BLACK & WHITE U










季節は厳しい寒さからようやく抜け出したぐらいで、暖かい地域では桜の開花がニュースで話題になり始めていた。


学生達のほとんどが春休みという短い休みにいて、現在夕方になり日も沈み始めている学校には人の気配を感じられなかった。


しかし体育館からは…


「今日の練習はここまで!」

「「「お疲れ様でした!!」」」


先程まで真剣に汗を流して練習に取り組んでいた演劇部員達がちょうど終えた所だった。


「今日も疲れた〜」

「糸さん」


糸のすぐ近くで真琴が少し小さな声で手招きをして呼び寄せた。


「ちゃんと覚えてるよね?」

「も、もちろん///」


実は今日、真から練習後に渡したいものがあるから皆が帰るまで体育館に残って欲しいと言われていた。


さすがの糸も日付から理由をすぐに理解して今から楽しみで仕方なかった。





体育館の掃除や後片付け、着替えが終わると部員達は一人であったり友達同士であったりいづれにしろ体育館から次々に去っていった。


「戸締まりよろしくね!」

「分かったよ!じゃあな!」

「バイバイ、糸さん真琴さん」


美咲と伸子が反対側となるステージの二人に手を振りながら扉を閉めた。


―ドシーン―


体育館中に重い鉄の扉の閉まる音が威圧感を保たせながら響き渡った。


「皆帰ったね」

「そうだね」

「ちょっと待ってて」


扉が閉まりきったのを確認した彼は真琴から真に戻る為にその場を離れた。


ステージに腰掛け足をブラブラさせながら糸は愛しの彼からのプレゼントを心底楽しみにしていた。
といってもプレゼントの中身より真から貰える事自体が嬉しいのだが。


「お待たせ」


自然な流れで爽やかに隣に座ったのは糸にだけ見せる男の姿だった。


「う、うん///」


いつも見慣れているハズなのになぜかこの瞬間に恥ずかしさが顔を覗かせてきた。


「目をつぶって両手を差し出してくれるかな」

「こ、こう?」


言われた通りにした糸の両手に重くも軽くもない多分箱らしき物体が乗せられた。


「もう開けてイイよ」


ゆっくりと瞳を開くと自分の手に白い木地に包まれてピンクのリボンで可愛くラッピングされた箱が目に映った。


「これ開けてもイイ?」


静かに頷いた真を見て糸は急ぎ気味で箱を開けた。


「これって…」

「頑張って作ったんだよ」

箱を開けるとそこには可愛らしく装飾された小さな容器の上にチョコで作ったトリュフが5、6個乗っていた。


「これ全部ホントにまこが作ったの!?」

「そ、そうだけど;」

「買ってきたんじゃないのか!?」


糸がそう言うのが当たり前なぐらいに外装も内装もチョコ自体もどれもが素晴らしい出来栄えだからだ。


しばし糸はその美しさに見惚れていた。


「糸さん?」

「あっ、えっ?」

「早く食べてみて」

「うん」


糸は箱の中からトリュフを1つ取り出すとすぐに頬張った。


「………おいしい」

「本当?」

「うん、すっごくおいしいよ!」


糸の無邪気な満面の笑みを見て自然と安堵の表情を浮かべる真。


「それでね、糸さん…」


「もう全部食べちゃお!」

「あっ、待っ!」


真は何か伝えようとしたが、制止を聞く前に糸はリズム良く箱に入っていたトリュフを全部綺麗に食べ切ってしまった。


「ごちそうさま!」


プロ並のチョコを味わった糸は満足仕切っていたが、真は動揺していた。


「まこ…?もしかして一緒に食べようとしてたのか?だからアタシが一人で食べちゃっ!」

「そうじゃないよ…実は…さっき渡したのには…この前につぐみ先輩が糸さんに渡したチョコを混ぜてあったんだ…だから…全部食べると催淫作用が強く出るから止めようと……糸さん?」


真が説明を終える頃にはなぜか糸は体育座りで頭を下に垂れ、出来るだけ体を小さくする様な格好をしていた。


「大丈夫?」

「っっん!」


心配した真が軽く肩を叩くとそれだけでも糸の口からは声が洩れ、体を小刻みに震わせていた。





どうやら早くも薬の効果が表れたみたいだ。





「糸さん、今楽にしてあげるからね」

「‥んんっ‥」


低音の男の声で囁かれただけで簡単に反応して糸の体はどんどん熱を増していった。



糸の頬は赤く染まって瞳には涙が溜まり、愛する人のその表情だけで容易く真の理性は崩れていった。



真は優しく髪を撫でてあげたが、全身が快楽へのスイッチと化した糸はそれだけでも十分な刺激だった。



「んっ……っ…ぁ…」



一向に表情を見せてくれずに震え体育座りのまま耐え続ける糸にごうを煮やした真はステージから飛び降りて糸の正面に立った。



そして勢い良く両足を開いた。



「いっ‥‥ゃ‥」



抗おうにも全く力めず、声も痺れに堪えて上手く出せないでいた。



「‥スゴい‥」



予想外の光景に思わず生唾を飲み込んでしまう。



さっき着替えたハズなのにジーンズの股には漏らしたかの様な濡れた楕円型の染みが今も広がっていた。
例えるならそれはその時は真の中指ぐらいの大きさであった。



「これ以上シミにならない様に脱がすよ」



もう糸は僅かな振動にも堪え、少し息を荒げるだけで何も喋れる状態じゃなかった。



「‥んっ‥ふぁ‥‥ん!‥‥」



極力ゆっくり脱がせても彼女は愛撫をされてる時と似た喘ぎ声を洩らして、真の興奮を更に高めた。



脱がしたジーンズを雑に床に落とした。



つぐみ先輩の用意した媚薬に怪しさを感じる程覗き込んだ糸の下着は異常なぐらいにぐっしょりと濡れて下着としての機能をなしてなかった。
『はぁ‥はぁ‥』と苦しそうな呼吸で微弱な刺激に耐える糸の身を案じたが、それを上回る性欲・興奮が真の神経を完全に征服した。



「ここだと見つかるかもしれないから体育倉庫に移るよ」



答えを待たずに糸のジーパンを肩にかけると、体育座りの姿勢を利用して糸自体もお姫さま抱っこをして倉庫に向かう事にした。



「ぁ‥‥だ‥うご‥くぅ‥な‥‥」


「すぐだから」


「ぅ‥ん‥‥ぁ‥ぁ‥ぁ‥」



一歩一歩踏み出す度に目を閉じて口を塞いでも真っ赤な顔で小刻みに震えながら小さく吐息を漏らす仕草は、この先の交わった時を想像させて興奮は臨界点を突破させた。



―ポタ‥ポタ‥ポタ‥―



二人共に本能が脳を支配して気付いてないが、糸の秘部から溢れ出る愛液が、漏らしたかの様に滴り落ちて舞台から5mぐらい離れた辺りから体育倉庫までを結ぶ水滴の道が出来ていた。



―ガラガラガラ―



体育倉庫に着くと近くにあったマットに糸を寝かせた。



「いくよ、糸さん」



自身のいきり勃った物を露出させると、糸の下着を横にずらして、そして一気に…



「あぁぁん!!」



奥まで突き刺された刺激だけでイッてしまった様だ。



「もうイッちゃったの?‥‥でもオレまだだから‥」



ビクンビクンと全身が大きく痙攣して返答どころではない糸と裏腹に真の雄が容赦なく攻め続けた。



「はぁ‥ぁ‥‥ぁんっ‥」


「んくっ‥はぁ‥ぁ‥はっ‥」


「んっ‥‥くぅ‥んんっ‥」


「‥なっ‥‥はぁ‥も‥ぁ‥あぁん‥」




体位を変えて責め続ける独特の音とその度に違う喘ぎ声が体育倉庫中に反響した。



そして腰を打ち付け続ける真にもついに限界が近づいてきて…



「‥‥もう‥‥出‥る‥‥」


「はぁ‥はぁ‥ぁあ‥‥」

「‥‥くっ‥‥出るっ!!」


「ぁ‥うっ‥ん‥‥ぁぁぁんっ!」



中の奥底まで勢い良く注ぎ込まれる真の液だけで、糸は今日4回目の絶頂に達してしまった。









体育館のステージ上で演劇部員達の休憩中に女子達の雑談で盛り上がる輪に近づいてくる与四郎。



与四郎>なぁ、なぁ。知ってるか?


美咲>何よ、急に割り込んできて!


伸子>まぁまぁ。それでどうしたの?


与四郎>どーやら出るみたいなんだぜ。


糸>出るって何がだ?


与四郎>コレが。



胸の前で指を揃えて両手を下に向けるその仕草や表情はまさしく幽霊そのものだ。



糸>…ホントか?


美咲>まさか季節外れな冗談で脅かそうとしてるんじゃないでしょうね?


与四郎>冗談じゃねーって!現に証言とかもあるんだからな!



皆が疑心暗疑な目で見てくるからと与四郎は必死に説明し始めた。



与四郎>まずその日に野球部の1年が部活帰りに体育館から途切れ途切れに啜り泣く様な女性の声を聞いたんだぜ!しかも同じ日に宿直だった英語の先生がこの体育館を見回った時に、あの辺りから体育倉庫へ水滴が続いてたって言ったんだって!だから間違いないだろ?


伸子>確かにホラー小説にありそうな状況だね。


与四郎>だろ?


美咲>そ、そうね…あれ、真琴さん?


真琴>な、何かしら?


美咲>なんかしかめる顔してるから…もしかして真琴さんも恐いの?


与四郎>“も”って美咲も恐ーのか?


美咲>うるさい!



皆が笑う中、真琴の背中の左下辺りには今だに糸のつねり攻撃で激痛に襲われていた。



美咲>でも気のせいとか誰かのイタズラって可能性もあるじゃない?


糸>そーだ、そーだ!第一幽霊ならもっと昔から噂になっててもおかしくないだろ?


美咲>そーよね!



色んな意味で動揺している面々が必死になって否定しようと頑張っていた。









しかし数ヵ月後、この話は学校の怪談として後世に語り継がれるのだった。






Fin.

















<<管理人より>>




なんとっ!
以前に頂いておりました【BLACK & WHITE】の続編でございますっ!
未読のお方は、前作を先にお読みになられますようにv

ってココで言っても遅いですね(汗)。

うほほほほほ。
この薄暗くも気持ち良い空気の漂う世界を愛してやまない管理人ですが、
更新がままならない状況において、
救世主のようにエロパワーを巻いてくださいますよねvv椎名さんはっ!

体育館倉庫へ続く水滴を、思わず指に取って確かめるなんてことをしたいと思ったアナタは、
間違いなくお仲間だっ!(友達居なくなる)

独りでまったり堪能しようと思ってましたが、
いや、これは3.14祭り(そんな祭りは無い)に出さねばいかんだろうっ?
ということで、公開させていただきます。


何故にこんなにエロに惹かれるのでしょうねえ。
それが人の欲のひとつだからでしょうか?
うずうずしますねvv←病気は私か?


椎名さん、お忙しい時間を縫っての悶絶品。
ありがたく美味しく頂戴いたしました。

また、いつでも熱いのを構えてお待ち申し上げておりますですvv



(2007.03.14)