薄暗い廃校となった校舎の一室に糸と真琴は居た。
真琴は壁に寄りかかって腕組みをし、右膝を立てて床に座っていた。
ちょっとむくれているように見える。
普段、あまり感情を表に出さない真琴にこんな顔をさせてしまった糸は、
その向かいにぺたりと座ってゆっくり口を開いた。
「あたしが そばにいてほしいのは真琴だけだから――――・・・」
「あたしも真琴の側にいて 支えになってまこの夢についていきたい」
「それが・・・・あたしの夢」
「あたしとまこは同じなんだ」
「同じ・・・・・」
「ああ もうひとつの夢はアクション女優になることだし!」
「だからこそ一緒に夢を叶えたい」
「誰にも言ったことないけど あたしも一緒の舞台に立つことが目標だから―――――」
「それもただの女優じゃなくて・・・―――――」
(うっ テレてきた)
「じゃっ!そんな訳であたしからも言っといたから 最大の秘密」
ばっと立ち上がろうとする糸の腕を真琴はしっかり掴んだ。
その拍子に、糸は思いっきり真琴の前でしりもちをついてしまった。
「!」
「・・・側に居てほしいって言ったくせに どこに行くつもり?」
「自分の言ったことには責任とらなきゃ」
真琴に顔を抑えられて目を見開くと、その目の前に真琴の顔があって糸は驚く。
「!」
「しかもそんな重大な秘密をずっと隠して」
「・・・望み通り 一生離してやらないよ―――――――」
真琴はにっこり微笑んで、後ろから糸の身体をぎゅっと抱き締めた。
糸は顔を真っ赤にして照れながらも、真琴の腕の中に収まっていた。
さっきまで演劇部員にハメられて、時とふたりで肝だめしをさせられていた糸である。
何故か時から逃げられて、今、同じ建物の中で、今度は大好きな真琴とふたりきりでいるのだ。
ドキドキしないでいる方が不自然である。
しかも、誰にも言ったことのない自分の秘めていた夢と真琴への想いを、
面と向かって一気に告白してしまったのだ。
気まずさも恥ずかしさもひとしおであった。
そんな糸を真琴は後ろから、ずっと優しく強く抱き締めたままで居た。
どのくらい時間が経ったのか。
糸の心拍数は真琴に抱き締められたままなので、一向におさまってはいなかった。
でも、そろそろ外に居るみんなの所に戻らないといけないんじゃ・・・?
「まこ?もう戻らないと・・・・・・」
と、不安に思った糸が顔だけ振り向くと、真琴の顔が急に重なって来た。
不意に軽いキスをされる。
「せっかくふたりきりになれたのに」
真琴の息が糸の顔にかかるほど近くで囁かれた。
糸だって真琴を独り占めしたいといつも心の奥底で願っているのだ。
真琴の気持ちに逆らえる筈がなかった。
糸は、そのまま後ろから感じられる真琴の体温に体重を預けた。
真琴が何の躊躇いもなく今までより深く糸を抱え込む。
後ろから糸に回された真の右手が糸の左の胸の辺りにそっと移動すると、
糸のいつもより速い鼓動が薄い夏物の生地と掌を伝わって真琴に届く。
当然、真琴の速い胸の鼓動もぴったりとくっついた背中から鈍く糸に伝わっていた。
真琴は糸のささやかな、だが確かに女らしさを秘めて膨らんでいる胸を思わず両手で少し抱き上げた。
糸が真琴の突然の手の動きに驚いて振り向く。
が、真琴は右手で糸の顔を固定して、糸の口を自分の口で強引に塞いだ。
「ふっ」
糸は真琴の唇で覆われた自分の唇が思うように動かないのを感じたが、
すぐにそれは真琴からの緩やかな愛撫で快感に変わってしまっていた。
糸が何も言えないでいると、真琴は糸の上着をするっと逃がし、
タンクトップの下から手を滑らせ、なだらかなふたつの丘を守る下着を上へずらした。
真琴の指先が小さな小豆のようなやや固い感触と捕らえた。
それを慈しむように人差し指の先で形取る。
真琴の動きに答えるように、その糸の小さな乳首はしっかりと意志を持って固くなっていった。
真琴は糸から唇を離すと、糸が倒れないように、自分が寄りかかっていた壁に背を当てさせた。
そして自分は糸の隣りに座るように位置を変え、すっかり大人しくなっている糸にキスをする。
糸はもう真琴が置いてくれた壁に体重をずらしてしまっていたので、真琴にされるがままだった。
真琴は糸の唇から首筋へと吸い付くようなキスを移動させて行く。
そして、今朝、時が触れた糸の右の肩に辿り着くと、軽く噛んだ。
「んっ」
糸が思わず小さく声を出した。
無防備な糸も許せなかったが、そんな糸の肌に触れた時も真琴は許せなかった。
それくらい、真琴は糸を好きになってしまっていたのだから。
タンクトップをまくりあげ、下着も難なく上に持ち上げる。
糸の白い素肌の上に赤い乳首がふたつ、熟れた果実のように真琴を誘う。
真琴はひとつを口にくわえ、もうひとつを大事そうに親指と人差し指でつまんだ。
「あ・・・」
壁に寄りかかったまま、糸がくっとアタマを反らす。
その反動で少し前に押し出されたふたつの胸を真琴は大切そうに舐めまわし、弄んだ。
糸はまるで人形のように足を前に投げ出し、手を床に広げて座っていた。
その胸は真琴によってすっかりはだけさせられてはいたのだが。
真琴は糸の吐息と鼓動が更に激しくなるのを感じて、糸のズボンに手をかけ、
糸の細い腰を少し持ち上げるだけで、簡単に脱がせてしまった。
白く長い糸の脚が、薄暗い中でなまめかしく真琴の目に入って来る。
自分の行為に全く逆らわない糸に、真琴の理性も弾け飛んでしまっていた。
真琴が糸の太腿に手をかけると、しなやかに手に吸い付いて来るようだった。
真琴は荒い呼吸の糸の口にキスをしながら、右手を陰部を隠す下着の中に滑り込ませた。
目に見えない茂みを越えて糸の隠された谷間に長い指を入れてみる。
ちょっと奥に入るとぬるい液が真琴の指を覆った。
もう少し中に入れる。
糸の顔が微かに苦痛に歪んだ。
真琴はゆっくりと指を糸の中に馴染ませるように動かした。
(ここに入りたい)
真琴は糸への小さな入り口を隠していた下着を剥ぎ取り、その長い両脚を優しく広げた。
糸の隠れていた茂みと静かに潤いつつある入り口が真琴の目の前に現れた。
まだ潤いきっていないその入り口を待ちきれないように、真琴は舌を入れて行く。
そして、入り口を充分に熱い唾液で濡らしながら糸の中にまで入り込んでいた。
恥ずかしさで目を閉じている糸には、自分の身体のあちこちに感じる真琴の体温と
聞こえる筈の無い自分からの水を舐めるようなぴちゃぴちゃという音しか
聞こえていなかった。
糸は、ただただ、真琴が与えてくれている言い知れない心地良さに襲われていた。
その聞き慣れない音が止んだ頃、糸は自分の同じ場所にもっと熱く固いものを感じた。
次の瞬間、それが糸の中に押し寄せて来た。
「!?」
真琴であることは頭では解っているが、さっきまでとは全然違う。
あまりにも大きく熱く強く固い意志を持って、糸の中に入って来たのだ。
糸は訳がわからないまま、それでも真琴を感じてしまい、自分の中に居る真琴を
気付かぬままに締め付けていた。
真琴の育ちきった肉棒が、糸の濡れた膣の中で大きく脈打っている。
真琴は糸を抱き締めつつ、自分の腰を激しく前後させた。
その振動の度に、糸の奥でも言い知れない快感が生まれ続けていた。
この時のふたりは、お互いの熱と自分の想いしか感じていなかったに違いない・・・・・。
お互いの高まりを確かめ合うように
今朝、時に触れられた糸の肩を抱き締めながら
(一生離してやらないよ)
真琴の固い意思が糸の背中に回された長い腕から
糸の顔や身体に触れる唇から
糸の中を侵略するもうひとりの真琴から、糸にはひしひしと伝わって来ていた・・・。
<裏キリリク-146>
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