―――――とある夜
少女達の楽しげな笑い声がドアの向こうから漏れて来る。
「あっはっはっはっはっはっはっはっ」
「あのタバコ 真琴さんの仕業だったんだー!あいつ強制送還だよ!?」
「カメラとすり替えるとはね」
「5組から聞いたよ!大騒ぎ」
「ふふふ あんまり人をバカにするもんですから・・・」
「あるある そーゆーところ!」
糸と真琴は修学旅行中である。
1日目の日程を終えて、ホテルの一室で真琴と同室の女の子達と盛り上がっているところだった。
飯塚隆士が真琴の機転でカメラとタバコをすり返られ、強制送還になるという話題が中心だった。
「・・・・・」
(何話したんだろ実際・・・・・ まさか・・・・・)
ずずっとお茶をすすりながら嫌な予感をめぐらせる糸。
真琴と飯塚隆士が自分の知らないうちに顔を合わせていたことを知り不安になる。
「それじゃ真琴さん 留守番よろしく」
「糸さんもゆっくりしてってねー!」
予め予告していた通り、糸と真琴以外の生徒達は隣りの部屋に遊びに行ってしまった。
―――――パタン
「さてと・・・」
部屋のドアが閉まると同時に真琴がアップしていた髪を下ろす。
「!!」
(早がわり!!)
「まこっ 無防備すぎるぞ 誰か来たら・・・」
「オートロックだから大丈夫だよ せっかく2人っきりなんだし・・・
ベランダ出る?夜景が見えるよ」
慌てふためく糸に呑気にお茶をすすりながら答える真琴。
いや、もう真に戻っている。
本来の姿に戻ってきちんと閉じていた浴衣の前を緩めていた。
(嬉しーやら 恥ずかしーやら・・・・・ 浴衣ってけっこー悩殺・・・)
先にベランダに出た糸は、思わず手すりに突っ伏して赤くなった顔を隠していた。
「ネガの方はとり返せたの?」
「あ―――――― なんとか とり上げ・・・」
「・・・・・っ」
真の恐れていた問いに、ぎしぎしと嫌な音を立てて振り返る糸。
「写真の事は知ってるよ 隆士さんに見せられた なんていうか見事なキスシーンみたいな・・・」
(ぎゃ―――――――っ!!)
「ごめん あれ違うんだ! コケたのを抱き止められて!!
あの写真だとそーいう風に見られちゃうけど本当に何も・・・・・ 無実だ 無実!」
「わかってるよ―――――― あんな写真1枚で糸さんを軽蔑する訳ないでしょ?」
真がにっこり笑う。
「写真よりオレは隆士さんのセリフの方が効いたし・・・・・」
「?」
「糸さんを弄んでるってさ」
「・・・・・あ?」
「よく考えるとたしかにそう取れちゃうから」
「オレの都合でいつも振り回して困らせて女装のおかげで男として守ることもできない 最低だよ」
「ちょっと待て そんなこと思ってもないぞ? あたしは単に好きで協力してんだし」
落ち込んで見える真の手を握って糸が励ます。
(重症だな)
「・・・・・いっそ父の条件やぶってかけおちしようか」
「!」
「バカ野郎 何言ってんだ簡単に! 弱ってんじゃねーよ」
真赤になった糸が真の頭をパシッと叩いた。
「ごめんごめん 万が一の話だから 今までの努力を無駄にはしないよ」
「でも本気でバレたら糸さん連れてどっか行くかも」
「あー そうかい!」
糸と真は背中を向け合って会話を続ける。
「・・・・・」
「・・・・・そういう覚悟はできてるから 覚えておいて」
(万が一・・・・・)
真の語り掛けで糸の脳裏には真琴の女装がバレて隆世の元に戻るという最悪の情景が浮かんでいた。
「いいよ 一緒に逃げても―――――・・・・・」
「糸・・・・・」
予想しなかった糸の返事に驚いて振り向く真。
糸はまだ背を向けたままである。
「万が一だぞ 万が一っっ 自分から夢を諦めるのは絶対許さないからな そんな事なら一緒に行かない!!」
真の言葉を遮って糸が叫ぶ。
糸の振り上げた手をしっかりと掴んで真が答える。
「・・・・・誓うよ ・・・・・絶対に諦めない・・・・・」
糸の頬に真の手が触れる。
「―――――・・・・・」
真の腕がぐっと糸の腰を引き寄せ 静かに口づけをした。
糸の柔らかい唇を感じながら真の決意が固くなる。
糸は真に肩を抱かれ、されるがままに口を開き彼の舌を受け入れていた。
長いキスから糸を解放した真は息がかかるほど顔を近付けたままで
ちゅっと音をたててもう一度短いキスをした。
「ここで抱くよ」
糸の顔に細い金髪がかかるほど近い距離で真の口が動いた。
「!?」
真が何を言っているのか瞬時に判断できなかった糸はその大きな目を更に大きく見開く。
いつしか真の左手は糸の懐に忍び込んでいる。
「はっ!? 何言ってんだ!?」
「本気だよ? 誰も居ないし・・・・・」
「だ だって お前 ここ・・・」
「わかってるよ? ・・・・・嫌なの?」
真の顔は真剣だった。
「・・・・・嫌とかそんなことじゃなくて・・・・・こんなところで・・・・・」
「ダメ?」
「ダメに決まってんだろ!?」
真の信じられない申し出をやっと断わった糸は少しほっとしたが、そんな安堵は束の間に過ぎなかった。
「わかった」
真は静かな抑揚の無い声で答えると、いつの間に外したのか自分の浴衣をまとめていた帯の端で糸の片手首を巻き上げ固く結んだ。
「な!?」
糸が何をされているのか理解できないうちに、
真琴は糸の後ろのベランダの手すりに固定されていない帯の片端をするりと通し、
糸のまだ自由になっているもう片方の手首を拘束してしまった。
糸の両手は胸の両側辺りの高さでベランダに貼り付けにされるという格好になっている。
やっと自分の上半身が動けなくされた事に気付いた糸は思わず大きな声を出していた。
「まこっ!? はずせっ!」
「そんな大きな声を出すと隣りに聞こえるよ?」
あまりにも冷静な真の助言にぐっと声を飲み込む糸。
「糸さんが嫌がるからだよ? せっかくふたりきりなのに」
(だからって これは何なんだよ!?)
と、頭の中で叫んでも声にはならない。
「寒い?」
真が尋ねる。
「わかんねーよ そんなのっ!」
理不尽な自分の今の格好に糸は不安と怒りに燃えていた。
ここがホテルの一室のベランダで明らかに外である。
しかも10月の北海道の夜なのだ。
浴衣一枚しか身に付けていない糸達が慣れない寒さを感じない筈は無い。
「すぐに温かくなるよ」
真は糸が反論できないように口を塞ぐ。
真の大きな手で顔を固定された糸に反撃の余地は無かった。
さっきより乱暴にこじ開けられた糸の口の中に真の舌と一緒に熱い唾液が流れ込む。
真の唾液と自分の唾液が混じり合う頃には糸の怒りの行き場も失われつつあった。
真の手は糸の顔からするっと胸へ移動し、浴衣の上から優しく乳房を持ち上げた。
風呂上がりで下着をつけていないその膨らみは、真の手が動く通りにその形を変えていた。
綿の浴衣の上からも真の指先に糸の乳首が次第に鋭くなって行くのが伝わる。
真は糸の舌を絡め取るキスを続けながら、糸が唯一身に付けていた下着を浴衣の隙間からするりと下ろした。
「あ・・・」
真の行為に声を漏らしても半端に自由を奪われた糸にはどうすることもできない。
真は紅潮する糸の顔から自分の顔を離し、糸の左脚をぐっと持ち上げ自分の肩に乗せた。
「えっ!?」
「そんな声出すと聞こえるよ?」
糸の陰部は何の障害物も無く真の目の前で大胆に広がっている。
薄黒い茂みによって、辛うじてあからさまには見えていない。
真はその中心を避けて糸の白い太腿の付け根に吸い付いた。
糸は自分の股間にうずまる真の頭頂部を見ながら、あまりの恥ずかしさに声も出なくなっていた。
しかも真の唇と舌が触れ動く位置の自分の肌がやけに温かくて妙な気分になりそうで、きゅっと目を閉じた。
いつしかうっすらと濡れ始めた糸への入り口だけに触れずに、真は糸の脚を解放し帯をほどいた。
束縛する物を失った糸の浴衣は自然にはだけ、糸の白い肌が後ろに広がる夜景の中になまめかしく浮かぶ。
真は糸の鋭くなろうとしている乳首をよけて乳輪だけをくるっと舐めた。
澄んだ冷たい空気が真の付けた唾液の跡を追いかけるのが糸にだけわかる。
真の浴衣は糸を逆らえなくするために使われた帯が無いことでとっくにはだけていた。
真は自分の上半身をもっとあらわにし、同じようにはだけられた糸の裸体にしっとりと重ねた。
中途半端に立たされたまま動けないでいる糸をゆっくり抱き締める。
糸は真の見た目よりも厚い胸板に自分の乳房が押し付けられ、
その心地良さに自分の意志を無視して乳首が尖って行こうとするのを感じていた。
耳まで真赤になってぎゅっと目を閉じたままの糸の首筋を通って真の口が糸の耳たぶを捉える。
「・・・好きだよ 糸さん」
ただでさえ近付き過ぎた真の熱い息の中で囁かれた言葉が、糸の体中に火砕流のように流れた。
糸の身体も心も真に逆らえなくなっていく。
真は糸に身体を重ねたまま左手でぐいと脚を開かせて、右手で糸への入り口を探し出そうと長い指を這わせていた。
非日常すぎる状況に酔ってしまったのか、真の指が糸の膣口に触れた途端、ぬるい粘液が溢れ出て来た。
真はそのまま糸から湧き出る液の中でぐちゅぐちゅという音と共に指を遊ばせながら糸への淫らな刺激を続けていた。
「あっ・・・ やっ・・・ 」
真の執拗な愛撫に発声を我慢していた糸から微かな喘ぎ声が真の耳に聞こえた。
自分の思い通りになる糸に触れ続けるうちに、真のペニスもいつしか下着を突き抜けそうなほど長く固くなっていた。
真は自分の下着も脱ぎ捨てると、激しい勃起を止めない肉棒を片手で軽く支え
その割れ目から粘液を噴出そうとしている亀頭を指の替わりに糸の陰部にあてがった。
「くふっ・・・」
濡れているとはいえ明らかに指よりも格段に太く固く長い真の侵入に糸の身体が敏感に反応する。
その衝撃に糸の腰が後ろに引けたが真がそれを許さない。
糸の脚を支えていない方の真の腕が糸の腰に巻き付いて強引な力を込める。
次の瞬間、糸の膣に真のペニスがその果てまで届くかのように突き刺さった。
「あぁぁぁ・・・」
とうとう堪えきれずにこぼれ出した糸の細い声が冷たい外気に白く溶けていった。
混同するふたつの熱い愛液の中で、自分を包み込み逃がさないようにと締めつけてくる糸を
声を出さないように必死に痛みと快感に耐える糸の荒い息づかいを
自分の胸の下で押し潰されながらも赤く固く抵抗している糸の乳首を
全てを心の底から愛しいと思いながら
真は彼女の中に自分の存在を焼き付けるように激しい動きを更に加速させていった。
こうしていても真の胸の奥底には小さな不安という名の種火がくすぶっていた。
――――――絶対に諦めない―――――――
糸を全身で犯しながら、油断すると何処までも大きくなりそうな不安を閉じ込めるかのように
真の意志は一層強く熱く糸の中で熱く固まっていった。
ガチャガチャッ
―――――――ドアを開けようとする音がする。
「あれ?鍵かかってるよ?」
「あ あたし鍵持ってるよ はい」
キ―――ッ
ガチッ
「え? チェーンかかってるよ?」
「糸さ―――ん 真琴さ―――ん 」
「お財布取りに来たんだけど―――?」
<修学旅行>
→→→管理人の製作&おまけ話★