「糸くーんっ!」

  「すぐに会いに来るから待っててね〜〜〜〜っっ!」



  「つぐみせんぱーい さようならーっ!」

  「卒業おめでとうございまぁすっ」

  「せんぱぁーい さようならー」



  「糸く〜〜〜〜んっっ」


  手を振る後輩達に手を契れんばかりに振りながら、
  青空の中を舞い散る桜の中に、つぐみの高い涙声と姿は融けるように消えて行った。





  ―――― 3月。桜ヶ丘高校、卒業式の日。



  厳粛な式を終えて、卒業生と在校生が、
  るいは卒業生と教師や父兄が、思い思いに別れを惜しんでいる。


  糸と真琴も演劇部の先輩だったつぐみ達を見送っていた。


  つぐみは糸に抱き付いたまま泣きじゃくっていたが、
  演劇部の後輩に声をかけられ慰められながら、
  さんざん叫んで気が済んだのか、
  手下達に連れられて名残惜しそうに去って行った。





  やっと解放されて自由になった糸の傍で、
  真琴は静かにつぐみ達の姿を見送っていた。



  桜の香りを乗せた風が真琴の長い金髪を揺らしている。


  「ねえ 糸さん」

  「なんだ?」

  「・・・・・オレが卒業するまで支えてくれる?」


  糸の顔を見ないまま、真琴が問い掛けた。



  糸は少し呆れたように、くっと笑ってから


  「あたしじゃなかったら誰がやんだよ?」


  真琴の顔を見ないまま、糸が力強く問い返した。












  「・・・・・そうだね」


  安心したように真琴がうっすらと微笑む。





  ふたりは誰にも気付かれないようにどちらからともなく手をつないだ。





  ―――― 卒業まであと1年。 

         想いを確かめ合うふたりにどんな困難が待っているのか知らせる由も無く、

         風に流れるままに桜の花が舞い踊っていた。


























【あとがき】

昨年の春は新入生歓迎会の小話だったのですが、
今年は卒業式の小話でお送りしております。
という程のモノでもありませんね(汗)。


一年後の卒業を決意するふたりを妄想してのTOP絵でございました(*'-'*)
不安そうなまこりんを描きたかったのですが
すげー高ビーな感じに見えます・・・・・。
しょ、精進しますです(泣)。

毎度、お付き合いありがとうございますっvv

もう、まだまだ【Wジュリ】大好きですっっO(≧▽≦)O
春から暑苦しくてすみません。


こんな場面を妄想していたら痒くなって来たので、
この勢いで裏更新にも勤しみたいと思いますです。はい。
(↑こうやって自分の首をまた絞める。)


(2006.03.19)