「よーし 夕飯作ろっ タマゴのおかゆ挑戦!」

カゼによる高熱で学校を休んだ真琴を看病するために、糸は真琴の家に居た。
日中は友人達が見舞いに来ていて騒がしかったが、すっかり日が暮れた今は、もとの静けさを取り戻していた。



―――――それから数時間後


糸はなんとか出来上がったタマゴのおかゆが入った鍋をよけて
それが完成するまでにさんざん噴きこぼしてしまったふやけた米の残骸と、割り損なったタマゴの殻をせっせと片付けていた。

汚してしまったガスコンロの周りをふき取ったふきんを洗って冷たい水に触れた時、
さっき真にあてがったタオルも替えなくちゃと思い出した。

真が心配なのと同時に、どうして頼ってくれないのか?というもどかしさに言い知れない怒りと淋しさを感じて、
学校をサボってここに来たのだ。
そんな糸には保健室から体温計を拝借して来るのが精一杯で、冷えピタを買うなどという心の余裕は一切無かった。



台所の隣りの部屋で眠る真の傍へ行き、そっと額に置いたタオルを起こさないように取り上げる。
それはもうすっかり糸の手にも熱く感じるほど真の熱を吸い取っていた。
昼間の真の熱が39度以上であったことを糸が信じざるを得ない程に。

静かな寝息を立てている真の額に静かに手を置いてみる。
(まだ下がってないみたいだな?)
明らかに自分の掌の温度よりも高い真の額の熱さに彼の体調の悪さを察する糸。

糸は台所に用意していた氷水の入った洗面器で持って来たタオルを濡らし直す。
そして真の額にさっきと同じように覆うようにあてがってやる。

真がその整った顔をふっと歪ませる。
はっとする糸。

「―――――糸さん?」
真はいつもと違ってけだるそうに糸の名を呼んだ。

「ごめん まこ 起こしたか?」
「いや・・・」

「大丈夫か?」
この熱でそんな筈ある訳が無いのに、ついつい解りきった問い掛けをしてしまう糸。

「うん・・・・・・・ ずっと居てくれたの?」

真の中では自分が眠ってからかなりの時間が経過していた。

「え?ああ おかゆ作ってたんだ」
とにっこり微笑む糸の指に残る微かな赤い火傷の跡が真の目に入る。

「今 何時?」
「え?えっと・・・・・9時ちょっと前」
「じゃあ、糸さん、もう帰らないと・・・」
「ああ、兄ちゃんには電話しといた。まこの看病するから泊まるって」
あっけらかんと笑って言う糸。
何の戸惑いも心配も無い。
ただあるのは真が心配――――――その想いだけだった。

真の胸が熱くなる。
いつものこの時間にはこの静かな部屋にひとりで居るのだ。
誰にも知られないようにひっそりと過ごさなければならないのだ。
自分が実は男だという事を・・・・・。

だが、今は糸が目の前に居る。
この部屋の中に。
自分の本当の姿を知っている数少ない味方のひとりが糸なのだ。
いつも全力で自分を守ってくれる糸を、真はいつからか心から愛しい女性と意識するようになっていた。
糸はいつでもその行動に裏表なく真を守り、知らず知らずのうちに自分を暗闇から救い上げてくれる存在だった。


自分を覗き込む糸の左腕を右手で掴んでぐいと引く。
「うあっ?」

真の予期せぬ行動に糸は真の上に倒れてしまった。
「ま・・・まこ?」

真は驚いて見開かれた糸の大きな目を見据えて言う。
「糸さんが欲しい」

「お、おまえ熱がっ!?」
・・・・・さっきも同じことを言った気がするが、そんなことを思い返す余裕は糸には無かった。

そんな糸のばくばく波打つ鼓動を無視して真が囁く。
「・・・欲しいんだ」

糸の顎の下に、熱でまだ熱い唇をあてる真。
そのまま首筋に軽く吸い付くようなキスを何度も繰り返す。

「ま・・・」
繰り返し与えられるなんとも言えない気持ちの良い熱いキスに
自分の全てが真に重ならないように必死で支えていた糸の片手の力が限界を迎えた。

自分に全体重をかけて倒れ込んで来る糸をぎゅっと抱き締める真。

「――――だめ?」

糸の中の熱が一気に上昇する。

「・・・・・だめ・・・じゃないけど」

真はその返事を聞き取ると、ゆっくりと身体を反転させ糸を自分の下に置き換えた。
高い熱がある筈の真の顔よりも真っ赤になる糸の顔。
真の乾いた唇が半開きのまま糸の唇に重なる。
真は自分の乾いた唇を潤すかのように糸の唾液を求めて口中にも侵入する。
熱くまとわりつくような真のキスに糸の理性は次第に遠のいて行った。


真の執拗なキスが唇をやっと離れ、息苦しさから解放されたと思っている間に、
真に借りた衣服が脱がされて行く。
糸は抵抗する気力を取り戻す前に、上半身は下着姿にさせられてしまっていた。
真もいつしかパジャマの胸をはだけさせている。
糸のささやかな胸を隠す下着の背中のホックを外した後、長い腕を擦り抜かせてベッドの下へ落とす。
糸が恥ずかしさにその両胸を隠す前に真が自分の鍛えられた固い胸を押し付けていた。

「やっ」
糸の大人しかった乳首が真の一連の行為で勝手にいきり立っていた。
そのせいで余計に真の男としての平らな固い胸の感触を直に感じる。
「ふぁぅっ・・・」声とも言い切れない息が糸の口から漏れる。
その音を遮るように真の唇が糸の唇をくっと塞ぐ。
そして一度唇を離したかと思うと、もう糸に呼吸の機会を与えないのかと思うほど、
深く激しく唇を求めて行く。

その間にも糸の借り物の短いスカートは脱がされ、
糸の秘部を隠す小さな布もいつしか剥ぎ取られ、ベッドの下に落とされていた。
その間の糸の抵抗など、たかが知れていたから。

いつの間にか靴下だけにされていた糸は真に覆い被される格好で、真とは唇だけで繋がっていた。
しかも、靴下しかその身にまとっていない糸の体は真の思うように開かれていた。
糸の両足の間には真の下半身が既に置かれている。
当然、糸の両足は糸が自らそうしたとは思えないくらいに開かれていた。

真は糸の開かれた長い両足の膝を自分の両手で持ち上げ肩に乗せる。

真が望む糸への道がその間にはっきりと開かれる。

自分をあてがう前に、自分を待って潤う糸のもうひとつの口が愛おしくなって
思わずかぶりつく。

「はっぁぁぁぁんっ・・・・いやぁぁぁっっ!!」
糸が真からの突然に侵略に身体を反らせて悶える。
その行為は糸が欲しくてたまらない真を悦ばせるのに充分だった。
糸を嘗め尽くすように、舌にあたる糸のクリトリスを刺激する。

「やぁぁぁっ!!」
面白いように自分に反応する糸に、真は興奮を抑えきれない。
しかも高熱の為に自分の行為すら解り切ってはいなかった。
この快感の3分の1は、真にとっては夢の世界での体験だったのかもしれない。

「あぁぁぁっ・・・あふぅぅっ・・・!!」
糸は自分の下に広がるシーツを両手で握りしめた。
激しい恥部への恥ずかしい衝撃に思わず感じて頭を後ろに反らす。
糸の明らかに女として発せられた声を聞いた真は、糸から溢れ出る愛液と自分が与えた唾液が混じるのを確信して糸から口を離す。
そして、もうこれ以上成長できないと思えるほど自己主張するもうひとつの自分を今まで味わって来た糸のもうひとつの口にずっと差し込んだ。

充分にお互いに濡れているとはいえ、糸が感じる異物感は尋常ではなかった。
さっきまでの気持ち良さが一気に失われるほど、自分の中に入って来る太い真への恐怖感は言い表せなかった。
そんな糸の思いを無視して、真は着実に糸の中に深入りして行く。
真を待っていた筈の糸への道は、すっかり緊張して狭くなっていたから、
真が進んで来るその動きに対して糸が感じる痛みをもいつもより強く生み出してしまっていた。

真は途中でその動きを止めて、痛みに耐える糸の唇にキスをする。

「・・・・・いたい?」
真がつらそうな息の糸にそっと問い掛ける。

「・・・・・ちょっと・・・・・。」
と言い終えて微笑む糸に言い知れない愛しさを感じた真は、糸を力いっぱいに抱き締める。

「・・・!?まこっ!?」

糸の声も聞かない内に、真は自分の残りの全てを糸に突っ込んでいた。
根元までも見えない程に真が糸に食い込んでいた。

「ああぁっっ!」
糸が感じる痛みなどを考えてあげられる余裕は真には全く無かった。
とにかく糸が欲しかった。
今この場で自分以外のことを考えられなくなって欲しかった。
この行動と強い欲求は自分を襲っている高熱のせいなのか?
それは真本人にも解ってはいなかった。


糸は真の性急な行動に驚きながらも自分を求める真に悦びを感じてもいた。
(あたしだってまこを助けてあげられんのに・・・・・)
昼間の心の叫びが糸の中に甦る。


いつもより熱い真を体の奥底に感じる糸。
真から伝わる小刻みな腰の動きもいつもとは違って感じる。
全てがいつもより熱い。
自分の顔に触れる真の指も、喉に唇に乳房に触れる真の唇も、何もかもがいつもより熱かった。
そしてそれはいつもにも増して心地良い感触を糸に与えていたのだった。


糸を覆い隠すように真が全身で重なり、自分を糸に打ちつけていた。
激しく優しく何度も何度も。
その度に糸は何度も首を振りながら、耐え切れずに短い途切れ途切れの喘ぎ声を発してくれる。
その糸から漏れる甘い恥ずかしい声を聞きながら真は糸を求め続けていた・・・。


自分を受け入れてくれる糸を、真は全身で愛おしいと感じていた。
今自分が感じている熱によるけだるさも、毎日感じている自分に課せられた難題への不安も、
糸は無条件で引き受けてくれている。
糸は真にとって何にも替え難い存在に育ちつつあった。
糸のことが好きで好きでたまらない。



糸の中で彼女を感じている真の高熱は、今すぐにでもその中に完全に流し出されようとしていた。











真を受け入れて自らでは動けなくなっている糸の耳に真の声が静かに聴こえた・・・・・。





―――――オレの総てを受け入れてくれるよね――――――













糸の答えに迷いは無かった・・・・・。















<裏キリリク-1064>







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