ガチャン
「あっ・・・・・」
突然の無機質な物音に真が振り向くと、糸が床の上に散らばった真のカップの残骸を見つめていた。
「ご・・・・・ごめん・・・・・」
自分を見つめる真の視線に気付いた糸が、目を合わせないままで謝った。
「それ 気に入ってたのに」
「・・・・・ごめん」
もっと困ったように糸が小さく謝った。
すっとソファから立ち上がり歩み寄った真が、糸の顎をぐいっと乱暴に持ち上げた。
「お仕置きしなきゃね」
「・・・・・・」
「わかってるよね」
「・・・・・」
糸は何も言い返せないどころか、息がかかるほど近くにある真の顔すら正視できない。
優しく微笑んでいるのに、真の揺れる金の髪の中の澄んだ瞳は氷のように冷たかった。
「わかってるよね?」
もう一度、同じ言葉で糸の意思を確かめる真。
「・・・・・」
何も言わずに小さく頷いた糸を仕草を見逃さない真が、糸から少し離れた。
「じゃあ 脱いでごらん」
躊躇いながら、糸は身に纏っていた衣服に自ら手をかけた。
真の静かな脅迫に糸は全く逆らえない。
さっきまで真に抱かれていた糸は、真のシャツだけを着ている。
前ボタンを静かに外すと、白い素肌が隙間から艶めかしく覗いていた。
真は糸の肩に唇を寄せ舌を這わせると、次の瞬間にゆっくりと噛み付いた。
「・・・・・・っっ」
その突然の痛みに糸の顔が強張る。
「・・・・・やっ・・・・・」
間違いなく痕が残るほどの痛みを伴って、真の並びの良い歯が糸の白く柔らかな肌に食い込んだ。
「糸さんが悪いんだよ」
真は糸の肩から唇を放すと、今度は開かれたシャツの前を更に開いて顔を埋めた。
「・・・・・!」
糸の柔らかな乳房の片方に、真が吸い付きざまに歯を立て始めた。
真は噛み付いたまま、口の中に含んでいる乳首を舌で弄っている。
もう片方の自由だった筈の乳房は真の手の中にあり、その先は激しくつまみ上げられていた。
「・・・・・つぅっ・・・・・・・んあっ・・・・・・」
痛みと快感を同時に与えられた糸の口から、堪えきれずに声が漏れた。
最初に噛まれた肩の辺りも、残された唾液を乾かす冷たい空気と共にずきずきと疼いている。
執拗に糸を傷付ける真を突き放すことも無く、糸は真の行為に甘んじ身体を任せていた。
「・・・・・ああっ!!・・・・・」
真は下着の隙間から糸の陰部に自分の太く穿った物をいきなり押し込んだ。
十分に濡れていなかった糸は、その痛みと違和感に身体を固くした。
抵抗しようにも真の腕で固定された体は、既にひとつに繋がってしまっている。
「いやぁ・・・・・・」
糸はやり場のない両の手を空に浮かせたまま、真の激しい愛撫を全身に受け続けていた。
さっきまでの真とは全然違う。
ベッドの中で糸の酔いを最優先にして、体と心を絡ませてくれた真では無い。
「・・・・・おしおきって言ったでしょ?」
理不尽な痛みに涙を浮かべながらも抵抗しない糸に、異様な征服心を抱いてずぶずぶと自分を押し込み続ける真。
予想しない痛みを与えられても自分の侵入を許す糸に、異常な執着心を抱いてずぶずぶと自分を刻み付け続ける真。
どんな真でも、糸にはかけがえの無い真に違いなかった。
肌に刻まれる印がどんな姿をしていても、真からの熱い想いの結晶に違いなかった。
(カップを割ったくらいで、どうしてこんなことになったのか?)
糸にはそんな微かな当たり前の疑問すら考える余裕も無いほど、
真に鋭く突き上げられ犯され続けている。
真が糸の体の中をぐちゅぐちゅと蠢く度に、糸の乳首が跳ね上がった。
「・・・・・・・ぃたっ・・・・・」
真の動きに合わせて身体を上下させる糸には、悦びよりも痛みを感じる方が勝っている。
それでも、真の肌に直に触れることが糸の痛みを和らげているようだった。
乱暴な性交の中で喘ぐ声と細く流れる涙が、糸から真への返答になった。
どんなカタチでも、真に求められることが糸の幸せだったのかもしれない。
宙を舞う糸の腕を捕まえた真が、まだ痕のついていない白く細い二の腕に当たり前のように噛み付いた。
悪い子だね おしおきだよ
良い子だね ごほうびだよ
どっちでも同じくらい愛してあげるから
糸は真に敵わない。
<迷い道 ――あと――>
======新年あけましておめでとうございます=====
今年も新年早々、こんな世界へようこそおいでくださいました。
管理人です。ごきげんよう。
期待を程よく裏切られて気持ち悪くなった方、いらしたら申し訳ありません。
この世界へ初めての方が、この話から読むことは、まずありませんよね(汗)。
という訳で、毎度の皆さま、ようこそvv
今年も性懲りも無くこんな話を書くと思われますので、大らかな気持ちでお付き合いください。
BL世界では、「おしおき」=「ごほうび」という定義があるとか?
やること一緒だから。
こんな些細なところから、今回のまこりんが誕生。
もともと、噛み付くっていうのを使いたかったのですが、
どう考えても、まこりんは食べちゃいたいくらい糸さんを好きなのですよ。
でもこの世界では、黒いまこりんを書きたい一念で、こんな話になりました。
中途半端な気もしますが、今はこれが限界。
自分でも消化不良なこの感覚は、また違う【迷い道】に生かせればと思います。
まだまだ、入籍前の学生さんな糸さんとまこりんを幸せにしてあげたいと思いますので、
(表現の仕方は間違ってますが)
エロい気分を楽しんでいただけると幸せですvv
それでは、気の向くままに今年もどうぞよろしく。
こんなところまでのお付き合い、本当にありがとうございました。
Wジュリばんざいっ!
今年も叫び続けて参ります。
(2007.01.11)