「わ―――――っ すごい夕やけ――――!」
「アパートだと椿ちゃんが来るかもしれないからね ここなら大丈夫」
「あ―――あついでに着替えて来れば良かった」
「いーじゃん そのままで(かわいーv)」
にこにこしながら、真は糸のプレゼントした特大プリンをぱくぱくと口に運ぶ。
「おい・・・そんな食って大丈夫なのか?見るのも嫌だったんじゃ・・・」
「うん 食べた事は無かったけど」
「え?」
「匂いは毎日かいでたけどね 母さんが山程作って」
「―――――あ もしかしてそれで嫌いに?」
「―――――匂いが嫌とかそういうレベルじゃなくて 実家を思い出すっていうか・・・・・」
『真 そんな事で家を継げると思ってるのか もっと自覚を持て』
「・・・で なんでプリンが嫌いだったんだ?」
「つまり解りやすく言うと あの人が毎日5食食べてたから」
「それがやたら説教中ばっかりで プリンを見るとあの光景を思い出すんだ 嫌いを通り越してあれは恐怖だね」
(親父さんがプリン 似合わねえ)
「何のつもりか茶碗蒸しの陶器に作って・・・ あ 茶碗蒸も苦手かな」
(ほとんどトラウマじゃん)
「む・・・無理して食わなくてもいーぞ?」
「大丈夫 全部食べるよ」
「そんなすぐ克服できるか!」
「本当に大丈夫だって」
ドサッ!!
(お 押し倒してしまった・・・・・・)
「・・・オレの為でも そうでなくてもいいよ 糸さんの作った物なら何でも食べる」
糸に押し倒された真がくるっと糸の上になる。
「・・・・・ま」
そしてそのまま糸の顔に自分の顔を近付けた。
(あ・・・ )
今日は真琴の誕生日。
久しぶりの真琴のキスは プリンの味がした。
―――卒業の事とか 劇団の事とか あたし達の夢はまだ雲に覆われあまりにも先がつかめないけど
10年後も20年後も こうして何かを作ってあげたい
そう思う
いつもの人気の無い海辺に、糸は真と一緒に居た。
真の誕生日のお祝いは椿の部屋で行われていたのだが、
茜の計らいでふたりは途中で抜け出すことができたのだった。
久しぶりの真からの長い口づけに糸は息苦しくなってしまった。
「ちょっとたんま」
思わず顔を離すふたり。
酸欠で真っ赤になっている糸を真がけらけらと笑って見ていた。
「じゃあ、もう一度」
「え?」
糸の返事を待たずに真は糸の口を塞いだ。
自分の背中に回った真の腕を真似るように糸も真の背に手を回す。
夕暮れの涼しげな風による葉擦れの音と静かな波音だけが糸の耳に届く。
そして優しく自分を抱きしめる真のぬくもりだけを感じて、糸は幸福な気分に浸っていた。
しばらくして糸の背に回していた腕を緩めると、真の手がセーラー服の下から糸の素肌に触れて来た。
(!?)
糸が驚いている間に、糸のささやかな胸をきゅっと締め付けていた下着の留め金が簡単に外された。
瞬間、白いセーラー服の下で糸のふたつの乳房が自由になる。
真は左手で糸の身体を固定しつつ、右手でセーラー服の上から片方の乳房をぐっと掴んだ。
真の背に回した糸の手にも思わず力が入った。
口は真に塞がれたままなので、声は出せない。
さっきまで糸の耳に心地良く届いていた葉擦れの音も波の音も凍ったように聞こえなくなっていた。
(こんなところで??)
糸には今の真の行為が信じられない。
不安にかられている糸を無視して、真は糸のセーラー服をいきなりたくし上げた。
本来の役目を失った下着も一緒に。
「んっ!?」
驚いて目を開ける糸の唇を同時に解放した真は、あらわにされた糸の乳房に吸い付いた。
糸はその真の勢いに倒れそうになりながらも、なんとか両手を後ろに着いてこらえる。
糸の目の前には自分の片方の乳房に吸い付く真の頭が飛び込んで来た。
何が起こっているのか理解するにつれて糸の体温が上昇し顔がほてり出す。
「まこ!」
恥ずかしさに目を閉じながら抜けて行く力をふりしぼって糸が声を出す。
「誰か来たらどーすんだっ!?」
真を自分から引き剥がそうとしても、糸の両手は自分の身体を支えることだけで精一杯である。
真は糸の乳房から少しだけ唇を離し、乳首に触れるか触れないかぎりぎりのところで
「誰も来ないよ いつもそうでしょ?」
そう微笑んで言い放つと、また糸の乳房に張り付いた。
真っ赤になった糸の耳には、真の口と自分の乳房から生み出されるぺちゃぺちゃという音が聞こえて来た。
真が糸の乳首をおいしそうに舐めている音だった。
そして、いつしかもう片方の乳房も真の手の中に形良く収められていた。
「あ・・・」
真の舌と長い指でいじられた糸の乳首は、糸の恥じらいに比例するように固く赤くなっていった。
真の空いていたもう片方の手が、糸の無防備な短いスカートの中に滑り込む。
糸の弾力のある太ももを外側からゆっくり内側に撫で回し、糸への大切な入り口を隠す薄い下着の上にそっと触れた。
真の長い指は意志を持ったように両足の隙間から忍び込み、下着の上から糸への入り口に続く割れ目を辿る。
「やっ」
糸は自分が倒れてしまわないようにと虚勢を張っているのが精一杯で、真の動きには全く逆らえないでいた。
ただ、このまま倒れてしまってこんな所で真の思い通りにされるのにはまだまだ抵抗があった。
それだけが、気を抜くと今にも崩れ落ちそうになる糸の理性と体勢を保たせていた。
そんな糸の踏ん張りも気にせず、真は執拗に糸の乳首をくわえたまま離れない。
糸の乳首は、既にもうこれ以上なれないというくらい固くなっていたから、
真の滑らかな舌と指の動きには信じられないくらいの快感を味わう羽目になっていた。
「あん」
油断すると自分でも信じられないくらいいやらしい声が漏れることで、糸はますます萌えて行く。
糸の吐息が荒くなって行くのを聞いていた真は、糸からやっと顔を離した。
真の口から解き放たれた方の乳首は、真の唾液でぬらぬらと赤く光っている。
真は恥ずかしさで固く目を閉じた糸の唇に軽く口づけると、スカートを捲り上げてしまった。
「え!?」
真は驚く糸の腰を軽く持ち上げて、スカートに隠れている筈の下着をするりと脱がせた。
突然の真の力技に、糸は自分をバランスを崩して横向きにゆっくり倒れてしまった。
「まこっ!?」
起き上がろうとした糸の腰を真はしっかり掴んで、横になっている糸を腹ばいにさせる。
真の力にはいつものことだが到底敵わない糸は、されるがままに四つん這いになってしまっていた。
真は、もう一度糸のスカートを後ろから捲り上げる。
何もまとっていない糸の形の良いお尻は、何の躊躇いもなく外気に触れていた。
閉じられた両足をこじ開けて、真の手が糸を後ろから犯し始めた。
まださほど濡れていない糸の膣に僅かな異物感と痛みが走る。
「んっ」
糸の苦痛の声を聞いた真は糸の中に入れた指はそのままで、
糸の背中に体重をかけずにのしかかりながら、もう片方の手でその乳房を優しく揉んでいく。
冷んやりしたアスファルトに両掌をしっかり付けて身体を支える糸。
その上には真が後ろから覆い被さっている。
あまりにも野性的な自分達の格好を考えると、糸の頭はおかしくなりそうだった。
だが、自分を求める真を拒む力も気持ちも糸には残されていなかった。
(誰も来ませんように・・・・・)
薄れそうになる意識の中で糸は必死に願っていた。
糸の首筋に真の荒くて熱い吐息がかかった。
背中から、胸から、そして自分の奥から、真の熱が伝わって来る。
「ああん」
とうとう糸の口から堪えきれない喘ぎ声が漏れ出した。
その声に促されるように糸の中に収まった真の指には熱い汁が絡み付いて来た。
「糸さん・・・・・」
真の指が糸の中で激しく動く。
糸の中からどんどん熱い液が真の指を伝って流れ出していく。
痛みがなくなった糸の膣に、いきなりそれまでとは違う真が侵入して来た。
明らかに指よりも太くて固い肉棒だった。
「やっ」
糸は後ろから姿の見えない真に犯されることに、若干の恐怖を感じていたが、
腰を打ち付けられながら自分も動かされているうちにどうでもよくなってしまっていた。
真と一体になっていることと肉体が感じる快感が恐怖に勝ってしまった。
自分の股間から聞こえるくちゅくちゅという音と、自分の中で熱く動く真に酔いながら
糸はなんとか両腕で上半身を支えていたが、崩れるのはもう時間の問題だった。
それに気付いたのか、真はずずっと自分を糸から引き抜いて糸の身体を仰向けにした。
糸のセーラー服はスカーフもどこかに飛ばされ、胸の上まではだけてしまい、
スカートは糸と真から溢れたねばつく体液でところどころが濡れていた。
糸は絶頂に達しそうなところで真に離れられたので息を荒げたままで横たわっている。
半開きのうるんだ目が真を更に誘っているようにも見える。
真は糸の足を持ち上げて、改めて固くなったままのもうひとつの自分を糸の中にずぶりと埋め込んだ。
その反動でのけぞる糸の髪をそっと撫でながらゆっくり顔を近付ける。
「好きだよ・・・・・」
真は腰を動かしながら糸の耳元でそう囁くと優しくその耳を噛んだ。
次の瞬間に糸は真の全てを許してしまっていた。
静かな波音が糸の耳に甦って来る。
辺りは薄暗くなっていた。
真の誕生日に真を一人占めしたかったという糸の願いは叶った・・・・・。
―――――(今頃うまくやってるかしら?)
糸と真が立ち去った後の椿の部屋では、茜がのん気にお茶を飲んでいた。
「隆世ーっ何があったんだあぁあ」
「ショック状態です 主治医を」
そして、倒れた隆世を迎えに来た兄、隆士が同じ部屋で絶叫していた。
<真の誕生日>
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