(・・・・・・やべ 足しびれちゃったかも)





糸は感覚の無くなって来た自分のたたんだ両足の丁度太腿の上にある真の顔を見つめる。

正座をしたまま真に膝枕をしてから、どのくらいの時間が経ったのだろう?

熱と闘う真は、糸の膝枕の上で静かに寝息を立てていた。







――――― 糸と真琴が所属する桜ヶ丘高校演劇部は、夏合宿の真っ最中である。

        つぐみの別荘を借りて合宿をしていた糸達は、
        いつしか幽霊騒動に巻き込まれてしまっていた。

        小夜子と名乗る儚げなその少女の想いを受け止めた糸によって、
        無事に恐ろしくも悲しいその事件は解決されたのだが。

        一時は、裏切られた恨みによってあらゆる男を自分世界へ連れて行こうとした小夜子の暗示に
        演劇部の男子生徒が捕われてしまった。

        無論、上辺だけを女装した真琴も例外では無かった。

        小夜子に連れて行かれそうな真琴を取り戻すべく、糸は小夜子の魂と向き合って和解したのだが、
        意識無く氷の上に長時間置かれていた真琴は、当然のように風邪をひいてしまったのだった。







部員達は部活に、つぐみとその手下達は氷上スキーに出掛けてしまったので、
真琴は女装を解いて真の姿に戻って寝ていた。


安心したように眠る真の頭をそっと膝から下ろそうと見慣れた綺麗な顔に手を当てると、
糸の体温よりも少し高い真琴の体温が手の平からも伝わって来た。

その瞬間、糸の脳裏にこれまで見たことも無かった真琴のあの顔が思い出された。
小夜子に操られているとはいえ、自分をなぎ払おうとした真琴。
あの時の凍りついたような真琴の顔と行動は、糸の心をみるみるうちに冷たく固まらせていった。



―――なんだよ  あの顔  あの態度  あんな表情  見た事ない―――



その時の真琴が力強く振るった棒にかすって出来た左頬の傷が、僅かにズキンと痛んだ。

それまで自分を大切に想い女の子として扱ってくれていた真琴に反発しながらも、
糸は真琴を信じきっていたのだ。

だからこそ、あれが真琴の本心ではないと確信してはいても、
芽生えてしまった小さな不安は拭えなかった。




―――あたしは真琴の何なのだろう?―――




そんな小さな塊に育った不安は、次の瞬間には急な斜面を転がる雪だるまのように大きく膨らんで行く。

糸はいつの間にか、それほどに真琴を特別な人として考えるようになっていたのだ。




眠る真琴の顔にぽたぽたと滴が舞い落ちた。

その元にあるのは涙を溜めきれなくなった糸の大きなふたつの瞳。


―――全てが愛しい―――

だからこそ

―――全てが疑わしい―――


糸の心の中は、溢れ出る涙に掻き乱されるようにぐちゃぐちゃになっていた。









「・・・・・・ごめんね」



眠っていた筈の真の声にはっとする。



「あ なんでもないんだ」


「起こしちゃったか?」


真の顔に手を当てたままの糸は虚勢を張る。


「ごめん 目にゴミ入っちゃってなかなか取れなくてさ」


あからさまな嘘をつきながら目をこすると真の顔を自分の膝から下ろし、


「何か冷たいもの 持って来るから・・・・・・」


と、立ち上がろうとした。


立ち上がる途中で糸の腕を真が男の力でぐっと掴む。


「いいよ ここに居て」

「・・・・・え?」

「・・・・・・ここに居て」

「・・・え ・・・あ ・・・・・・うん・・・」

大人しく真の言う通りにペタンと座り直す糸。

そんな糸の前で真は上半身を起こして糸の腰に抱きついた。

「!?」

「ごめんね」

「え? な なにがだよ?」

「不安にさせてごめんね」


糸は、自分の中を透かし見られたような恥ずかしさに襲われた。
同時に、真琴の言葉が不安を打ち消す特効薬のように糸の心に染み込んだ。


一度は止めた涙が色を変えて糸の頬を絶え間なく伝う。


さっきは悲しくて辛くてたまらないという色で。
今度は嬉しくて嬉しくてたまらないという色で。


少し熱のひいたらしい真はしっかり上半身を起こして座り直すと、
糸の顔を自分の顔に引き寄せて濡れた頬に唇を吸い付けた。
糸の目から溢れた不安を全て飲み込むかのように。

真から求められるままに唇を重ねる糸。
いつもよりも少し熱い真の体温を唇から感じ取る。
真と繋がっている心地良さが糸の不安を少しずつ打ち消して行く。

真は何度も角度を変えて糸への口づけを続けていた。
自分の存在を糸にこれでもかと知らしめているように。

「ふぁっ・・・・・・」

真に口中で舌を絡め取られているうちに、糸の体温も熱く変わり始めていた。
舌を吸われるだけで、自分の全てが吸い取られるような気さえしていた。

真の右手はいつの間にか、糸の顔から離れてなだらかな糸の胸の上に置かれていた。

下着とTシャツの上からでも真に触れられているのが糸には解る。
真の指が胸の上をゆっくり行き来する度に、幾つもの布の奥に隠れている筈の乳首が疼いた。
布に隠れていながらも固くなる自分の乳首に猛烈に恥ずかしくなる。

そうしているうちに、布の下から直接真の指が糸の尖った乳首を弾いた。

「あんっ」

真に犯され続けている口の隙間から、思いがけない声が出てしまったことに驚く糸。

「・・・・・・糸さん・・・・・・」

嬉しそうに自分の名を呼ぶ真の声は、まさに糸にとっての媚薬に他ならなかった。

「・・・・・・・・まこ・・・・・・・」


おそるおそる目の前の彼の名を呼んでみる。
手を伸ばせば容易に彼を抱き締めることが出来た。
指に触れる細くさらさらな金の髪が心地いい。



この夏合宿で真と同室と決められた時から、糸は何かを覚悟していたのかもしれなかった。


そんな覚悟を改めて思い起こさせるように、腕の中に居る真へのいとおしさが激しく募った。


真はそんな糸の覚悟を知ってか知らずか、
さっきまで自分が寝ていた布団の上に糸を自分ごと押し倒した。

まだ熱のある真の体は重かったが、糸を腕の中から逃したくは無かった。
今の糸を逃してはいけないと、何処かで思っていたのかもしれない。


自分の下になった糸の唇を何度も求めながら、胸への愛撫を続ける真。

糸は素直に体を微かにくねらせて反応している。

糸は自分の芯が熱くなって行くのを抑えきれず、

女である証の体の中心が熱くなって行くのを激しく感じ取っていた。


「・・・・・ひあっ・・・・・」

真が糸の熱くなった秘部にとうとう手を伸ばした瞬間、
布の上からとは思えないくらいの真の熱が、糸の何かを飛ばしてしまった。


それは真との快楽への入り口が開いた知らせかもしれなかった。


真は糸の短パンの裾から、見えなくても濡れていることがわかる黒い茂みへ手を滑り込ませた。

茂みを通りながら見えない入り口を探す間も、糸の堪えた喘ぎ声が耳に入る。

その非日常な糸の声が真の雄としての欲求をどんどん増幅させて行った。

濡れた茂みに中にそれらしい割れ目を見つけた真の指が
少しだけ糸の中に入り小刻みに動いて様子を伺う。

「・・・・・・あっ・・・・・・やだっ・・・・・・」

糸が思わず腰を仰け反らせた。
真の指が生み出すくちゅくちゅという音が、
自分の秘密の割れ目がたっぷりと濡れて潤っていることを告げている。

触れられたいと願っていた場所への真の接触に理性を保ち切れない糸。
その証拠に、開かれた足を閉じようとする力も入らず抵抗ができない。

「そんなにカワイイことしないで 糸さん」

熱にうかされて尋常でない真の理性も、もう限界に近かった。


少ししか開いていない糸への入り口へ、布の隙間を開いて自分の肉棒をいきなり押し込んだ。

我慢しながら布の下に隠してはいたが、
もうひとりの真はすっかり増長し、糸を求めてその先の割れ目を怪しく白く濡らしていた。


「あぁぁぁぁぁっっ!!」

濡れてはいたが、糸の体の準備はまだ万全では無かった。

―――ジュくッ・・・―――

さっきまで弄っていた真の指よりも格段に太い真を挿入されて糸の膣は悲鳴と細い血しぶきをあげる。

「いやぁぁぁぁぁっっっ!」

その痛みに抑えていた声を荒げる糸。

「糸さんっっ」

真は痛そうな糸の悲鳴に罪悪感を覚えながらも挿入を止めない。
自分を迎え入れる糸への肉道が熱く締め付けて来ることに快感を覚えていた。
糸の辛い声とは裏腹に、糸の体は真を激しく求めていることを雄の本能が感じ取る。

真が自分を奥へ激しく打ちつける度に苦悶の表情を浮かべ切ない声をあげる糸。

糸と真の繋ぎ目には、どちらからともなく溢れ出た愛液と膜を突き破られた糸の血が
混じり合って流れていた。

痛みに耐えるうちに、真の鼓動が糸の中心から徐々に伝わって来た。
幾分か和らいだ痛みの向こうに体の中の真の存在を感じた糸は、
自分の上に重なる真に思わず手をかけ抱きついて行く。

真の苦しいような笑顔が目に入るのと一緒に、
抱きついていた真の体からじっとりと彼の汗がじんわりと手の平に伝わって来た。


「・・・・・糸さん ごめん」

「・・・・・・・・・いいよ まこなら」

糸の絞るような小さな声に、
痛みを堪えて自分を受け入れてくれる糸を改めて大切な女だと実感する真。
いつまでも自分を気遣ってくれる真を改めて好きだと心の底から実感する糸。

糸しかいらないくらい彼女を欲していると確信する真。
真しか欲しくないくらい彼を感じていると確信する糸。


「・・・・・糸さん・・・・・」

熱い息で糸の名を呼びながら、
糸を抱き締め抱き締められつつ止めていた腰の動きを再開する。

糸から真からお互いを求めて溢れ出る愛液が、
その流れをひとつに合わせるようにリズムの無い波音を立て続けている。



打ちつける度に糸を自分のものにしているという満足感が満たされるような気がした。
打ちつけられる度に真を独り占めしているという満足感に満たされるような気がした。





―――この女(ひと)を愛してる
―――この男(ひと)を愛してる







―――他の誰にも替われない











―――まこが どっか行った方が痛い―――







・・・・・・あの時 糸が隠した真実の心の叫びが 真に届いた・・・・・・




















―――何故 真琴だけ小夜子の暗示にかかったのか?
     男の人にしかかからない暗示の筈なのに?


    氷上スキーに出掛けた筈のつぐみが、
    一抹の疑問を抱えてふたりの結ばれている別荘に戻ろうとしてることには、
    まだ誰も気付いていない。


















<幽霊騒動>












===== あとがき ======




毎度ご来訪ありがとうございます。管理人です<(_ _)>

今年は【迷い道】をばんばん生み出すつもりだったのに、
いつものように(?)原作中エロ発進ばかりで不甲斐なくてすみませんです(汗)。

なんでも迂闊に予告するな!と、いつも自分を戒めては懲りません。困ったもんだ。

ばんばんとは行きませんが、【迷い道】も出します。やる気エロ気ありますっ!←ぬるい意思表示。

この話は、泣いてる糸さんが浮かんでしょうがなくてマンガで描いていたのですが、
ど〜〜〜にも絵が湿っぽいので、エロ転換にしてみました(-_-;)

これが糸さんの処女喪失かっ!?とも思ったのですが、
その点ははっきりさせたくなかったので、この程度の話で・・・・・・。

処女膜も復活するしねv(ホントだよんvv)

マンネリな世界ですが、皆さまの妄想の域で楽しんでいただければ幸いですvv


【Wジュリ】番外編の告知のお陰か、
エロ話を快く提供してくださる皆さまの萌えによって裏更新できておりますvv
どんなエロでも受け止めますので、アナタの歪んだ(失礼な)愛をお待ちしておりますvv

この世界の更新を期待してくださる菩薩のような温かいお声にも支えられておりますvv
ありがとうございますっvv


今度の番外編にこそ、ちらっとでも糸まこの愛の営みを垣間見せてくれないもんかしら〜と
淡い願いを抱きつつ、発売を待つ管理人でございました*^_^*



エロばんざいっvv



(2005.07.19)