――――― 糸さん??
「メールは必要だよね?」
三浦家の本家の縁側で、静かに本を読んでいた真の目の前にひょっこり現れた糸は、弟の竜良であった。
「似てるからって……間違い間違い……」
しかも、高校生時代の糸と見間違えるなんて、どれほど自覚のない禁断症状なのか。
真が糸と誰かを見間違えたのは初めてではない。数年前にも一度。
あれはまだ真が女の真琴として学生生活を送っていた高校生時代。
母の理紗が交通事故に遭ったという知らせを受けて、
迷いながらも糸の後押しを受けて見舞いに行ったところを、
父・真澄に軟禁されてしまうことになったとき以来である。
糸と真は、役者になるという同じ夢を追って、今も一緒に歩いている。
だが、糸よりも真の方が先に、役者として世の中全般に知られるという立場を得た。
その後を追うように、糸も名前を売ることに成功しているが、
まだまだ、真の人気に追い付いていないという現実がある。
それ故に、必然的に真の仕事量の方が多くなり、自分が糸を待つよりも、
自分が糸を待たせる時間の方が多くなっていた。
今年の夏休みは2日間一緒に………。
真の夏休みは29日と30日、糸の夏休みは30日と31日。
どこをどう間違えたのか?お互いを問い詰めるのも後の祭り。
ふたりの夏休みはここしかないのだ。
一日しか共通の休みは無い。
たじろく糸と真に、悠斗が提言した三浦家本家での宿泊。
そこなら、母屋に居れば糸と真の正体も暴かれる可能性は少ないであろうという、
悠斗の配慮もあってのことであった。
真は糸とふたりきりで過ごしたかったのだが、
久しぶりの本家でいとこに会えるという付加価値も手伝ったのであろう。
無邪気に喜ぶ糸の笑顔には、真はいつまでも逆らえないのだった。
糸を待つ休日は、真にとって、長く長く長い長い時間の連なりだった。
こんな気持ちで、糸さんはいつも自分を待ってくれていたのだろうか?
そんな想像をする度に、今近くに居ない糸に想いを馳せる。
暇つぶしにと持って行った沢山の本も、あっという間にあらかた読んでしまった真は、
空いていた台所で料理を始めた。
「まこ義兄さまっ!料理なら巴がっ!」
何をしていいのかわからない真は、静かに巴の申し出を断り、じゃがいもの皮を剥いていた。
その時、台所の引き戸が動いた。
「お前 休んでろって言ったのに―――っ!」
声のした方に、驚いたままの無防備な顔を向ける真。
真顔で驚く真に、輝くばかりの爛漫な笑顔で応える糸。
――――― ああ 糸さんだ
人目もはばからず、目の前に現れた糸を触りまくる真。
やがて何かを納得したかのように、
「幻覚じゃない」
真が周りに聞こえるくらいの大きな声で呟いた。
「何 言ってんだ?お前?」
いきなり不思議そうな顔の真に触られまくった糸には、全く訳が解らなかった。
糸と真が、この家に泊まるのは、
まだ真琴が正体を明かさずに、糸に守られていた頃以来だった。
あの時には、全てを察したかのような祖母光子の計らいで、
ひとつの布団を敷かれたが、今日はあの時とは違う。
ひとつの部屋にひとつの布団を敷かれて枕をふたつ並べられても、
何の問題も無い。
地元での花火大会を満喫して、与えられた部屋に戻った糸と真は、
どちらからともなく腕を伸ばし、静かに抱き合った。
もう誰にも邪魔されない。
ここからはふたりだけの時間なのだ。
「糸さん」
「なに?」
「待ちくたびれたよ」
「そか? たまにはいーだろ?」
糸が真の首に腕を回したまま、悪戯っぽく笑う。
きっと自分以外の誰にも見せたことのない筈の無邪気な笑顔に、真の理性が外れる。
「今までずっとごめんね」
真は糸の返事を待ちきれずにその唇を塞いだ。
塞がれた唇の隙間から糸の声が漏れる
「ん………なんで………謝るんだ?」
「オレの都合ばっかり押しつけてごめんね」
真が糸の唇に自分の唇を触れさせたまま答えた。
「ばか」
「真の夢はあたしが守るって……ずっと言ってるだろ?」
糸の声と熱い吐息を感じた途端、真は糸を押し倒した。
――――― 糸さんが居なかったら………。
思わずそんな負の未来を考えた瞬間に、糸への想いが爆発した。
糸さんしか要らない。
糸さんだけ居ればいい。
糸さんしか愛せない。
「ああっ!」
真に求められる糸が、思わず声を出す。
この、いつもなら独り占めできる可愛い声を、今は誰に聞かれても構わない。真はそう思っていた。
――――― この女(ひと)は、オレのものです。
一日も一時も早く公言したいと、真は糸と離れて仕事をする度に願っていた。
だが、自分と糸の生きる世界でふたり一緒に平穏に過ごすためには、
まだまだ準備期間であることも十分に理解していた。
だからこそ、公然と糸を愛せる場を逃したくは無かった。
容易く肌蹴られた2枚の浴衣は無造作に畳の上に投げ出されている。
暗闇に白く伸びる糸の肢体。
何度も見ている筈なのに、その色は褪せることなく隠微な光を放っている。
白いなだらかな肌に手を這わせると、緩やかな柔らかい膨らみに辿り着く。
その膨らみの頂上には、真を待ち侘びる小さな突起が待っていた。
真は利き手で一つの膨らみを揉みしだきながら、もうひとつの膨らみの先に舌を這わせた。
「んんっ」
何度抱いても、まるで今度が初めてのように恥じらう糸が、真には愛おしくてたまらない。
「糸さん オレが欲しい?」
舐めている赤い突起が固くなるのを確かめると、
糸の肌にそのままざらつく舌を這わせながら、真が問い掛ける。
「………おまえは?」
真の求愛に本能で応えてしまう糸が、荒い息の下から必死に応える。
「いつだって欲しいに決まってるでしょ?」
そう言うと同時に、既に軽く開かれている糸の太腿の間に手を入れた。
「あっんっ」
真だけが知っている糸への入口は、じっとりと湿っていた。
まとわるような草むらをかき分けて少しだけ奥へ指を這わせると、
ねっとりした液が真の長い指の先に絡みついて来た。
その液に指を包ませるようにしながら、もっと奥へと長い指を入れてみる。
「あんっ!」
糸がびくんと体を動かした。
自分の意のままに感じている糸を抱くことに、真は最上の幸せを感じる。
糸が苦痛を感じないように、自分を感じて高ぶることを痛みが邪魔しないように、
真は念入りに糸の体を執拗に愛撫し続けた。
「やっ……… もう………」
糸が絶頂に達しそうになる合図を、真は絶対に逃さない。
濡れまくっている糸の秘部に、よくここまで耐えたと言わんばかりに育った真を飲み込ませる。
「ああっ!」
糸が壊れそうにのけ反った次の瞬間、真が糸の体を抱き締めた。
糸を貫いた後、頬を伝う汗の冷たさに真はふと思い出した。
――――― そういえば、あの時、糸さんは井戸で何を見たんだろう?
【管理人より】
こちらの世界にも、ようこそいらっしゃいませ。
管理人でございます。
【WジュリU・最新作】を読まれた方のうち、総てが妄想したであろう話です。
体位とか激しさとかの違いは多々あれど、みんなお仲間です。(断言)
これだけ素直に生殖の営みを想像させてもらえちゃうと、
ありがたくて身悶えしますね。
ちなみに、最近の私のエロ話は、ぬるいと悲しくも自覚しております故、
「私の書いた方がエロいですっ!」という作品のご提供を、
いつでも諸手をあげてお待ちしておりますので、
萌えのおすそ分け、よろしくお願いいたします。見境なく頼る頼る。
下の方に、今回の更新物と並行して、どっちを書こうかしらと思っていた話の出だしがあります。
どっちの場合もヤってる筈なので、両方書けば良かったかなとも思うのですが、如何せん力不足。
それでは、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
そろそろ、迷い道も何か厳しいのをひり出したいところです。
いきなりの私信。
Eさん、ご無沙汰しております。
たっくさんのエロ提供、ありがとうございましたっ!
今回は今まで以上に、こっちへの創作意欲を掻き立てられましたねえ〜♪
後でこっそり略奪しに参りますので、玄関に鍵かけてお待ちください(笑)。
こんなところでする挨拶か?
皆さまもEさま宅で、濃厚な糸まこをお楽しみくださいw
いつ伺ってもヨダレもんです。(推薦)
(2009.09.06)
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「何笑ってんだ?」
「糸さんだなと思って」
「なんだそれ?」
待ち兼ねた糸の体温を確かめるように、
真は糸の唇に自分の唇を重ねる。
そうだ、この体温を感じられなかったから、
ずっと調子が悪かったんだ。
真は改めて、どんなに糸が大切で必要な存在かを思い知ったのだ。
糸の荷物を持って、ふたりにあてがわれた部屋に入る。
真が荷物を置くと同時に、糸を抱き締めた。
「まこ?」
「待ちくたびれたよ」
「ほんとうに?」
珍しく弱音を吐く真に、糸はからかうように笑って見せる。
「ほんとうに・・・・・・。」
真は糸を畳に直に押し倒した。
「まこ?」
「糸さんが足りない」
「ばか」
そう言うと小さく笑って、糸は真の頭を優しく抱き締めた。
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つづく・・・・・・かもしれません(笑)。