事実、まおのラジオが始まって。
 それ以来2週に1度のペースをできる限り崩さずに続けてるけど。
 遅れ気味なのは勘弁してね。

 ごくごく最近、まおは彼女の城の中にあるある部屋に気付いた。


「まじー、こんなところに部屋ってあったっけ?」
 かなり広い、しかも迷宮化したこの城の中は、自由に歩けるが把握してるわけではない。
「はい、ありませんでした」
「……は?じゃあなに?突然部屋がわいて出たの?」
 嬉しそうに驚くまおに、マジェストは首を振って応える。
「いいえ。この城は生きておりませんので、それは御座いません。私が作りました」
 そう言うと扉のノブに手をかけ、まおに一礼する。
「本当は1/27(金)まで放置及び内緒にしておくつもりだったんですが」
「なんだその微妙な時期は」
「さらに言えば、発行予定は2/1(日)です」
「だれにむかっていっている」
 半ばまおを無視して、マジェストは扉を奥向きに開いた。
「どうぞ、魔王陛下。――ここはラジオ番組を作るための放送設備、すなわちでぃーじぇーるーむです」
 天井からぶら下がった大きめのマイク。
 小さな机。
 ついで、二人分のヘッドホンが並んでいる。
「いらないんですが、ヘッドホンまで用意したみたいですね」
 呟いてくるりと見回すマジェスト。
 まおはさっきからずーっとジト目で睨み据えている。
「誰が、誰のためのらじおよ」
「決まってるでは御座いませんか、魔王陛下」
 まおの正面で大げさに両腕を開き、笑顔を浮かべる。
「魔王の世界征服日記の読者様に、私と魔王陛下がやるらじおで御座います」
「………世界観無視しまくりどころか、あー、そう言う訳ね」
 呆れた貌でため息をつくまお。
「魔王陛下?良いですか?魔王陛下はこれからですね、より人の上に立ち人に愛される立場ですぞ」
 くい、とメガネの中央を押し上げる『お説教モード』のスイッチを入れた。
「え゛ー!それって魔王ぢゃないぢゃん!」
 ごもっとも。
「いいえ。良いですか、そもそも魔王とは……」