なつ。あついひ。こんな時はやっぱり水辺であそぶのがいちばん。
 あんまり日の高い時に行くと体中こげてしまうけども。
 水着も持たずに魔王陛下ご一行は海にむかいました。

「まだはやいかなあ」
 と言いながらも、あんまり暖かいので海に遊びに来てみた。
 ちなみに。サッポロからは遠く離れていてこの辺りは結構普通に暖かい。
 サッポロで海水浴は出来ないので一応、そのつもりで。
「早いですな」
 ちりちりと照りつける日差し。
 んしょんしょと言いながら、アクセラとシエンタの二人はビーチパラソルと行楽マットを広げて、昼食の準備を始めている。
 まおはいつものワンピース、マジェストは何故か今日は灰色のローブだ。
 いつもの黒ずくめではない――どうやら何着か持ってるみたいだが形は同じ。
「まだ水着姿が少ないですなぁ」
「まぁ、かしきりーって思えば良いのかな?」
 とててと波打ち際まで走ると、早速足を波間に突っ込む。
「ほらほらー、冷たいし綺麗だしきもちいーよーっ」
 ぱしゃぱしゃぱしゃ。
 嬉しそうに走り回るまお。
 どこか幸せそうにそれを眺めるマジェスト。まあ、いつもの光景である。
「ほら、お前達も行きなさい」
 声をかけられて、戸惑うように自分を指さすシエンタ。
 何故か睨むアクセラ。いや、困った顔をしているのだろう。
「たまには遊んできなさい。それに、魔王陛下付のお前達が魔王陛下のすぐそばにいなくてどうするのですか」
 くすくすと笑うと、まおに視線を戻す。
「ほーぉらぁ、そんなとこであぶらうってないでーっ」
「油は売ってませんがね」
 おかしそうに笑う彼の側から、たたたと二人がまおに駆け寄っていく。
 ため息のように大きく息を付くと、彼は二人が用意したパラソルの下に座りこむと早速弁当箱を開く。
 中身は、多分シエンタの手作りか。まおの好物しか入っていない。
「昆布巻きに唐揚げ、冷えたピザにシュウマイ、塩鯖……。滅茶苦茶な取り合わせですな」
 と言いながら、彼は懐から何故かきんきんに冷えた缶ビールを出して、ぷしゅ。
「たまにはこう言うのも悪くないですなぁ」

  ぱしゃ

「やん」
 悲鳴が上がる。
「大丈夫ですかまお様っ!」
 駆け寄るシエンタ。

 たおるたおると呟きながら戻ってくるアクセラ。
「あーあぁ。魔王陛下ー、読者サービスもいい加減にして置いてくださいねー」
「うるさいっ!したくてしたんぢゃないやいっっ!」
 ともかく平和な一日。
 アクセラが大慌てでスポーツタオルを持って駆け寄っていった。