人気投票というのは常に敗者を生み出す。
 まお人気は非常に嬉しいが、作者の好きなキャラが最下位とかは目も当てられない。
 実は実際そういう事が多いわけだが。
 くすんくすん。
 そんな泣き声が響く。
「あー。なんだ。その、だな」
 流石にいつもの元気さがなくなっている。
 だれがわるいとは良く言わないが。こうやって声なくすすりなかれるとどうもこう、良心が疼く。
「元気だそうよ」
「あんたにだけはいわれたくないわ」
 がばり。
 流石に醒めた声で顔を上げたのは、涙で目を真っ赤にしたキリエ。
 噛み付かれて流石に泣きそうな顔をするまお。
「こらこらキリエ。かりかりするんじゃない」
「だってだってだって!ユーカ!あんまりだよひどいよ!」
 ああ、その気持ちはよーくわかるぞキリエ。
 なんたって作者だからな。
「本編じゃ殺されてるし、なんだよあの人気投票!なんであんな変な男にまけてるんだよ!」
「というかキリエ、ずっと最下位じゃないか」
 ざくり。
 ユーカも容赦なく言葉を突き刺す。
 再び声無くすすり泣き始める。
 うって変わって、『変な男』ミチノリ。
 こんな寒い中、少しでも日の当たる場所にぺたーんと足を伸ばして座って、ほんわか〜と幸せそうな顔をしていた。
 両手袋を後ろにほっぽりだすようにして、体重をかけて。
「全く」
 これでユーカの夫である。
「キリエ、泣いて居るぞ」
「え〜ぇ?そんなぁ〜。別にぃ、みっちゃんはぁ悪気もなぁんにもなぁいんだよぉ〜」
 そりゃないだろう。
「ちょぉーっと、みっちゃんのほうが手袋が大きぃだけぇ」
「言っておくがミチノリそれは全く関係がないぞ」
 がびん。
「そ……そぉ、だったんだ」
 何故か酷くショックを受けた顔で、何時泣くかもうカウントダウンが始まっているぐらいだった。
「ミチノリ。……お前、何故そんなに手袋にこだわってるんだ。そう言えば私もその手袋の正体は知らないぞ」
 えへへ。
 何故か顔を赤くして、少し恥ずかしそうに笑うと小首を傾げて。
「ゆぅちゃぁんには」
「教えてくれなくて結構だ。取りあえずキリエに謝っておけよ」
 ミチノリに皆まで言わせずさくっと断ると、それだけ言って彼に背を向けた。
 ミチノリは。
 そのまま笑みを凍らせてしくしくと泣き始めた。
「さいきぃん、扱ぃひぃどぉ」
「言っておくが最近じゃなくいつもこんなものだぞ」
 それはフォローなのだろうか。
 ちょっとだけミチノリが不憫に思える今日この頃だった。