「どうして会えないの?」
「君とはもう少し距離をおいてこれからのことを考えたい」
「どうして?」
「わからないのか?」
「だって、私達これまで上手くやって来たじゃないっ!?」
「・・・・・・それは、最初はそうだったかもしれない」
「最初は・・・・・って?」
「本当にわかってないのか?」
「何を言ってるの?」
「自分のやっていることが本当にわかっていないのか?」
「私はあなたの部屋に通って毎晩食事を作っているだけよ?
お掃除もしてるわ。勿論お洗濯だってゴミ出しだってしてるわ。
それだけよ?」
「・・・・・・どうして俺の留守中に俺の物を勝手に触るんだ?」
「え?」
「食事を作ってくれるくらいはいいさ。 正直、最初はありがたいと思ったよ。
でも毎日毎日続けばうんざりだ。結婚している訳でも婚約している訳でも無いのに。」
「だって、合鍵をくれたでしょ?」
「だからといって、24時間一緒に居て世話をして欲しい訳じゃないよ。
そのくらいの分別はついていると思ったんだ」
「・・・・・・合鍵をくれたってことはずっと一緒に居たいってことじゃないの?」
「ごめん」
「・・・・・・」
「君のそういう考え方が俺にはわからなかったんだ。」
「・・・・・・」
「少し離れてみよう?」
「・・・・・・」
「○○?」
「・・・・・・・・・・ぃゃ・・・・・」
「え?」
「・・・・・・・・・絶対にいやっ!!」
「あなたと離れるなんて絶対にいやっ!」
女はものすごい力で激しく男に抱きつく。
男は女の勢いに押されて思わずバランスを崩す。
男はしがみついている女を庇いながら、床に倒れた。
「・・・・・おい? ○○?」
名前を呼ばれた女の顔が悲しみの泣き顔から哀れみを含んだ顔に変わっていく。
「あなたと離れたくないのっ! ・・・・・・・どうしてだめなのっ!?」
女の涙にくぐもれた絶叫が女を下で支える男の身体に響き渡る。
女は男の胸にそのまま顔を埋めて長い間泣いていた。
まこ、今日の台本は?
うん、糸さん、今日はこれやってみよう?
真琴は糸にあるページを開いたまま本を渡す。
ここはふたりが落ち合ういつもの海岸。
卒業を控えたふたりは糸の家族に内緒で、毎晩芝居の稽古をしていた。
春からはふたりで同じ劇団で競うのだ。
その準備と心構えを兼ねて。
そしてこの密会は、真琴の正体を知ってから監視が厳しくなった兄の目を盗んでまで
バイトで忙しい真琴に少しでも一緒に居たいという糸の真琴への純真な想いから実現したものでもあった。
その日、真琴が持って来た台本は、そんな生活をする糸の琴線に触れるものだった。
「糸さん?」
男役だった真琴が倒れたまま本当に泣いているらしい自分の上の糸に、背中を抱きながら声をかける。
「・・・・・離れるなんて絶対にいやだ」
「え?」
「離れたくない」
そう言うと同時に真琴の口が塞がれた。
涙に濡れた糸の口から少ししょっぱい唾液が流れ込む。
真琴は突然糸に求められた驚きを表に出さず、そのまま糸の思い通りにさせていた。
真琴の唇を吸い続けている糸の手は真琴の胸をまさぐった後、ごく自然に股間へと進んでいた。
糸の重さを感じて、真琴の股間はすでに低い山のようになっている。
だが、ここは冬の海岸。砂浜の上である。
自分の背中に冷たい砂の温度を感じて、真琴は我に返る。
「糸さん?そろそろ帰ろう?」
悲しそうな顔をしている糸の頬を横たわったまま両手で覆って優しく語る真琴。
そんな真琴の優しさは、糸の感情を更に高ぶらせるのには充分だった。
糸は真琴のズボンのファスナーを下ろすと下着の中に手を差し入れもうひとりの真琴に直接触れていた。
「糸さんっ!?」
糸に覆い被さられている真琴は思うように動けない。
しかも糸の手は慈しむようにもうひとりの真琴をゆっくりしごいている。
「ちょっ・・・・待っ・・・・」
起き上がろうとする真琴を押さえつけるように真琴の胸に顔を埋める糸。
その間も糸の手が真琴の下半身への刺激を与え続けていた。
「絶対に離れない・・・・・」
何かの暗示にかかってしまったかのように、糸は真琴を欲していた。
誰にも渡したくなかった。
長い間ずっと秘めていた糸の切ない想いにまるで線香花火のような儚くも強い火がついたのかもしれなかった。
真琴を弄んでいた指先にぬるりとした感触を得た糸は、それまで下着に隠れていた真琴を外に出し、
白い液を吐き出し始めた長い肉棒を何の躊躇いもなくそっとくわえこんだ。
半分ほどくわえながら舌で傘の下を刺激する。
肉棒の下はさっきと同様にしなやかな指と手が揉み出すように優しく程よく握り続けている。
「んっ・・・・糸さん・・・・・。」
真琴が抵抗を諦め、糸にされるがまま甘い声を出していた。
予想していなかった快感に酔う真琴の顔は糸には見えない。
糸はひたすら、真琴への愛撫を楽しんでいるようだった。
「糸さん・・・・・もうやめ・・・・・。」
真琴の声が届いたのか、糸がふっと半開きのままの口を離した。
真琴から溢れ出た白い液が糸の口へと細く繋がっている。
それはあまりにも艶かしい姿に見えた。
真琴は自分の目に映る目の前の糸の姿が信じられなかった。
そんな真琴のペニスを握る糸の手にぐっと力がこもる。
「うっ・・・」
顔を真琴の胸に乗せたまま、今度は両手でもうひとりの真琴を弄ぶ糸。
糸の両手には、真琴の先から溢れ出る白い液がねばねばと絡みついていた。
糸は濡れたままの片手を棒の下の膨らみへと動かし真の大切なその袋を愛でるように指でなぞる。
自分の動きに恍惚となる真琴の顔を見ながら、いつしか糸には感じた事の無い征服感が芽生えていた。
糸は真琴のセーターをたくし上げ、自分とは全然違っている小さな乳房を表に出す。
ウィッグをつけて真琴の姿をしていても、夜という時間帯、油断してか女の物の下着は身に付けていなかった。
空いている片手でその目の前の乳房のひとつをつまんでみると小さいながらも立つように反応して来た。
その手触りを感じて糸はもう片方の乳房を口に含ませ、舌を絡めながらじゅるっと吸い上げた。
「ぁ・・・」
闇に消えそうな程の際どい真の喘ぎは、打ち寄せる波の音に紛れながらも糸にはしっかり聞こえていた。
(まこ・・・・・ 絶対に離れない・・・・・)
真の全てに触れながらも糸の想いは止まらない。
いつの間にか真を自分の思い通りにしたいという欲求に糸は大きく包まれ始めてていた。
糸は真の乳首を口で愛撫しながら、真の大きく尖った恥部を両手で大切な物を磨くように静かに滑らかに触れ続けている。
糸の長く優しい愛撫に真は糸の身体を支える力すら失い、両手は砂の上に自然に置かれていた。
真は糸の行為全てに酔いしれているようだった。
「糸さん・・・・・・」
時折微かに潮風に溶け込む糸を呼ぶ小さな声が、真の想いを表していたのかもしれなかった。
糸は恍惚になりつつある真の表情を確実に目にとらえ、もういちど、真のペニスをくわえ込んだ。
それは固く長く喉につかえそうになりそうな存在だったが、糸にとってはただただ愛しいものでしかなかった。
少し口から出して、歯を立てないように気を遣って舌と両唇でしゃぶり続ける。
棹の横から下から・・・・・。そして、傘の下にも舌の先で刺激を与える・・・・・。
真の息が更に荒くなって来たのを見て、糸は真の首筋に吸い付く。
そうしている間も糸の手は真の恥部から離れずに激しい刺激を与え続けていた。
「うっ・・・・・」
糸が口付けていた真の首を通って声が漏れたと同時に、糸の指と手はねっとりとした感触で覆われていた。
想いを遂げさせられた真の放たれた顔と、真から噴出された液に濡れた手を満足して見つめる糸。
(・・・・・誰にも渡さない・・・・・)
自分の手で真を絶頂まで導く機会を与えられた糸は、真への想いを更に強くしていった。
そんなふたりを遠くからじっと見つめる人影があったことに、
真は勿論、糸も全く気付いてはいなかった・・・・・。
<いつもの海岸>
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