待ち合わせをした。

約束の場所へと向かうと糸の目に飛び込んできたその姿。

長いブロンドの髪は風に舞い、淡い色の布が揺れていた。
思わず足を止めその姿をじっと魅入る。

っと、その時邪魔なものが現れその姿を隠してしまった。

(ちっ・・・・・)
糸は眉根を寄せると大またで邪魔なものの排除に向かう。


「〜〜カラオケ行こうよ〜」
男らしからぬ高めのトーンで話し掛けている。
聞いてるだけでいらいらするその口調。


ダンッ!!!!!
「何か用?…カラオケが何?」

「誰の女だと思ってんの?」
低い声と鋭い視線に相手は完敗。
我先と言わんばかりにそそくさと退却して行った。


ダレノオンナ・・・?

その後レストランに入ると真琴は机につっぷしたまま
肩を震わせ笑い出した。
さっきの『誰の女』がよほどツボにきたらしい。

「いいかげん、笑うのやめろ!」と言えば
今度は声を殺して笑う。

ときおり見える笑った顔に糸の心臓はどくどくと言っていた。


なんとか笑うのが収まった真琴と二人街を歩く。
通り過ぎる人々がチラチラと視線を向けてくる。
思わず見とれるその姿に足が止まる。
そのたびに「どうかした?」と返され「べつに…」と答えた。

横にいると良い香りがした。

“ねっ。見た?今のカップル。”

通り過ぎようとした女の子たちの会話が耳に入った。
ガラス越しに映る自分達の姿。

男のはず!なのに…今は違う横にあるその姿。
細く白い腕…形の良い顔のパーツの数々にサラリと流れる金色の髪。
偽物だとわかっているはずなのに!!!



初夏の日差しが糸の頭を照らす…
つぅっ…と流れた一筋の汗。

先程から何も話さない糸の目の前に真琴の顔がひょっこりあらわれた。

「糸さん?どうかしたの?」
ふわりと鼻腔をかすめる匂い…

どくんっと大きく糸の胸が高鳴った。

(なっ…何考えてるんだ?あたし?!)
ふと脳裏によぎる光景にぶんぶんと頭を振って抵抗する。

「糸さんってば?」
ずいっと気づけば至近距離にあった真琴の顔。

糸の音が消えた―
周りに流れる人々の声や車の音が一瞬にしてなくなった。
目の前にある顔だけが糸の脳裏に焼きつく。

ぽかんと立ち止まる糸に真琴が笑う。

「変な糸さん♪」
くすくすっと笑うその姿。
風に舞う細く長いブロンドの髪。
女だと見間違うほどの白い肌…
いや……今、目の前にあるのはまぎれもなく「女」である「真琴」だ。

体は硬直したままだが、視線だけは無遠慮に真琴の体を見回していた。

ひらひらとなびくワンピースの裾。
すらりと伸びた細い腕。
視線は足元から徐々に上へと上がってゆく。

顔のパーツひとつひとつが誘引しているようだった。
暑さのせいかちょっとだけ紅潮している頬。
ある時は己の意志を露わにする切れ長の瞳。
すぅっと通った鼻筋・・・・・

糸の視線が止まる。

―イトサン・・・?

自分の名を呼ぶその唇は、とてもやわらかそうだった。
うっすらと化粧をしているせいか妙に艶が増している…。



(………奪いたい)
視界の隅に飛び込んできたその場所。

糸は迷う事無くツカツカとそこへ向かって歩き出した。
立ち止まったかと思えば急に歩き出した糸に真琴は驚き後を追った。

「糸さん?どうした…」
“の?”と声をかけようと伸ばした手を勢いよく掴まれた。
状況を把握できないまま、真琴の体は壁へと打ちつけられていた。

「糸さ……んんっ……」
大人が二人通れるかぐらいの路地裏だった。
袋小路になっているらしく、人の気配は全くない。

「んっ……」
糸は一心不乱に真琴の唇をむさぼった。
“重ねる”というより“かぶりつく”と表現するにふさわしく
糸の口全体で真琴の唇を塞ぐ。

一方、真琴といえば、不意打ちだった為うまく体の向きをかえれず
よじるような格好で壁と糸の体にはさまれていた。
左手は自分の体と壁に、右手は糸の体全体で肩から押さえられている。

「…っふ……」
糸の顔が離れた。
二人の唇からつぅっと筋がつたう。

はあはあと肩で呼吸を繰り返すうつろな顔の真琴。
糸は再び唇を重ねた。
今度は軽く重ね様子を伺った。
顔の向きを左右にかえながらくっつけては放し、
放してはくっつけるというキスを繰り返す。

真琴の唇が開いてきた所で糸の舌が伸びた。
吸い付くように真琴の口内を犯していく。

糸は真琴の唇を塞いだまま手を動かした。
ブラウスのボタンを2、3はずすと胸元へと手をすべりこませる。
本来の姿の時にはない胸のふくらみ。
糸は躊躇することなくブラジャーの下から真琴の突起を探り当てた。
が、うまくいじることができない。
もどかしげにいったん引き下げるとブラジャーを乱暴に押し上げた。

「んんっ!!」
驚いた真琴が糸の口の中で声をあげる。
「んー、んーっ!!」
腕を動かそうとするが力が分散されて思うように動かない。

女性である糸にやすやすと動きを封じ込められた真琴。
もはや糸にされるがままの状態だった。
右側だけブラジャーから開放されたのも束の間、糸の指によって
刺激をあたえられそれはカタチを露わにしていく。
やわらかかった真琴の乳首はだんだん固くなっていった。

親指と人差し指でやんわりと揉みしだかれ、時折爪をたてて
ひっかかれる。
徐々に真琴の体は火照り始めていた。
まるで女性のように乳首をいじられて感じ始めることに
真琴は酔い始めていた。
得体のしれない快感が徐々に真琴を包んでゆく。

「んっ、んっ…」
水音をさせながらキスを繰り返す。
それにあわせるように乳首を弄ばれていた。

真琴の体から力が抜けたのを確認すると
糸の唇は真琴の首筋へと移った。
ついばみながら真琴の首筋を滑り落ちる。
髪が揺れるたび真琴の匂いが糸の官能を刺激した。

汗ばんできたお互いの体。
真琴からはダリの匂いが漂っていた。

「あっ!!」
ひときわ大きく真琴の体が震えた。
糸の唇が真琴の乳首を捕えたからだった。
唇ではさみ口の中で舌を動かす。
「んっ…だ、め」
ぞくぞくと背筋をはしる快感に真琴は必死で耐えていた。

路地裏とはいえ、一歩踏み出せはそこは大勢の人が行き交う通り―
これ以上、愛撫を続けられたら間違いなく声を出してしまう。
偶然その声が洩れ、通りの人の足が止まったら……

真琴はきゅっと唇を結ぶと声を必死で殺した。
「い…とさ…ん……っつ…」
糸の頭が真琴の胸元へと下がったおかげで右肩の押さえがはずれた。
少しだけ自由になった体で糸を止めようとするが……

「なに……?」
真琴の声が届いた糸は、乳首への愛撫をやめて顔をあげた。

「あっ……」
それと同時にスカートの裾から手をいれ真琴自身に触れた。
「やっ…ぁっつ」
フレアスカートと糸の体が目隠しになって表からは見えにくくはあるが。
糸の腕によってたくしあげられたスカート。

「んんっつ…あっ……」
真琴への挑発をはじめた。
手のひら全体を使ってにぎりしめたり、またはかるく指先だけで触れてみたり…
じらしにじらして真琴自身を挑発してくる。


「あっ、あっ…」
糸を止めようとしたのも忘れ真琴は与えられる愛撫に飲み込まれそうに
なっていた。
声を殺すのは無理だと悟り、小さいあえぎ声を繰り返す。

真琴の本能が反応を返す。
念には念をいれ私服時であってもスパッツをはく真琴。
糸の愛撫によってじんわりと湿り気をおびはじめていった。


「い…とさん……も、やめ……」
真琴の足ががくがくと震え始めた、壁に全体重をかけ体を支える。
「あああっ……んむっ……」
より一層大きな声が出そうになったが、糸によってそれは飲み込まれる。

「んっ、んっ」
塞がれた唇の下で声をあげる。
糸が愛撫をより激しくし始めたのだった。
やんわりと触れていただけだった手は、主張しはじめた真琴自身を
強く揉みしだいた。
ぎゅっぎゅっと一定のリズムで繰り返される律動に
真琴は絶え間なくあえぎ続けていた。

(なにもかも奪ってやりたい……)
糸は頭の中でそれだけを思い、真琴を愛撫していた。


「んんんーーーーーーっつ!!!」
もう少し持つかと思われた快感の波がイッキにはじけた。
真琴は大きく体を震わせると体をこわばらせ高みへと達した。

「っつ……ふっ……」
じっとりと汗ばんだ体と己の放ったモノが快感の波に染み込んでいく。
がくんと膝が折れ、その場へと崩れ落ちた。


「い…と…さ………」
ぜえぜえと荒い呼吸を繰り返し糸を見上げた。

「あ…んむっ……」
糸は無言で上から見下ろし、半開きになった真琴に口に
自分の指を押し込めた。
口の中で指を動かす。

「んぁん……」
くちゅくちゅと真琴の口内を犯す糸の指……
まともに呼吸をとれず、眉間にしわ寄せた。

「っつ…」
ようやく指が引き抜かれる。

うつろな目で見上げた真琴の目に、満足気に微笑むと
濡れた指をぺろりと舐める糸が写っていた。
















<<管理人より>>