本当ならもう少し強烈なネタをつかうつもりだったが、平和に終わらせてみた好例。
 たとえばサイト閉鎖とか、作者急死とか、1日だけ完全閉鎖してしまう奴。
 本気にされても怖いし、まお連載中止とか……。

 そろりそろり。
 今日も今日とてまおは執務室でいねむりこけている。
「魔王陛下、魔王陛下」
 ゆさゆさ。
「へーいかー。今日は陛下の世界征服記念日で御座いますよへいかー」
「ふへっ」
 美少女らしからぬ(by まじー)声でからだをがばりと机から引き剥がすまお。
 目が動揺している。
「せ、せかいせいふくきねんび?!」
「ええそうでございますとも魔王陛下。今日はなんと言ってもおめでたい日」
 そう言ってマジェストは彼女を無理矢理引き起こすと、ずるずると引きずるように執務室から連れ出す。
 ずるずる。
「ようにって、ひきずってるひきずってるってばっ」
「早くお着替えになって下さいっ」
 ぽい。
 彼女の控え室にたたき込んで、マジェストは額を拭う。
「ふぅー。アクセラにシエンタ、後はお任せしますよ」
 彼はにこやかにその場を去っていった。
 一方控え室の中では、既にアクセラにむかれたまおは、シエンタの手にしたドレスを着せられようとしていた。
「ほら、まお様、ゆかにぺたんと座り込まないで立ってください」
 結構単純な構造で。
 頭からかぶせて袖を通すだけのワンピース。
 だからシエンタももう上からおっかぶせてしまう。
「すぐ式典ですよ。ほらほらー」
「まてまてまてまてっ、まだ袖通ってないこらめくれるめくれるっ」
 ぱたぱたぱた。
 ばたばたばた。 
「おつれしましたー」
「まだ着てないっ」
「早くおたちだいにっ」
「下から見えるっっ」
 大歓声。
 大歓声。
 拍手喝采。
「ぶらぼー」
「まおさまさいこーっ」
「…………」
 まおの前には。
 手すりの張りぼてと。
 大きなスクリーンに映った、群衆と。
 ラジカセを持ったマジェストがいた。
 そこはやっぱり執務室だった。
「ぶらぼー」
「まおさまさいこーっ」
 アクセラとシエンタが、棒読みでもう一度読み上げる。
「…………何の真似よ」
「はっ、魔王陛下。今日は何の日かご存じですか」
 カレンダーを見る。
 いつものひめくり。
「……しがつついたち」
「はい、今日は誰もがうそを付いてもいい日なのです。なのでございます」
 …………。
「あんたら、あとでおしおき」