初めのいい加減なほのぼのもーどから、かなり真剣入ってきたここ最近。
 公式発表で、おちゃらけないとの事を引いてまおは怒り狂う。
 そんなある日の魔王の執務室にて。

 まおは執務室でマジェストと睨み合っていた。
「聞き分けてください、魔王陛下」
 しかし、まおも譲ってはならない一線を構えて、がんとして首を縦に振ろうとしない。
「ダメ。ゼッタイ」
 まるで某ポスターのようである。
 違うのは眉を吊り上げた可愛らしい女の子だということだ。
「しかしですな、陛下。もう転がるしかないところまで来ているのです」
 マジェストとまおは結構言い合いをする事があるが、大抵の場合どちらかがどちらかに折れる形になる。
 ただそれは必然的に、であって、今のように真正面から衝突するようなことはまず持ってなかった。
「でもだめ。いい?『魔王の世界征服日記』はあくまで日常コメディっぽい和製えせふぁんたじーを目指した短編小説なんだよ?!」
 やたらと微妙な言い方だが。
「しりあすなんかダメ。どうしてしりあすにすんのよぉ」
 じんわりと目尻に涙が浮いてきた。
 流石に我慢の限界なんだろうか。彼女にとってはシリアスな殺し合いみたいなものは嫌いらしい。
 マジェストも決して悪魔でも鬼でもない。魔王軍参謀だ。
 まおの側近の一人として、まおには従わなければならない。
「朝食シリアルはおすすめしますが……」
「そーぢゃないでしょ!」
 ぶちきれた。
「どーすんのさ!萌えと可愛さをてーまにしてたら嘘になんぢゃん!」
「そうでございますなぁ。しかし、得てしてこの世というモノは裏道理が御座います」
 漢字が違う気がするが。
「良いですか。表の道理は真の道理。魔王陛下のおっしゃるとおりでございます。しかし表有れば裏有り」
 がらがらと執務室の裏側からホワイトボードをだして、マジックで『魔王の世界征服日記』と書く。
 実は結構達筆なマジェスト。
「よく考えてみたらこのタイトルもおかしな話で御座います。魔王陛下は世界征服をなさっていますか?」
 ぶんぶん。
「むしろ『まじーの世界征服日記』か『まおとまじーの仲間達』の方がただしい」
 そのネーミングセンスは戴けないが、まおの思っている通りタイトルは正しくない。
「これが裏道理で御座います。世界征服の過程を書いていないのに、また日記形式ですらないのに日記だと」
 ばん、と机を叩いて彼は激昂する。
「ですからシリアスでもいいのです」
「なんでだ」
 全く。