「・・・・・あの倖平があそこまで言うとはな そんっなにウチの部 嫌かなァ」
「まあ 細かい所は解らないけどさ でも いいよね あんな風に言えるって」
「?」
「父親を尊敬してるって思っててもなかなか言えない言葉じゃない」

「・・・・・・    親父さん 尊敬してんの?」
「全っ然」
「早・・・・・」
「まあ 母さんを大事にしてる所だけは認めるけど―――――――・・・
 ・・・でも オレ達もあんな風なら良かったなって、ちょっと倖平くんが羨ましく思ったよ・・・」
「そうだな・・・」


演劇部の後輩で、真琴のことが大好きだった高田倖平が、糸達に黙って転校しようとしていた。
様子のおかしい倖平の後をつけて家までおしかけ、彼の父親から詳細を聞いた糸と真琴。
更に、倖平本人から、花屋を経営する父への想い、亡くなった姉への想い、
そして、転校を絶対に演劇部の皆に知られたくないという固い決意を聞いてしまった糸と真琴は、
倖平の自分達への想いを量りきれずに居た。

ここは真琴の部屋。
真琴は真の姿に戻って、糸とふたりで話をしていた。

父との確執―――――。
複雑であろう胸の内を声にする真の言葉に、自分も複雑な気持ちになる糸。
真の言葉を心の中で反復して、ぼんやりしている糸を真がぎゅっと抱きしめる。

「なんか こうするのも久しぶり」

あまりにも唐突な真の抱擁に糸は慌てる。

「こらっ」

「いーじゃん 今日は泊まってく?」
「ばか」
真のあまりにも自然に発する問い掛けに、耳まで真っ赤になって答える糸。
そんな糸が可愛くてたまらなくなった真が、「ちゅっ」と音を立てて糸の唇にキスをした。
不意打ちばかり受ける糸には、もう怒る気力も湧いて来ない。

「もう〜」
つい可笑しくなって笑い出す糸。
真の顔は?と思って見ると、糸と同じように柔らかく微笑んでいる。
「もっとさわらせて」
真は、もう一度糸をぎゅっと抱きしめて囁いた。
今度は、糸も真の背中にそっと手を回す。

「この間は 自分からここに泊めてって言ったくせに」
耳元で聞こえる真の言葉に、その時の状況を思い出してまた真っ赤になる糸。
「あ あれは・・・・・」
「ホント 糸さんて無鉄砲だよね」
真がにっこり笑って、糸の両頬を自分の大きな両手で覆うと、その唇が糸の唇の全てを覆った。
真の部屋でこんなことをされるのも久しぶりだった糸は、真の背中に手を回したまま、
真の舌が自分の口の中に入って来ることさえ、嬉しくなっていた。

真の左手は変わらず糸の頬を包んでいたが、右手はいつしか、糸のシャツの中に忍び込んでいた。
シャツの中で背中の金具がパチンと外される。
拘束を解かれた糸の柔らかい胸を、真の手のひらが優しく覆いながら揉み上げる。
「んっ」
真にふさがれたままの糸の唇から熱い息が漏れた。
糸の熱い吐息を吸い込みながらも、真は手のひらで糸の乳房を包み、
その長い指は、まだ育ちきってない緩やかな丘を作る乳首をゆっくりと刺激する。

糸の乳首が少しずつ固くなるのを、触れた指先から感じた真は、
シャツの中から手を戻し、糸から唇を離した。
そして、軽々と糸を抱き上げるとそのまま自分のベッドへ押し倒す。
そこは当然、真が毎日眠っている場所。
糸はシーツから枕から立ち上る真の匂いに包まれて、不思議な気持ちになっていた。
真のなすがままに服を脱がされる糸。

夏の蒸し暑い夜。
時折触れる真の手が、糸のほてった体をじんわり刺激する。
月明かりに浮き出た糸の白くしなやかな裸体に、真は目を奪われる。
(もっとさわりたい)
糸に言った言葉通り、心の底から膨れ上がる強い想いに襲われる真。

真は目を閉じている糸の鼻先をぺろっと舐めた。
真の突然の行為に糸が驚いて目を開ける。
「なんっ!?」
真はくすくす笑っている。

「糸さん 可愛いかったから ついね」
そう言って、今度は糸の耳の下から首に向かって舐め始めた。
「!?」
糸が抵抗する間もなく、真の舌は糸の乳輪に沿って円を描く。
そして真は自分の舌を待つように立ち上がった赤い乳首を口の中に入れた。
微かにそっと噛んでみる。
「あん・・・」
糸が漏らした思いがけない甘い声に、悦ぶ真。
(もっともっと声に出して)
そう願いながら、糸の乳首に吸い付き舌を絡ませ愛撫する。
もう片方の乳首も、大きな手で乳房を揉み上げながらずっとその長い指で弄んでいた。

糸はもうそれだけで満足しそうだったが、
糸の気持ちとは裏腹に、自分の中から熱い液が流れ出ようとしているのを感じていた。
まるで、真の侵入を自ら促すかのように。

存分に糸の乳首を濡らした真は、白い足に隠された糸への入り口をあらわにする。
形のいい糸のお尻を持ち上げながら、今にも流れ落ちようとする糸の汁を舌ですくった。
「は・・・」
糸は即座に反応する。
糸の鼓動が、呼吸がどんどん速くなっていく。

真は大きくなりつつあるもうひとりの自分を抑えきれず、少し乱暴に糸の中に入りこむ。
だが、糸の体はもう真を待っていたかのように、さほどの痛みも感じていない。
ぐっと奥まで糸を侵す真。
糸は思わず、真の匂いのするシーツをきゅっと握っていた。
そんな糸の顔の上に、同じ匂いを放って真の髪がかかって来た。
速い吐息も一緒に糸の上気した顔にかかる。
真の小刻みな腰の動きに、糸の腰も知らず知らずについていく。

全身に気持ち良くのしかかる真の重さと、自分の中で激しくうごめくもうひとりの真と
自分の下から漂う真の匂いに、糸は訳がわからないくらい真を好きになっていた。
真もこんなにもすんなり自分に侵される糸を、どんどん好きになっていた。

真の動きが激しくなり、糸の体がそれに合わせて上下する。
真を迎えた膣から零れ落ちた糸の汁が、糸の体の下でシーツを濡らす。
もう我慢できなくなった糸が反り返った瞬間、真がすごい力で糸の細い肢体を抱きしめた。
糸の汁と真の液が熱く燃えた糸の中でそれよりも熱く混ざり合う。












―――――夜の、とある花屋の店内

「おーい 倖平 花瓶しまうの手伝ってくれ」
「はーい」

(転校のことは知られちゃったけど でも良かった あっちの方はバレなくて)

「あ  ハサミ・・・」

ぶつかった拍子に落ちたハサミを拾おうとした倖平の右手に向かって倒れた花瓶が落下する。



糸と真がお互いの想いに酔いしれている頃、倖平にはこんな不幸が起きていた。







<真琴の家――T>








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