アクションや銃撃戦が好きで、小説にそういうシーンを持ち込みたい。
でも、ままならない方々へ捧げる『正しさ』と『面白さ』、これを主な目的として書きました。
尚、本当の人殺しの方法と映画で見るようなアクションでは全く動きは違います。
たとえるなら、プロレスと柔術、又は打撃技と関節技の差というのでしょうか。
決してこれが絶対正しいとか思わないでください。
アクションの華、銃撃戦。
映画でよく見かけるシーンは、実際とは違う事が多い。
絵として美しいシーンを創造するには、しかし実際を知っておく必要がある。
なかなか普通に生活していてはこれが手に入らないことが多いので、進呈して進ぜよう。
銃口のこと。マズルファイア(muzzle fire)と言えば銃口から吹く火のことで、マズルフラッシュ(muzzle flash)ともいう。
弾詰まりのこと。本来は不発(miss fire)や作動不良(malfunction)とは区別して用いられる。日本語では『ジャムる』とも使う。
「輪胴式」とか「回転式」と日本語訳される。レンコン状の弾倉(薬室兼用)に銃弾を入れる事で、連発ができるようになった銃のこと。これができる前の銃器はほとんどが単発銃だった。現在でこそ拳銃ばかりだが、西部劇の時代にはライフルもあった。
「自動拳銃」と訳されることが多い。本来は撃ち手が余分な動作をしなくても自動的(automatic)に弾丸を射撃可能状態にしてくれる銃のこと。引き金をいったん離さないと次の弾丸が撃てないのをセミオート(semi-automatic) 、引き金を引き続けている限り弾丸が撃てるのをフルオート(full-automatic)と言う。
なお、アメリカで「オート(autofire)」と言えばフルオートを指す。
余談だが、ごく一部の例外を除き、リボルバーとオートマチックの弾丸は同じ口径でも互換性が無い。
「リボルバー」なのに「オートマチック」な銃。知っていると周りから「銃器マニア」の二つ名をいただくことになる。
弾丸を叩いて発射する「かなづち」の部分のこと。昔の銃は撃鉄が直接弾丸のお尻をぶっ叩いていたが、現在では撃鉄が『撃針(firing pin)』を叩き、撃針が弾丸を叩くのが主流である。撃針と弾丸の間に板を噛ませ、引き金を引かない限り板がズレないように作れば、万一銃を床に落として撃鉄が作動したとしても暴発することがないからだ。
あらかじめ撃鉄を起こした後で、引き金を引くと弾丸が出る構造の銃のこと。引き金が『撃発(撃鉄を落として弾丸を発射する)』の役目一つしかないのでこのように称する。
あらかじめ撃鉄を起こさなくても、引き金を引くと撃鉄が起き上がり弾丸が出る構造の銃のこと。引き金が『撃鉄を起こし』『撃発』する二つの役目を持つのでこのように称する。なお、リボルバー/オートマチックとSA/DAということには関係が無い。
シングルアクションの銃で引き金を引きっぱなしにし、撃鉄を叩き続けることで連射する撃ち方。リボルバーの構造上、撃鉄を起こす事で銃の発射準備が整うからだ。
派手な撃ち方だが、5メートル先の人間に二発当たるほど良い命中率ではない。
マンストッピング・パワー(man-stopping power)とも言う。弾丸が当たった事で銃弾が体内に残る際の破壊力を指すのだが、当たった目標の動きを止められるパワーと読み替えても、用法上そんなに間違いではないだろう。
良く誤解されるが、口径の大きさとストッピングパワーに直接の関係はない。むしろ、銃弾の形のほうがより深く関係する。
他、パウダー→火薬、カート(ケース)→薬夾、ハンマー→撃鉄、トリガー→引き金、ピン→撃針、アモ→弾薬、ブレット→弾丸と言い換えられるよう覚えておこう。
良くピストル(pistol)と言われるが、英語ではハンドガン(hand gun)である。通常1〜2kgの鉄の塊であるが、最近は錆びないステンレス製や軽いプラスチック製のものもある。
オートとレボルバーの2種類があり、『人を殺傷する能力を持っている』ものであれば銃刀法に抵触する。
代表的なもの、有名なものを以下にあげる。
名前の由来は、口径が0.22インチ(約5.56mm)であることから。なお「xx口径」と言うのはアメリカの慣習である。実はこれはインチの何分の一、という計算であるためこのような値を示す。(12.7mm→50口径、7.62mm→30口径、5.56mm→22口径)つまり1インチの100分の幾つ、である。
一般に拳銃で使われているのは薬莢が長めの.22ロングライフル(.22LR)である。構造上、空薬莢にもう一度弾丸と火薬を詰めて再使用(reload)できないこと、反動が小さいので腕力のない女性や子供でもちゃんと当たること、及び弾丸の単価が安い事から、ブリンキング(射的)やキャンプでの小動物ハント用に良く使われる。
発射音が小さい事から、至近距離で暗殺するプロが使うのは事実。だが市販の弾丸では頑丈な防弾チョッキを貫通することはないので、人を殺すには急所を狙うしかない。
コルト・ウッズマン(ただし『ワイルド7』【望月三起也】で飛葉大陸が使っているのは22口径ではないらしい)、スタームルガー・MkIII
アメリカの制服警官が使うコルトやS&W、日本の警官が使うニューナンブや私服警官の持つチーフスペシャルなどのスナブノーズ(短銃身)のレボルバーはこの口径である。 現在の主流は.38スペシャル(.38Spl)や.38スペシャル+パワー(.38Spl+P)だ。
弾丸にもよるが、普通の車ならば車体に穴を開け、数メートルの距離なら人間二人を貫通するだけのパワーを持つ。特に日本の警察が使う銃弾は貫通力に優れているらしい。
コルト・トルーパー、S&W・M64ミリタリー&ポリス,チーフスペシャル、ニューナンブ
アメリカ流に.380ACPと名乗る銃弾も、ヨーロッパでは9mmショートと呼ばれる。上に挙げた.38スペシャル等とは全然違う規格の銃弾である。ちなみにストレート・ブローバックで作動するほぼ限界(←これがすぐにわかるあなたはマニアである)。
ブローニング・M1910、ワルサー・PPK/S等
9mmもいろいろと弾丸あれど、いまや世界標準となったのは9mmパラベラムである。ちなみに9mmルガーと呼ばれるのは、ルガーP08で最初に使われた事から。
軍用銃は最近はこれが主流。ベレッタM92とか映画で出るオート拳銃はこれがほとんど。
というのも、軍が使うだけに流通しやすい(量が多い)らしいのだ。
まぁ、最近の拳銃はみんなこれと思って間違いない。
実際かなり強力で、8メートルの距離からなら杉板5枚は平気で貫通する。ここまで来ると防弾チョッキで弾丸の貫通は防いでも、衝撃で骨折や内臓障害を起こす事もある。
パウダーが多いため、普通のストレートブローバックだとスライドを重くしない限り、噴出したガスで火傷をしてしまう。そのためごく少数の例外を除き、特別な工夫でスライドが遅れて作動する方式である。
変わったものにはあのコナミの某ゾンビゲーで初期に装備されているあれ(ステアーGB)である。ショートリコイルではなくガス圧式の作動方式を持つ。
ブローニング・ハイパワー、ワルサー・P38,P5、ベレッタ・M92、シグ・ザウエルP220(←日本の自衛隊が「9mm拳銃」としてライセンス生産),P226、Cz・M75
俗称であるが、.357MAGNUM、.44MAGNUM、454カスール等口径の大きいものを指して言う。レボルバーで一番有名なのは、あのクリント=イーストウッドのダーティハリーで使われた、S&W・M29であろう。
オートマチックながら.44MAGNUMを撃つ、その名もずばり『オートマグ』という銃もある。色々曰くのある銃で、動作不良の多さから『オートジャム』とまで言われた初期のマグナムオートである。その点を克服したのが、イスラエルIMI社の作ったデザートイーグルである。
なお、いくら.44MAGNUMが高威力でも、車の前から撃ち込んで車の後ろに抜けるほどはイパワーではない。しかしエンジンに当たれば確実に機構を壊し、燃料タンクに飛び込めば爆発を引き起こしてもおかしくはない。
この口径では、生半可な防弾チョッキは貫通してしまうし、よしんば止めてもショックで気絶/死亡してしまうかもしれない。
ちなみに拳銃弾での最大の口径は.50AE、デザートイーグルである。
ファイアボールと呼ばれるマズルファイア、爆音のような銃声、『ハンドキャノン』の呼び名は伊達ではない。
ちなみに2kg以上あり、とても日本人に撃てる代物ではない……と思われるかもしれないが、ガス圧式の閉鎖機構を備えたデザートイーグルは反動もマイルドで、ちゃんと両手で正しく構えていればちゃんと当たる。だがヘタな構え方をしたら反動で脱臼や骨折するぞ(笑)。
(.357MAG.)コルト・パイソン(『シティーハンター』【北条司】で有名)、S&W・M19コンバット・マグナム(『ルパン三世』の次元の愛銃)
(.44MAG.)S&W・M29、スタームルガー・スーパーブラックホーク
拳銃ではこれだけの知識があれば十分である。
少し特殊なものを次にあげる。
ベルギー・FN社の出した『小口径弾』を吐き出す銃。5.7mmという専用弾を使用する。こう聞くとストッピングパワーがないように思われるが、実際はまったく違う。
本来の構想が『防弾チョッキを貫く』という考えの基に作られたもので、パウダー量も多い。そして弾丸が小さいため、やすやすと防弾チョッキを貫いてしまう。縫い針と5寸釘ではどっちが刺しやすいか言うまでもないだろう。
そしていったん体内に入ると、今度は弾丸の小ささから抵抗力に負けて貫通しない。
つまり、後ろに関係ない人がいても被害が及びにくいのだ。対テロ用にFN社が売り込み攻勢をかけているのもむべなるかな。
公称データであるが、スペクトラ製のボディアーマーでも抜けると言われている。怖い銃弾である
丸みのあるフォルムはSFの銃を思わせる、『ガス圧利用』ハンドガンである。弾丸は9mmパラベラム。
珍しいだけであまり性能は良くないので、これだけ。
ガスが詰まってしまうのですぐジャムるらしい。
3〜4kg、1m程のサイズの銃。連射ができるタイプは軍用で、コルトのM16、M4やHKのG-3等が存在する。
アメリカのガンショップでも、よほどの資格がない限りフルオートの銃器は扱えない。またよほどの資格がない限りフルオートで撃てる銃を民間人は買えない。
なお日本では猟銃に限り、銃器免許を取得して一定の経験を積めば購入できる。ちなみに自衛隊員だからといって銃器免許を持っているわけではないので、隊外に小銃類を許可無く持ち出すのは違法である。
弾種による区別はないが、西側諸国では7.62mm、5.56mm(NATO弾)が通常である。7.62mmを使い単射/連射ができるものをバトルライフルと呼び、5.56mmを使い単射/連射ができるものをアサルトライフルと分ける場合もある。
(7.62mm)FN・FAL、H&K・G3、自衛隊の64式小銃
(5.56mm)コルト・M16,M4、ステアー・AUG、FAMAS、89式小銃
マシンガン(機関銃)はライフル弾を使うフルオートのみの銃器であるのに対し、サブマシンガンは拳銃弾を使用するという区別は最近されていない。最近は5.56mmライフル弾を利用するサブマシンガン(カービンか?)ものも存在する。
ライフル(小銃)でもフルオート(連射)もしくはバースト(点射)できるものもあるが、これはマシンガンとは言わないのは上に述べた。
なお、点射ができる拳銃をマシン・ピストルと呼ぶ事が多い。
ベレッタM93R、グロック18
ドイツ・MP38/40、イギリス・ステン、イングラムMAC10、Uzi、H&K・MP5
(7.62mm)M60、MG34/MG42、FN・MAG、62式機関銃
(5.56mm)FN・M243ミニミ
FN・P90。
前述したFN社の銃で、口径5.7mmの丁度ライフル弾と拳銃弾の中間程の小さなサイズの弾薬を使用する。(上で述べた Five-seveNの弾丸とは違う)
特殊なギミックが施されたマガジン、独特のフォルムが知られているものの、通常市場には出回ることはない。
これは士郎正宗(漫画家)先生の大のお気に入りで、ツァスタバの“ナインウェポン”(映画『攻殻機動隊』)、MN-23(『ドミニオン』)等のモデルになった銃である。
小口径高速徹甲弾を使い、ボディアーマーも抜ける(MN-23は10mmの『ノンリーサルウェポン』として開発された)のが、彼の世界では当然のようなのである(セブロ社に代表される)。
以上で各種銃器についての基礎的な知識を終了する。
次回は砲についてすこしだけ話してみようかとも思う。
This page writes by Yutaka Minakami.
Fixed:2000-10-24