「この辺でいいかなあ?」

「うん よく見えそうじゃない?」









湾岸で花火が上がるまで、あと十数分。


糸と真は、人込みをかき分けて、少しでも花火がよく見えそうな隙間を探し歩いていた。


少しでも見易い穴場を求めながら早足になる糸は、白地に艶やかな色の大輪の花をあしらった浴衣を着ていた。
おそらく悠斗と茜の見立てだろうと、真には容易に予測がついた。
普段と違う浴衣姿の糸は、その華やかな模様にも負けないくらい魅力的だった。
自分の少し前を慌てながら歩く糸は、短い髪を出来る限りに上にまとめている。
真は、いつもは見ることの無い、後れ毛の残る白いうなじに何度も目を奪われた。


スレンダーで背も高い上に、中性的な面持ちの糸。
すれ違う人の興味を引くのは当然だった。


糸に目を奪われた中の半数は、同じような空気で自分に向けられた視線と気付く余裕も、真には無かった。

いや、そんな事実はどうでも良かった。





花火を見るべく場所を決めて、寄り添い立つ糸と真。



―――――みんな 見てる?


―――――可愛いでしょ?


―――――綺麗でしょ?


―――――カッコいいでしょ?





―――――このコはオレのモノなんだよ?

―――――そう この指の一本まで。

―――――そう この髪の毛一本まで。





何の躊躇いも無く、人込みの中で糸の髪に後ろから口づけた。
薄暗い中、この行為に気付いた糸に気を取られていた周りが、
声にならないざわめきを起こしながら視線を真に集中させる。

―――――どう? 彼女にこんなことをしたいでしょ?

そう言わんばかりの薄開きでも鋭い眼光を撒き散らしつつ、
糸の体を後ろから抱き締める。



「な・・・・なに?  まこ?」

糸には訳がわからない。



それでいい。

周りの視線に気付かず、自分の行為だけに反応する糸が、たまらなくいとしい。

そして。


同じくらいに、
自分以外の周りの視線を集中させる糸が、たまらなく憎らしい。



―――――糸さんはオレ以外には感じないんだよ

―――――ほら 見ててごらん・・・・・・




真の手が、糸の浴衣の隙間から糸の肌を狙っていた。

滑り込んだ真の指が、浴衣の下で糸の乳首に触れたと同時に、花火が上がった。













「ばっ・・・・」


少しはだけた浴衣の袷から入り込んだ真の腕に驚く糸。
花火の明るさも遅れてやって来る鈍い破裂音も聞こえていない。

真の腕を抜こうと手をかけるが、
意志に反して、真の手を自分の体に更に押し付ける手助けとなってしまった。


「まこ・・・・  こんなとこで・・・・やめ・・・・」

ややしっくり手に収まるようになった糸の乳房を、満足そうに容赦無く揉み続ける真に、
諌めようとする糸の声が次第に喘ぎ声に近くなって行く。


周りは海の上に広がる大きな火の花に目を奪われている。


糸だけが、それよりも耳にかかる真の熱い吐息に心を奪われていた。


「・・・い・・・・  や・・・・」

糸の息が荒くなって来たのを何度か聞き届けた真は、
糸に触れていた右手を左手にすっと替え、
空いた右手を布の上から糸の股間に前から押し当てて来た。


「な・・・・」

真が何をしようとしているのか想像も出来ない糸の動揺が膨らむ。

真は、右手から伝わる糸の温度と鼓動を布越しに感じると、
静かに糸の浴衣を下からたくし上げた。


「まこ やめっ・・・・・」

やっと真の本気を感じ取った糸が真の動きを止めようと腕を伸ばす。
快感に微かに震え続ける糸の腕に、真を抑制する力など残ってはいない。

太腿の途中までたくし上げられた辺りで、糸の腰は真に引き寄せられ密着させられた。


「あ・・・・・」

いつの間にか固くなったものが、自分よりも熱いかもしれない真の温度と鼓動を布越しに糸へ伝えた。

引き寄せられた時から、真の右手は糸の脚の間に潜んでいる。
その指は、いつの間にか布の中で、巧みに見えない糸への割れ目を探し当てていた。

見えないまま糸の茂みを分け入ると、ふっくら膨れた割れ目の中に指を入れる。


「・・・んっ・・・・・」

声を出さないように必死に込み上げる快感を堪える糸。


「糸さん・・・・」

熱い吐息に乗って耳元で聞こえる真の声に、糸の理性は弾けそうになっていた。
聞き慣れた筈の真の声は、今の糸には血が沸騰するほどに恥ずかしい。
真の濡れた唇と舌が、糸のうなじと首筋を執拗に這って行く。
自分が大勢の人々の中で、あらぬ辱めを受けていることを忘れるくらいに、糸の芯は熱く火照っていた。





「・・・・・・も・・・   や・・・・・」

―――――もう やめろ

こんな一言も、すぐ後ろに居る真に届くような大きさの声が出せない。


「・・・・あ・・・・・   ん・・・・・」


真の左手は、糸の乳首を長い指で器用に弄くり、
真の右手は、糸の中で熱い液に絡まれ肉道に締め付けられる指を細やかに動かして、
糸を過敏にさせる奥の小さな膨らみをぐちゅぐちゅと刺激していた。

糸の脚の間から臀部にかけて、いつの間に外に出たのかわからない真の一部が、
その先から耐え切れずに白い液を吐き出しながら、糸の肌で行ったり来たりを繰り返し、
滑らかな糸の肌をねっとりと覆い尽くそうとしていた。



「・・・・・まこ・・・・・  まこ・・・・・」


自分の腕の中で、快楽の海の中に消えそうな意識を僅かに保つ糸の声が聞こえる。

自分の腕の中で、肌を露わに悶える糸に周りへの優越感を感じる。








―――――ね?


―――――糸さんは オレにしか感じてないでしょ?





ところどころから送られて来る、声にもならない好奇の視線が、
真の独占欲を益々どんどん加速、過熱させ続けて行く・・・・・・。










夜の空では、火の花が繰り返し闇を光で和らげ、爆音が何度も闇の静寂を切り裂いていた。

































=====暑中御見舞いで一発、申し上げます。=====


いやはや。何処で何をやっているのでしょう。

初めは、「・・・・・・  花火が上がった。」

ココで終わっていたのですが、読み返すとあまりにもぬるいっ!ぬるいぞぉっ!
夏なのにっ!なんだこりゃっ!?←唐突な激しい自己批判

結果、こんな感じでみよ〜〜〜んと伸びました。
伸ばして良かったことにしておきます。
その分、更新が一日遅れましたが。←暴露しなくていー話。

毎度叫んでおりますように、わたくしはこんな世界が大好きですが、
相変わらず使える語彙が少ないので、マンネリということはお許しください。

そして、新婚さんいらっしゃいv
よりも、あくまでも籍を入れる前の制約の多い関係の糸まこにこだわって、
また書けるとい〜な〜と、そこはかとなく思ってます。

この話は、拍手の中でいただいた中の、
「外はどうですか?」
というコメントに触発されて出来上がりました。
コメントをくださった方の気持ちに全く応えていなかったら、誠に申し訳ありません。
気を引き締めて精進いたします。

どうやったらエロく書けるのかな〜と試行錯誤を繰り返して丸3年??
うわ〜★成長してないな〜(汗)。



では、今回もお付き合いありがとうございました。

これにて、今年の暑中見舞いのご挨拶とさせていただきます。

ごきげんよう。



(2006.08.03)