月が綺麗だ。

青白く光ってる。



糸は月を見ていた。
深い紺色の空にぽっかりと浮かぶ琥珀色の月を。
愛する人を待ちながら、部屋着に着替えようと寝室へ行くとそこにはどんっと大きなベッドがあって、


ギシッ


ベッドに腰かけ、感触を確かめるように手をフトンの上で滑らせてみる。
精一杯手を伸ばしきるとそのまますっとあお向けに寝転んだ。


籍を入れて一ヶ月。
それからというもの愛する人はほとんど毎夜自分を抱く。

それがここで。

そんなことを考えているとすでに顔は赤く染まっていて。
それでも愛するあの人のことを次から次へと映し出すあたしの脳みそはどうなってんだ。と自分を怒ってみたりして。


ふっ・・・


思わず笑みが零れ落ちる。


「もーいっぱいいっぱいだ。」


両腕を顔の上でクロスさせて顔を隠す。


「どうしてくれんだよ。」


こんなになった自分を
目を開けてても 目を閉じてても
頭にあるのはまこの事だけ

そりゃ演じてるときは別だけど・・・

「まこまだかな・・・」



ぽろっと出た声に、もうだめだあたし・・・って思ってたら。


ギシッ



「ただいま、糸さん。」

  ・・・・・・・・・・・・・

「・・・へっ・・・!?」

「遅くなってごめんね?」

「・・・え?あ、・・・え!?」

「今夜も責任取るよ?」

?が浮いてるかわいい新妻ににっこり笑顔を見せながら。

「今夜も責任とって力いっぱい愛してあげる。」

「・・・っ!!!おまっおお、聞いてたな!!!」






月が綺麗なのに

琥珀色に光っていたはずなのに

今はもう見えない

愛するあなたが

愛する真が隠すから












【覗いた月】











<<管理人より>>

この雪女さんのお話に惚れこんで、
イラストを描かせてくださいっ!とお願いし、
マンガ(一部挿絵↑)まで勝手に描いてしまった管理人が大好きな作品です。
他のサイトさんに寄贈されていたものだったのですが、
ずっと前から雪女さんに、公開のお許しをいただいておりました。
が、管理人の都合で準備がままならず、今日やっとアップさせていただきました。
雪女さん、重ね重ねありがとうございましたっ<(_ _)>

Wジュリばんざいっvv

(2004.03.22)