「最後まで責任とってもらわなきゃね・・・」

(わ―――――――っ)
「わかったからっ 着替えろ 早くっ」

「あ」


―――  あたしの方こそ真琴がいなきゃここまでやる気にならなかったし こんな気持ちにならなかった ―――

「・・・とにかく次の決勝・・・絶対に勝つぞ!」

――― これからもふたりで居られるように―――・・・


ここは桜ヶ丘高校・演劇部女子専用部室。

真琴の正体が誰にもバレないように糸は異常と思えるほどの目張りと目隠しを施していた。
そんな中で真琴が着替えをしていた。
そして今のその姿は、真琴→真→真琴へと化けようとする丁度中間、
つまり真の姿だった。

糸がここまで執拗に真琴を隠すのには訳があった。
つい先日、真の2番目の姉であり真の父親の手先として糸と真琴の高校に赴任してきた椿に
糸が真琴の正体を知っていることが発覚してしまったのだ。
糸が罪悪感に襲われているのは、椿に男の真と一緒に居るのを見られる直前まで
真琴と一緒にこのまま高校を卒業したら誰の目をはばかる事も無く一緒に居られるのだという
甘い空想夢を見てしまっていたからだった。
それ故に糸の気持ちはぐちゃぐちゃになっていた。




「・・・絶対勝とうね 糸さん!」
「わっ!!」

後ろから不意に抱き締められて思わず驚きの声を出す糸。
真は突然の行動に動揺する糸に構わず、糸を自分の方に向き変え、改めて抱き締める。
糸は真っ赤になったまま、真に抱き締められていた。

誰も居ない密室(糸がそうしてしまったのだが)で真に抱き締められ、
抵抗する理由も無い糸はそのまま真に抱き締められていた。
抱き締め返そうにも真は着替えの途中で上半身に何も身に付けていなかったので
その素肌に直接手を触れるのも恥ずかしく、行き場の無い両手を宙に浮かせたままだった。


真から一方的に触られているうちに、ここが部室である事も学校である事もどうでも
良くなっていく。
そんな糸の細く漂う感情を読み取ったのか、真は糸の頬に軽く唇を乗せた。

「あ・・・」

頬に感じた優しい感触に小さな声を漏らした糸の口を真の唇がそっと塞ぐ。
糸の唇は、自分に触れている真の上唇と下唇の境目さえ感じるほどに敏感になっていた。
真の唇はふと糸から離れたかと思うとさっきよりも濡れた感触を伴って糸の唇に重なって来た。
熱い唾液を舌で補充しつつ、その唾液で濡らし続ける唇と舌で糸の唇を弄ぶ真。
糸は自分の口の中に今にも攻め込んで来そうな真の濡れた唇とゆっくり動く舌に
顔中の神経を奪われていた。

そんな攻め込む寸前のキスを続けながら、真は糸のTシャツに抱いていた背中から
手を差し入れる。
ブラのホックを難なく外して役目を終えた手は解放された乳首のひとつをくっとつまむ。

「!」

糸の中で唇に集中されていた神経がつままれた乳首に戻ると同時に
さっきとは異なる言い知れない快感が糸の脳天に小さく鋭く突き刺さった。
糸の両手は相変わらず所在無しに真の両脇で空を切っていた。

真は糸から既にべちゃべちゃになった唇を離すと、糸を支えていた腕を緩め
初めに抱きついた時と同じように糸の背中を自分に向けた。
そして何を思ったのか、着替えの為に開けていた自分のロッカーに糸を押し進めた。

「なっ?」

何をされているのか理解した時には、糸の頭はロッカーの中。
頭がぶつからないようにとっさに伸ばした両腕もロッカーの中。
ただし、お腹の辺りからはロッカーの外という日常ではあり得ない不自然な格好を
余儀なくされていたのだった。

「なにすんだっ!」

両腕を突っ張ってロッカーから出ようとする糸に真が後ろから凄い力で覆い被さった。

「まっまこっ!?」

「やだっ!やめろっ!」

糸の真を現実に引き戻すような声が冷たいロッカーの中で反響する。


――― こんな密室でふたりきりになれた機会をみすみす逃がせるか? ―――
と真は理性に隠れる本能の奥底で思っていたのかもしれない。


「やだってばっ!まこっ!」
「きっと誰にも聞こえないよ? 糸さんがしっかり隙間をふさいでくれたから」

背中から聞こえる真の言葉に自分のしたことを思い返し後悔する間もなく、
背中からいつもいつも大好きでたまらない真の体温を感じる糸。
真は糸のTシャツをたくし上げ、自分の胸板を糸の汗ばみ始めている背中に密着させていた。
更に糸のあらわになった乳房は真の両手でしっかりと支えられながら
その突起を立たせるべくいじられているところだった。

糸の乳首はどんどんはっきりした形を作って行き、
その独特の形で尖った先を真の指先がなじるように、つまんだり弾いたりを繰り返す。
糸の両腕にはロッカーから脱出できる程の力も入らず、頭をぶつけないように
この不自然な状態を保つので精一杯であった。

しかも思わず声を出してしまう度に、いやらしくこだまして自分の声がこの耳に戻って来る。
恥ずかしさを堪える為にも、声を出すことすら無意識に我慢してしまっていた。

そんな糸を容赦せず、真は糸の短パンを下着ごと一気にずり降ろす。

「やっ!?」

微かな糸の抵抗の声も無視して、後ろから糸のそこからまだ見えない秘部へと手を指し伸ばす真。
柔らかいその割れ目はもう真の掌で感じられるくらい熱くなっていた。
片方の手で糸の乳首を刺激しながら、もう片方の手で割れ目にそって指を動かしてみた。
熱く燃える丘を滑る指は、糸への入り口でねとっとした感触に囚われた。
ここかと囚われた指を入り口に少し入れると、その溜まりにあった液が溢れ出し
真に指にねっとりと絡みついて来た。

――― 感じてる? ―――

糸の身体に自分からの愛撫の効果を感じ取ったからか
真の性器もますます脈を早く打ち出していた。
女装の為に身に付けている緩いスパッツごときでは抑えられないほどに。

そんな自分の欲望を堪えつつ、糸への入り口に少しだけ指を入れて回してみる。
「・・・んはああっっっ!」
確かに自分に反応したらしい糸のこもった声を聞いて真の我慢が限界を超える。

――― ・・・糸さん・・・ ―――

声にならない声を出して、真は糸の恥部に固く長く濡れかけている自分を一気に押し込んだ。
いきなり腰を両手で固定されて、育ち切った真に侵入された糸はたまらない。

「やあああああっ!!」

もう両手で身体を支える力も奪い取られて、冷たいロッカーの壁に額がついた。
その冷たさと対極にあるように、下半身は熱く濡れていく。
真が糸の中で激しく動き、その存在を糸の脳髄に知らせるかのように大きくなっていくのが糸にも解る。

「あふっっっ・・・」

糸が真の動きに流されないようにと力めば力むほど、
糸の膣は真を捉えようと必死に締め付けるように縮んでいた。
その分、真は自分を締め付ける糸が愛しくてたまらなくなって行く。

「いやっ  もう  やっ  あっ・・・・ ぁああぁぁっっ!!!」







糸が絶頂を迎えたのを知ってしまった真は糸から自分を引き抜き、
もう一度自分の方を向かせて抱き締めた。
糸は潤んだ目のままぐったりしていたが、まだ意識はあったので

「オレもいかせて?」

という真の耳元での囁きの後、糸の手が真の濡れたぎった肉棒に促されることも容易であった。
真は自分の性器に触れる糸の手の上から自らの手で誘導し動かしながら絶頂を迎え、もう一度糸を抱き締めた。

最早、真の素肌に触れる事もためらわない糸は
真からこぼれた精液を手にべったりとまとわせながら、真のうっすら汗ばんだ背中にその手を回した。
真も自分の体重をかけて糸にのしかかるように抱きついていた。




いつしかロッカーの棚に腰を降ろす格好で糸は真を抱き締めていたのだった。









そしてその周りには誰も気付かないであろう程の微かな血の臭いが漂っていた。







その血こそが
これからの糸と真琴に新たな絶望への入り口を開く事になるのだった。








それももうすぐ、この幸せに浸るふたりの目前に・・・・・。














――――― 運命の決勝戦がもうすぐ始まる ―――――
















<密室にて>











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