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そんなえーじさんが…


「なぁ、青年」
「なんですか?」
「……ここは、どこだ?」
「……さぁ?」

 そこは、荒涼とした荒れ地で。
 奇怪なオブジェが立ち並び。
 ……俺と英二さんは袋詰めにされていた。
 ジャガイモ袋? 首だけが外に出てて。

「なぁ、青年」
「なんですか?」
「……月が、きれいだな」
「……そうですね」

 滅多に見ないほど眩しく、月が輝いていた。
 ……それにしてもここはどこなんだ?
 確か俺は、英二さんの誕生パーティに呼ばれていたはずだ。
 それがなんで、生ゴミと一緒に捨てられてるの?

「なぁ、青年」
「なんですか?」
「……寒いな」
「……酔いが醒めてるんですよ」

 数時間後、俺達は見回りのおじさんに助けられた。


 あとで聞いた話。
 俺と英二さん、調子に乗って飲み過ぎて。
 ジャガイモ袋に入りながら、「アートなんだよ!」って、
 理奈ちゃん達に迫っていたらしい。

 それがなんでゴミ集積所に放り出されたのかは、謎。
 誰も教えてくれなかった。


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