新年明けましておめでとう御座います。
 今回二人は結構真面目にやってたりします。
 でも相変わらず違和感ばりばりな気もしたり。
「あけましておめでとーございます」
 ぺこり。
 晴れ着で、今年はまともに着付けて質素に頭をまとめたまおがお辞儀する。
 おちついた女性の雰囲気……というよりは、むりやり押し込められた子供そのまんまの雰囲気である。
 こう、どこか可愛らしいちょこちょこした感じを残しているが、それでもしっかり着付けられている。
「今年もよろしくお願いどうかいたします」
 微妙に変な日本語で、こちらは紋付き袴が異常に似合うマジェスト。
 ぱっと扇子を開く様が似合っているのは間違いない。
 オールバックに眼鏡というスタイルも、きっとそうさせているに違いないが。
「今年は去年みたいにはさせませんでしたな、陛下」
 いや、昨年はそれはそれで良かったらしいぞ。
 実は結構受けが良かった。
「んー。だってぇ。まじー五月蠅いもん。真面目にやれってうるさいじゃないの」
 まおは五月蠅いのは嫌いである。
 まあ、誰もがみがみ言われるのが好きなはずはないが。
「そりゃそうでしょう。魔王陛下が魔王陛下たるべき事を鑑みるに」
 マジェストはこほんと一度咳払いして、じろりとまおを見る。
 少しだけ引いて、まおは上目遣いにマジェストを見返す。
「その怠惰な性格を何とかしなければ、ダメだというのは言うまでもないでしょう」
「黙れ」
 あっけらかんとそう言われて、ぶちりと切れるまおの堪忍袋。
 まあいつものことで。
「まま。その怠惰な魔王陛下にお似合いの、白酒でもどうぞ」
 すっと差し出し、まおの前でぷぅんといい匂いを立てる白酒。
「う……」
「今日はお正月。正月に楽しまないで何が正月ですか」
 少し間違っているような正しい事をくっちゃべるマジェスト。
「玄関には門松、目の前にはおとそとお雑煮、そして何よりもこれ」
 掌サイズの小さなおかがみ。
 もちよりも大きな橙が妙にぷりてい。
「餅はお好きですか?」
「むぅ。好きと言われればきらいじゃない」
 そう言いながら、既にかぶりついているまお。
「みんなで食べましょう。いくらでもあるんですからね」
 魔城の全員でもって、今日は紅白の飾り付けも済ませて。
 というか。昨年も言ったのだが。
「新年を祝う魔王って、私ぐらいなものでしょ」
 片手に白酒、片手にもち。
「はっはっは。もう止めは致しませんよ」
 相変わらずの風景に、何故かマジェストも既に諦めた顔を見せていた。