―――――どうしてこんなことになったんだ?
―――――ああ
―――――あたしがあんなことを言ったからだ……。
「今晩ここに泊めてくれないかな?」
―――――あの一言が
―――――こいつの理性を飛ばすなんて………
―――――あの時気づいていたら………
糸は自分の顔を包む真の大きな掌から体温を感じながら、
何の抵抗もできずに居た。
僅かに逃げようとした行為は、壁に背中を近付けただけで、
自分を追い詰めるだけの結果となってしまったのだ。
兄と喧嘩をして家を飛び出して来たのだ。
糸が辿り着く場所は真の家しか無かったのだ。
勿論、純粋に糸は一夜の宿を求めて来ただけである。
恋愛に慣れていないと公言してしまう糸には当然のことで、
真に求められるなどという予測は全く持っていなかった。
「今晩ここに泊めてくれないかな?」
この言葉に何の思惑も隠されていないことは、
真には十分にわかっていた。
わかっていたからこそ、無防備すぎる糸を、
少しだけ苛めてみたくなったのかもしれない。
真は理性を保つ自信を持ったまま、
糸を試すように腰に手を回し問い掛けた。、
「自分で何言ってるんだかわかってる?」
自分の発した何気ない願い事が、
実はとんでもない意味を含んでいたことに気付いた糸は、
耳まで真っ赤に染めたまま、
慌てて真から離れようとする。
糸の体を支える真の腕に無意識に力がこもる。
どんな状況であれ、糸を手放すという行動を真がとれる筈は無かった。
真っ赤になったまま糸は真に抱きすくめられ、
壁と真に完全に挟まれるという格好になってしまっていた。
「今晩ここに泊めてあげるよ」
「それはもう」
いいから――― とは言わせないように素早く真が糸の口を塞ぐ。
「ん………」
声を漏らすことさえ出来ない程に強く唇を奪われた途端、
真の舌が糸の舌を絡め取る。
求められるままに舌を吸われ真の中に連れて行かれる誘惑を、
糸には振りほどく術も勇気も無い。
それどころか、
味わったことの無い快感が真に触れる舌のあちらこちらから伝わって来る。
いつしか糸は自分から真の背に腕を回していた。
糸が警戒を解いたと判断した真は、
壁を頼って立っている糸を抱きしめながら向きを変え、
ゆっくりソファーに押し倒した。
既に糸に真を拒む様子は伺えない。
真は糸のシャツのボタンを静かに外し始めた。
ささやかな胸を守る下着が真の手にとって代わり、
糸の柔らかい丘をそっと撫で回す。
「……あっ……」
糸から小さく声が漏れる。
真に胸を触られてキスをされるだけで、
下半身まで疼き出すのがわかる。
自分の意志とは関係無く熱くなっていく体が、
恥ずかしくてたまらないのだが、どうしていいのか全くわからない。
そのうちに、下着の上から真が下半身を触るだけで、
糸の体は身震いしそうになるほどまでに火照っている。
下着の中にまで手を入れられたときには、
そこにもうひとつ心臓があるのかと錯覚するくらいの鼓動が起こった。
「……や…やだっ………」
真の手を引き剥がそうにも糸の手には全く力が入らない。
自分の波打つ割れ目に指をなぞらせる真の手に、
まるで促すように自分の手を添えただけであった。
少しずつ少しずつ確実に大きくなっていく息遣いの音――――――
「どうして欲しいか言ってごらん?」
肌を重ねて直に真の体温を感じているだけで、
これが現実とは思えないでいる糸に、
真は追い打ちをかけるように問い掛ける。
―――――言って
―――――何を?
―――――これ以上、何をあたしが求めていると……
―――――隆世ちゃんに嫉妬もした……
―――――劇で真琴とペアを組んだ部員を羨んだ……
そんな醜い思いをも受け止めてくれる真に、
これ以上あたしが何を言えるのか?
それでも、
いつでも、
真のいちばん近くに居たい……
真のいちばんの理解者でありたい……
真にふさわしい綺麗な女の子になりたい……
そんな煮え切らない気持ちが見えてしまっているのか?
「あっ!」
真が糸を責めるように、
片手で乳房を掴みながら、もう一方を太股の間に捻じ込んだ。
糸が必死に足を閉じようとしても、
真の腕を逃がさないようにするだけである。
真の掌が糸の割れ目を撫でながら、
その溝に指を潜り込ませた。
「やっ!」
思わず抵抗の声を漏らしても真は全く動じない。
「やだっ!まこっ!」
声を出せば出すほどに、
真の指に力が込められる。
強く揉まれている糸の片方の乳房はすっかり固くなり、
その先は赤く立ち上って真を呼んでいる。
同時に、
長い指で弄ばれている茂みの中の口は、望まないままにねっとりと濡れ始めている。
真は乳房を掴んだまま、その先端を舌で執拗に舐めている。
そのうちに片方の手の指は、糸の下の入り口を少しだけこじ開けて、
わざと音を出すかのようにうろうろしている。
ねちゃねちゃと自分から聞こえてくるあり得ない恥ずかしい水音に、
油断するとあっと言う間に快楽の波に飲み込まれそうになる。
「……あっ…」
「どうして欲しい?」
「………す……」
「?」
「……好きって言って」
―――――ちゃんと面と向かって言ってあげたことが無かったんだっけ
「世界中の誰よりも大切で世界中の誰よりも大好きだよ」
待ち望んだ言葉と一緒に、
真を受け入れた糸は、
真が体の中に押し寄せて来るのに伴う痛みを感じないほどの幸福感に包まれていた。
【管理人より】*******************************************************************
ほぼ2年ぶりの大奥の更新でございます。
お付き合い、ありがとうございました。
………っていうか。
いやもう奥さん、お嬢さん、お兄さん、
エロ神さまが降りたと思ったのは気の迷いだったのかもしれないと泣けるくらいに、
エロい話に関する私の乏しい語彙力が更に格段に落ちています。
なんて悲しい現実……。
なんという無念…・・・。
もっとまめに脳内妄想を、
ちょびっとずつでもカタチにしておかないと、
この萌えを伝えきれんじゃないかっ!!!
↑そこかい。。。
儚くも本編発車でお送りいたしましたが、
拍手絵の方が先に出来たためのちょろい補完でもあります。
次はもっと自分も酔えるくらいの萌えと妄想を発表できるように頑張ります!
奇しくも自分の誕生日にこの程度の裏しか公開できないことを、
心に刻んで精進しようと思います。
絶対にもっと推敲せんといかんかったのですが、
まずは更新したかったので、色々と申し訳ありません(T_T)
こんなんじゃオカズにならんっ!!
↑出た。見苦しくも聞き苦しい本音。
失礼いたしました。
(2011.05.30)