真の顔だった。
いつもは見られない上気した男の真の顔に糸の顔はそれ以上に燃え上がってしまう。
しかも自分達の恥ずかしい行為を目の当たりにしてしまった。
恥ずかしさと恍惚とでぐちゃぐちゃになった糸の感覚は既に真を許し始めていた。


糸の乳首を舐めたり噛んだりしている真が激しい息の下からそっと囁く。
「・・・・・今は糸さんを抱きたいんだ」

(そうそう二人きりになれないでしょ?)
真の口から続く言葉が糸にも容易に想像できた。

「まこ・・・・・」

いつもトラブルに巻き込まれ、なかなか二人きりになれない悲しい恋人同士のふたり。
真琴の女装期限が切れるまで、周りの全てと戦わなければならないふたり。
ふたりだけで戦っているにも関わらず、心は通じ合っていても二人きりになれることは少ない。
むやみに二人きりになることも危険を生じるため、迂闊にはできない。

そんな辛い日常が糸の理性をも揺るがしていた。

(まことふたりきり・・・・・)
そう考えただけで糸の中から込み上げる熱いもの・・・。

迷いと戦いながら真を感じる糸のスカートの下から真の手が滑り込みあっという間に下着を下ろす。

「えっっ・・・」
声を出す間もなく、ほのかに潤った糸の小さな入り口から真の指が入り込む。

「あっっ・・・やぁっ・・・・・」
まだ完全に潤っていない道への侵略者は、苦痛以外の何者でも無かった。

「いっっ・・・」
(いたいっ!!)
とすら糸には叫ばせてもらえない。
真が糸の口を何度も何度も塞ぎに来るのだから。
唇に感じる柔らかい真の感触と、大切な部分に感じる鮮烈な痛みの両方で糸はおかしくなりかけていた。
もう既に糸は真のおもちゃになりつつあったのだが。


「はぅっ・・・あんっ・・・」
糸が自分の肩につかまりながら僅かにのけぞった瞬間、
真はさっと糸から指を抜き、いつの間にか外に出していたもうひとりの自分を糸に突き刺した。
それはもう耐え切れないほどに長く固くこの時を待っていて、
その先にはほとばしるようなぬめりのある液を噴き出していたから、
糸の中に埋まっていくのは簡単だった。

「やぁっっ!!いっっ!!」
真に向かい合って抱っこされた形のまま、真っ直ぐに真を受け入れた糸は思わず絶叫する。
突っ込んで来る真を受け入れる糸は快感と激痛の狭間に居た。
狭く細い糸への道を育ち切った真が開きながら勢い良く驀進する。
糸に彼を阻むことなどできる筈もなかった。
ただただ、自分の中に深く熱く真が入ってくるのを感じることしかできなかった。



「まっっ!!あっっっ!!」
そんな糸を無視するかのように糸の裸の胸に顔を埋めたまま、
真を受け入れただけで力尽きそうな糸の細い腰を軽々と持ち上げて上下させる。

糸のささやかな抵抗で締め付けられる真の肉棒は堪えきれない激情に囚われつつあった。

「やだっ!!まこっ!!」
精一杯の糸の泣き声も、真には快感に酔っているようにしか聞こえない。
ただひたすらに、この時を逃したくはなかった。
糸を手に入れることができる機会が、真にはあまりにも少なかった。
どうしようもないくらい糸が大切だった。
かけがえのない女性だった。
自分以外の男に触れられることすら許せない。
だが、普段の真に糸を守る術は切ないくらい限られていた。


卒業するまで・・・・・・。
何度も自分に言い聞かせて冷静なフリを装って来た。

密室にふたりきり。
真の我慢は限界を超えた。
たとえそれがどんなに限られた時間でも。
そのほんの短い時間だけでも糸を自分のものにしたかった。
自分だけのものにしたかった。

今この狭い空間の中で自分は糸の中に居る。
この腕が糸を抱き締めるように、糸が自分の中に収まった真の欲望を抱き締めている。
真を感じている証拠の熱い液を少しずつ真の周りに浸らせながら。

糸の腰の動きを上下から回すように変化させ、糸の反応を見る。
動く度に、くちゅくちゅという真と糸の大切な部分が擦れ合う音が生まれる。
奥深くまで真を受け入れた糸は、真によるその小さな動きにすら顔を反らせる。

「いやぁんっ・・・・・・ぁふん・・・」

ここに居る糸は自分だけのモノだった。
自分だけを感じてくれる糸だった。
自分だけにその身体を許してくれる糸だった。
真の悦びが膨れ上がる。


心の中で何度も叫ぶ。何度も叫んだ。

――――――愛してる  愛してる  愛してる






気が狂いそうな歓楽の渦の中でふと目を開けると、降るような星空の中に自分の顔が映って見えた。
真とひとつになっている今の自分の顔・・・。
ふっと笑みがこぼれる。

――――――やっぱりあたしはこいつには絶対敵わない・・・・・・



「まこ・・・・・!」
糸は真の頭に思いっきり抱きついた。

「・・・糸さん・・・」
真が折れそうなほどに糸を激しく抱き締める。
次の瞬間、糸は身体の芯で真の全ての情熱を受け取った。











―――――高校を卒業して
     家族の皆に真を紹介して
     この先どんな事があっても
     こうして2人一緒にいられますように











大きな観覧車が星の海の中で小さなふたりの願い事を静かに聞いていた。













<裏キリリク-2170>







→→→管理人の製作&おまけ話★