COOL BIZ。
京都議定書の発行とか言ってましたが、果たして何の事やら。
みなさん。職場が暑いからって、自宅でがんがんエアコンを入れたらいっしょですよ♪
まおは執務机を叩いて立ち上がった。
いつぞやの『萌』の演説いらいである。ちなみに、今のまおの恰好はいつものワンピースだ。
ひらひらと可愛らしい恰好ではある。ではあるが、残念なことに全くせくしぃではない。
片方の拳を握りしめて顔の前でぷるぷるさせているその恰好は、せいぜいなりたての中学生か。
見た感じ小学生にも見えなくない。……13、14というのはまだ上背を取った年齢かも知れない。
「……なにわらってるのよ」
「いえー。続けてください?陛下」
でばなを思いっきりくじかれて、まおは悔しそうな顔をする。
咳払いして続ける。
「くーるびずだよ!こんなあつっくるしー時にはすずしーかっこーでしごとしないと!」
「陛下」
くい。
びくっ。
「陛下はー。何度言えばわかるのでしょうか。判らない言葉をつかっちゃだめだと、お教えしたはずです」
久々のお説教モードに入ったマジェストは、意気揚々とまおにせまる。
なにせ久々なのだ。手元が狂いそうなぐらい意気揚々なのである。
「わ、わかってるよー。わかってるからつかってるにきまってるぢゃないの」
しかし今日はまおも退いていない。
ぜんめんたいけつの構えである。
「陛下」
マジェスト、ここで呆れを示す肩をすくめるジェスチャー。
ぴくっとまおの額がひきつれる。
「よろしいですかな陛下。クールビズもなにも、陛下は既に薄着で御座いますが」
う。
「わー、わたしはー、いいのよ。いいぢゃん。……わるい?」
「いえ陛下。陛下は率先して好きな恰好ができるのですからして、これは失礼しました。……で、意味はなんですか」
う。
「く、くーるびずってのはねー、その。COOL BIZってかいて冷たいしごとのこと!」
マジェストは苦笑して肩を揺らす。
まあ間違っていない。
「きょーとぎてーしょが発効したの」
「……ほほう」
「たいきおせんをどうにかするの」
ごそごそ。
「……ほぉ、アクセラ」
ぎくっ。
「シエンタ。何を、私の後ろでしてるのですかな」
くるり。
そこには、白いボードにまじっくいんきで思いっきり平仮名書きの文字が踊っている。
「マジェスト様〜」
「久々のお説教モードは、全開でいけ」
「まじー。あんたよ」
ばばん。
そのマジェストの真後ろから、おもいっきりひとさしゆびを突き刺すまお。
なんだかかっこいい。
「な……なにがですか。何を、陛下」
狼狽えるマジェスト。
にやり笑いをするまお。
「何が?くーるびずにきまってるでしょーが!そのえあこん・ろーぶを脱げっ!」
だら。だらだらだら。
「そんなに怒らなくても良いではないですか陛下、わ、私はですね」
「五月蠅い!くーるじゃないのはおまえだけだーっ!おまえのことをいってるんだー!」
ごもっとも。
「ちなみにBIZって何の略でどうやったらこんなつづりになりますか?」
「うううー、うるさいーっ!ごまかしてないでさっさとぬげーっ!」
いやん。